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2023/01/05 何度も聴いている音楽とこれから読む本について

 日付の感覚がないので題名を入力するときに01/03とかやってしまう。朝起きたとき、今日は何日何曜日だと考えたことが人生で一度もないことに気づく。目覚めてからは大体、今日は何々があるな、というように「今日」を認識している。
 今日は何も予定がなかったので起きても何も思い出さなかった。何もない日の寝起きに見る部屋の景色が、誰もが求めている「何も考えない、まっさらな気持ちで見たい」を最も的確に表現しているのではないか。

 今日は倫理と英語をやって、山田庵巳さんの音楽を聴く。山田さんはあの青葉市子さんのお師匠様で、青葉さんも彼の曲をいくつもcoverしている。たとえば、「機械仕掛ノ宇宙」、「春夏秋冬」、「羊のアンソニー」。
 後ろに挙げた二曲が山田さんの作だとは今日まで知らなかった。ずっと青葉さんで聴いていた。
 この三曲が青葉さんの原曲だと言われて信じる人はいるだろう。それだけ、青葉さんによって完璧に歌われているから。
 山田さんの元が完璧でないから劣っているということでは決してなくて、山田さんの歌い方は、歌詞を大事にする、リズムを崩したようなものだから、鑑賞者にとても開かれている。青葉さんの歌い方はリズムも音程も演奏も声も完璧で、言葉を失う程ある意味での「正解」にぴたりと嵌りすぎているから、鑑賞者が青葉さんが歌うことによってできる「場所」に分け入らないとその歌をほんとうに味わうことができない気にさせる。山田さんはそんなことはなくて、幼いころ母親の声で聴いた紙芝居のような、そんな気楽さがある。
 どちらが優れているという低俗な問題ではない。


 



 母に誘われて本屋へ。発売当初から気になっていた本が芥川賞候補になっていたのでついに購入を決める。『この世の喜びよ』(井戸川射子さん著)。この方の『ここはとても速い川』という作品が大好きで、(僕は少年小説にとても弱い、というのもあるが、それ抜きにしてもおそろしい小説)だから次回作が気になるというのは無理のない話だ。
 正直、一ページ目から異彩を放っているので絶対おもしろいんだろうな、と思って書店で眺めていたのだけれど、それ故に覚悟が必要で(いい小説を読むには体力がすごくいる。それに、いい小説だと思って買ったものがつまらないとかなしい)なかなか手を出せなかったが、芥川賞候補になったということなら、井戸川ファン(ファンだったらすぐ買うかな?)としたら買うしかなかった。20ページ読んだがこれがずっと続くなら芥川賞あると思う。

 もう一冊は町屋良平さんの『ほんのこども』。野間文芸新人賞をとられたとのこと。書店で群像を手に取り読んでいたら、選評で(僕の敬愛する)小川洋子さんがこの作品にしか触れていなかったので購入を決める。保坂和志さんもこの作品を絶賛していたが、他の作品を貶しすぎているところがあり、ちょっと辛くなった。書き手に喝を入れているつもりなのか知らないが、言葉が強すぎて読み手へのショックが大きい。
 井戸川さんが『ここはとても速い川』でこの賞を受賞した折、保坂さんが泣いて推したという経緯を知って保坂さんのことを勝手に仲間だと思っているのでちょっとびっくりした、勝手にね。

 ともかく、この本は楽しみ。読んだら感想を書きます。

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