見出し画像

言えない釣果。

僕は子供の頃、赤羽北という所に住んでいました。今では埼京線の北赤羽駅周辺と言った方が分かりやすいと思います。その街には新河岸川という川が流れていて、川を渡ると浮間という地名に変わります。

赤羽北周辺には新河岸川や荒川、池のある公園等といった釣りポイントが多く、子供達にとって釣りはとても身近な遊びの一つでした。しかし家からはどの釣り場も若干距離があり、実際に水難事故も起きていたので、子供だけで行ってはいけないと親から言われていました。

でも小学生だった僕は…もちろんこっそり行きました。当時僕が特にハマっていたのが、バス釣りです。ルアーを使うので、いちいちエサをつけなくて良いし、色鮮やかなルアーをコレクションするのも楽しいです。

ハイシーズンには、現場で捕まえたエビをエサにするとブラックバスは簡単に釣れましたが、ルアーで釣るのはなかなか難しかったのです。

そんなある日…多分夏休みだったと思いますけど、僕は珍しく早起きしてロッドとルアーを持って、自転車に乗って一人で釣り場に向かいました。そしてルアー釣りを始めました。釣り始めて1時間後位になんと、40センチ位のバスを釣ることができたのです!

たも網は持っていなかったので、とても重かったのと、岸にあげた時の黒く光るバスの魚体に、太陽の光が反射してまぶしかったのをよく覚えています。

そして何よりこの釣果を誰にも言えないことがとても残念だったのを覚えています。友達には言えるけど、きっと誰も信じてくれないだろうなぁと思いました。今のようにスマホで写真を撮れるというような時代ではなかったですし、持って帰ることも一瞬考えましたが、すぐに死んでしまうし痛んでしまうし処分に困ると思ったし、それと何よりかわいそうだと思ったので、結局そのままリリースしてしまいました。当時は外来種だとかそんな認識もなかったのですから。

小学校を卒業すると同時に僕は別の街に引っ越したので、あれ以来釣りはほとんどやっていませんので、いまだにあの時に釣ったブラックバスが僕の人生最大の大物でした。

そんな僕と妻のユニットのニューアルバム。



私の創作活動の対価としてサポート頂けましたら、今後の活動資金とさせていただきます。皆様よろしくお願い申し上げます。