ゲイの出会いと性について

ゲイの出会いは特殊だ。
ストレートであれば職場で出会ったり学校であったり、"自然"な形でパートナーを探すことができる。(自然と書いたのは特別なことをしなくても良いという意味であって、同性愛が自然ではないとかそういった議論をしたいわけではないのであしからず)

反面、ゲイの出会いは何らかのアクションを起こさない限り絶対に不可能と言っても過言ではない。街中を歩いている男性の中で誰がゲイで誰がそうでないかを一瞬で見抜くことができる人はそうそういない。ゲイには"Gaydar"と呼ばれるゲイを感じ取るレーダーがあるとジョークで言われることがあるが(日本語だと何ていうのだろう)、俺のGaydarの精度はせいぜい40%くらいだ。

結局のところ、多くのゲイ男性はアプリ、もしくは2丁目のバーに繰り出すなど積極的に行動を起こさざるを得ない状況になってしまうのだ。
俺はこれまでほとんどの人とアプリを通じて出会ってきた。
ストレートのマッチングアプリにも通じるところはあると思うが、違いはそのスピード感だ。
だいたいよくある流れは以下だ。

〜アプリにて〜
プロフィール写真を見て、どちらかがいいねを投げる。
チャットにて挨拶をする。
軽い世間話をする。
鮮明な顔画像や局部の画像を送る。
気に入れば会う日を調整する。

〜会う日〜(日本語ではリアルと呼ばれる)
軽くお茶もしくはいっぱい飲む程度の食事などをする。
ホテルか家に行く。

そう。大体の流れが超特急だ。
ストレートの人がマッチングアプリで手を繋いだとかキスをしたとかヤキモキしている間にゲイはすでにセックスまで済ませてしまっているのだ。
このスピード感がゲイの人間関係を複雑化させる。
友達と恋人、セフレの境界線は極めて曖昧で、一日一日単位で刻々と情勢は変化していく。

先週付き合ったらしいと聞いた二人が、2丁目でふたたび見るとそれぞれ全く違う人と仲良く歩いていた、なんてことは日常である(そしてその翌週は元に戻ってるとか)。

目まぐるしく移り変わる人間同士のダイナミクス。この世界にいるとただ疲れる。せっかく気になる人がいても、その相手が誰と付き合って誰と友達で、考え始めるだけで面倒くさくなっていく。

しかし、ときたま思わぬサプライズが訪れる。お互いをリスペクトし合えるような真の友人に出会うこともあるのだ。

大人になると友人を作るのは難しくなる。学校と違い、様々な人と交流する機会というのは少なくなってくる。
俺はアプリを通じて悪い出会いも良い出会いもさまざましてきた。

表面的で外見至上主義、すぐにセックスしてお互いを傷つけ合う、一方ではそんな闇の世界が広がっている。でもゲイのコミュニティはそんな闇の世界だけではない。俺はこれまでに出会ったすべての素晴らしい友人たちに、そしてこれから出会う全ての男たちに、まだまだ希望をいだいているのだ。

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