恋、男、俺

ゲイです。これまでに会ってきた男のこと、俺自身のこと、つらつらと書いていきます。同性愛…

恋、男、俺

ゲイです。これまでに会ってきた男のこと、俺自身のこと、つらつらと書いていきます。同性愛に関する性的表現があるためご留意ください。

最近の記事

情熱の国で

その時、俺はスペインにいた。 人生初のスペイン、正直なところだいぶ浮足立っていた。スペインといえば情熱の国。燃えるような瞳をしたスペイン男。飛行機を降りた瞬間から妄想は膨らんでいた。 しかし、今回のスペイン訪問は残念なことに自由な旅行ではなく、出張だった。 俺は肌寒い真冬のスペインで、少しも面白くもない郊外のホテルと取引先とに缶詰されていることにイライラしていた。 せっかくスペインに来たというのに、観光どころか少しのお土産を買う時間すらまともに取れないなんて、最悪だ。

    • ゲイダー

      なんか見覚えあるな… 俺がまだ学生時代の頃である。 その日も懲りずに街中で俺はゲイアプリを開いていた。 ズラッと並ぶプロフィール写真の中にやけに見覚えのある顔があった。どこで見たんだっけ、、、誰かに似ている。 思案を巡らすと一つの衝撃に辿り着いた。 それは、俺が当時所属していたゼミの先生の知り合いで、特別授業として一回だけ講義に来てくれた人だった。 俺はその人がゲイであるとは露知らず、講義中この人がゲイだったらどうだろうと妄想を膨らませていたのだ。 ゲイには相手がゲ

      • ゲイ度が足りない?

        先日友達と2丁目に行った。 道端で飲んでいると、近くでデモを行っている場面に遭遇した。 デモはアメリカで発生したO'Shae Sibleyさん殺害に関するものだった。 LGBTQコミュニティの一員だった彼がヘイトクライムによって殺害されたことに抗議を示すデモであった。 俺たちはただデモを横目に眺めながら酒を呑気に飲んでいたわけだが、ここでこんな話題で盛り上がった。「俺たちはデモに参加もせず、酒をただ飲んでいて、LGBTQコミュニティの連帯を乱しているのだろうか?」 O

        • 期待

          じゃあこれからいろいろ頑張ってくださいね〜笑 舐めた言いぶりであの男は俺にサヨナラを告げた。 カッコいいですね! 元はと言えば向こうからのメッセージが始まりだった。 カッコいいですね!と言われたところで、どう返せばよいのか。はい、そうですね、も変だし、全力で否定するのも偏屈な感じだ。 俺は気のあるんだかないんだが分からない、ありがとうございます笑とかいう適当な返事で誤魔化した。 向こうはさらにどんどんと俺を褒める発言を続けてきた。これが彼なりのコミュニケーションなの

          ブハラの敗北

          その日は灼熱だった。 あの夏、俺はウズベキスタンにいた。 何故って?来たかったからだ。 ウズベキスタンには数々の歴史的遺産が存在する。シルクロードに憧れを持っていた俺はあの夏、ウズベキスタンへ行くことに決めたのだ。 飛行機を乗り継いでやっとの思いで到着したウズベキスタンの空港は無機質で少し怖い印象だった。 しかしウズベキスタン人はもれなく素朴である。 会う人が皆非常にフレンドリーでやさしい。 そしてなによりウズベキスタンには俺好みの男が多かった。 アジア人でありな

          ブハラの敗北

          遠い目

          出身はブラジル、そして日系人と伝えてくれたとき、なるほどと思った。 彼はバックグラウンドがどこかさっぱりわからないミステリアスな見た目をしていた。 アジア人と言うには欧米人にも見えるが、欧米人と言うにはアジア人にも見えた。はたまた中東の人か?とも思った。 父親は日系で、母親はポルトガル系、そして自分はブラジル人だと説明してくれたとき、妙に納得した。 彼は物静かだった。俺たちの会話も初対面であったにも関わらず多くの沈黙が流れていたた。しかしそれは彼のペースであって、特に気ま

          恋に恋して

          もう付き合ってないってことだよね。じゃあね。 これが彼との最後のやりとり。 俺は黙って立ち去った。 あのとき俺はまだ学生で相手は社会人。 出会いは例によってアプリだった。 俺は恋がしたかった。 初めてアプリを入れたあの日から色んな男に会ってきてそれなりに経験をつんだつもりではあったが、唯一未経験と言えることがあった。 それは彼氏を作るということだ。 俺だって映画を一緒に見たり、旅行に行ったり、美味しいご飯を食べたり、楽しい時間を共有できるパートナーが欲しかったのだ。

          接吻

          俺が気を抜いてそっぽを向いていたときだった。 俺より20センチは背が低い彼が、俺の唇を奪ってきた。 これが俺のファーストキス。 彼との出会いはアプリだった。 俺はあのとき19歳。 20歳を前に俺は焦っていた。周りがやれ彼女だ、合コンだ、などと言っている中で俺には春が来ていなかった。 すでに俺は自分がゲイであることは分かっていた。でもどうやったら男と出会えるかなんて何も分かっていなかった。 そんな中、大学のクラスメイトがこんな事を言ってきた。 「この前女の子にフェラしても

          ゲイの出会いと性について

          ゲイの出会いは特殊だ。 ストレートであれば職場で出会ったり学校であったり、"自然"な形でパートナーを探すことができる。(自然と書いたのは特別なことをしなくても良いという意味であって、同性愛が自然ではないとかそういった議論をしたいわけではないのであしからず) 反面、ゲイの出会いは何らかのアクションを起こさない限り絶対に不可能と言っても過言ではない。街中を歩いている男性の中で誰がゲイで誰がそうでないかを一瞬で見抜くことができる人はそうそういない。ゲイには"Gaydar"と呼ばれ

          ゲイの出会いと性について

          山の民

          彼と会ったのはいつのことだっただろうか。 タバコの煙でボヤケたプロフィール画像にはダンディな顔が写っていた。 どちらがメッセージを先にしたかは思い出せない。 気がつくとやり取りをしていた。 メッセージの節々には少し違和感のある言い回しがあった。 ボヤケた顔から判断して彼のことを日本人だと思っていたが、出身はアジアの山岳国だと教えてくれた。 都内の公園で初めて会った彼は想像していたよりずっと幼くて小柄だった。 話してみるとまだ学生で、日本語の勉強を頑張っていること、将来日

          肉欲と葛藤

          またGrindrを確認してしまう。 "お気にいり"に入れたアイツのプロフィールは30キロ先でオンラインになっている。 いつもそう。アイツはいつもオンライン。 じゃあそれを知ってる俺は、っていうと。。。俺もいつもオンライン。 ことの始まりはもう10年近く前だろうか。 俺がまだ学生時代だったとき、アイツがGrindrでメッセージを入れてきた。 よくある流れだ。挨拶して、写真を交換して、セックスしないか?という話になって、すぐ会ったんだ。 実際にアイツの家に行き、会ってみたら本