6月25日授業ふりかえり

12回目の前期授業終了にむけて、いよいよ最終コーナーを回った感じの本講義です。前にも書いたとおり、もともとこの授業は「雑誌・Webライター」と「編集術」という2つの授業の合わせ技でしたが、「自分は編集者ではないから」と断って、名前を変えてもらった経緯があります。ただ、編集者っぽいこともやらないといけないなあと思っていたので、ここ何回かでポジショニングマップの授業を進めているところです。

もともとポジショニングマップについて授業で取り上げたいなと思ったきっかけは、岡田斗司夫の「悩みのるつぼ〜朝日新聞社の人生相談より〜」を授業で取り上げたことでした。

この中に「クラス替えでビミョーです」という相談が出てきます。中学3年生の女子からの相談で、クラス替えで自分を慕ってくれるKYな子と一緒になってしまい、正直しんどい。どうしたら良いでしょうかという質問で、回答がまさにクラスのグループを「バカ正直かずる賢いか」「お節介か弱虫か」でポジショニングマップを作り、自分がいる「バカ正直&弱虫」のポジションから移動を試みる……というものだったんですね。

詳細は本を読んでいただくとして、回答文の中に「どれを選んでもしんどいでしょう。(中略)そんなあなたのために、大人の私からズル賢いアドバイスです。四つのうちどれを選ぶか、これから仲良くなりたい友達に相談してみなさい」という下りが出てきます。そうなんです。人間は社会的な動物なので、自分が所属する社会集団から離脱するのは、結構なストレスです。でも、それによって解決する問題もあるわけです。

ただ、仲間はずれとかイジメとか、そういった問題につながりかねない話題だったので、授業で使うのは難しいかな……とも思って、寝かせていました。そんな時、「自分が所属する社会集団から移動するだけでドラマができるのではないか……」そんなふうに考えて作って見たのが、ポジショニングマップを活用してのプロット作成演習です。授業でやってみたところ、学生がみなユニークなアイディアを出してくれて、非常に盛りあがりました。

ポジショニングマップでもなんでもいいんですが、社会現象をどんな風に抽象化してフレームワークを作り、それをもとに思索を進めていくか……これは小説執筆だけでなく、さまざまな分野で応用が利くやり方です。小説はまさに社会の抽象化と誇張化をもとに作られていますし、ゲームも同じです。こういった考え方を習得してもらうことが、情報学の目的なのかなと、遅まきながら考えています。








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