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人生初フェス!しかもひとり【LIVE感想編】〜遊睦民祭 in蔵王〜

これは野外音楽フェスなど行ったこともないスーパー素人の今野くるみが、成り行きでゴリゴリの野外音楽イベントにたったひとりで参加した記録…

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LIVE感想の投稿です。各アーティストのパフォーマンスを観て感じたことについて詳細を書きました。全体の感想については一つ前の投稿をご覧ください↓


【2日目 / 午後より参戦】

・GEZAN
GEZANは歌詞のメッセージ性はとても強いものの、純粋な音楽としては好みではなかった。だが、むっちゃんと一緒に見た2023年4月の中野サンプラザでのライブ映像には圧倒されていた。これはもはやアートだ。実際の生のパフォーマンスはどんなものなんだろう、期待していた。
結果、圧巻!!!のっけから凄いもんを見てしまった。あんなにもステージ上でリミッターを外したパフォーマンスが出来るなんて・・・驚きだった。本当にすごかったなぁ〜・・・「この蔵王の地は何かがある。磁場が整いすぎ」と真っすぐな美しい眼差しで言うボーカルのマヒト氏からは、まるで温泉に浸かっているような気持ちよさを感じた。実際、温泉もめっちゃよかったと言っていたからというのもあるが歌っている最中、しなやかに曲線を描くような気持ちの良い動きが多かったからかもしれない。それとは真逆の鋭くエッジの利いたパフォーマンスもあり、振り幅も表現力も多彩。あぁ、やっぱり本物ってすげーなと思わされた。
最後の曲間、マヒト氏は背後にあったギターアンプのボリュームを一気に上げた。彼のヘッドの動きについてくるきれいな長髪は、彼の命が震えているようで美しかった。


・民謡クルセイダーズ
とにかく楽しい大人たちの集まりという感じの民クル。日本各地の民謡をギターや金管楽器でカッコよくアレンジして演奏している彼ら。本番冒頭の曲はお馴染み「Tora Joe/虎女さま」。あぁ!知ってる曲だぁ!!!と歓喜 。ノリノリでスタートした。ステージに立つ誰もが楽しそう、私たちも楽しい。金管楽器のパァン!とした歯切れの良い音も気持ちいいし、「ベースの音聞こえる?」というステージからの質問もなんだか楽しい。親戚のお兄さんが話しかけてくれるようなそんな親近感にニコニコ。
「山形での開催に因んで、ご当地民謡ソングを一曲披露したいと思います」と赤いギターにグラサンのお兄さん(公式ページでメンバーの名前を検索するも、みんなお面をかぶっていて名前も何も書かれていなかった笑 でもこういう見せ方好き)。山形の民謡かぁ、まさか私が昔おばあちゃんに教えてもらった真室川音頭ではないよな〜さすがに。〜(前奏♪)〜「わたぁしゃ〜♪ 真室川の、梅ぇの〜ぉ花ぁ〜♪」真室川音頭じゃん!!歓喜!!!
真室川音頭は、真室川のほとりに咲く桜に恋をした鶯の情景から始まるなんとも美しい唄。私はお隣秋田の出身なので、山形の人にとってはどれくら有名な曲なんだろうと思ったが、意外と一緒に口ずさむ人が多く、花笠音頭だけが有名ではないのだなぁと感じた。後から調べたところ1950年にレコード化した流行唄だったらしい。そんな開催地へのホスピタリティにも溢れ、とても嬉しいステージだった。
その後、赤いギター&グラサンのお兄さんはメンバーの紹介を楽しそうに何度も行い、最後まで彼らが一番楽しそうでその姿が良かった。


・梅若流梅若会(秋田民謡)
メインステージ以外のステージは当初あまり注目していなかったが、これがまた面白い。しかも、まさかこの山形の地で故郷の秋田民謡を聴けるとは。しかも馴染み深いドンパン節まで・・・!屋根のあるテントで休んでいたが、こりゃ近くに行かなきゃと移動。嬉しいが連続している。嬉しい。


・TURTLE ISLAND
このイベントの主催者で2日目のトリを飾ったのが彼ら。彼らのことは一切何も知らない状態だった(主催の方々なのにごめんなさい)。でも最初の冒頭一曲目でわかった。一気に観客を引き込むエネルギッシュな表現。すごい、全然曲のノリも何も知らないのに強制的にのせられる。というかのっけからもうこの人たち、あったまってる。スタートからもうトップスピードという感じ。純粋なエネルギー量で言ったなら、彼らがダントツだったと思う。
でも、私はもはや初日で色んな刺激を受けすぎて脳みそクタクタ。彼らの演奏を半分くらい観た後、ノリノリの曲と共にステップを踏みながらシャトルバスへ向かったのであった・・・



【3日目 / 最終日】

この日は、もうしょっぱなから見るんだぁ〜!と気合を入れて向かったものの、駐車場に到着するなり猛烈な眠気。「あぁ、こりゃいかん」しばし車内で眠った。


・春野恵子(浪曲)
浪曲ってなんだろう? わからなかったが、三味線の伴奏とともに、物語を語って唄うものだった。明治時代初期から始まった演芸なのだそう。私が会場に到着するとこの春野氏がちょうど終盤に差し掛かったところだった。
「えぇ〜!!こんなに面白いものだったのか〜!!」と車の中で寝てしまったことを後悔した。でも、いつどのタイミングで入って観ても楽しめるってすごい。次巡り合うことがあったなら、絶対最初から最後まで観ようと誓った。


・沖縄獅子舞
一番最前列で観戦。のっけからとにかくか〜〜〜〜わいいっ!!!たぶん観客の中で私の目が一番きらきらしてたと思う。本当にかわいいのだ。愛くるしい3頭身フォルム、太い足をかみかみする仕草、眠くなるような姿、どれをとってもかわいい。首を傾げる角度、口の開き加減も絶妙で本当にうまい。終始「かわいい~!」と口から出ていたと思う。そんな感じで観ていた私、獅子が目の前に近づいてきて頭をやさしく噛んでくれたのだ!!なんて幸運!私の邪気を払ってくれるなんて!思わず「うわぁあ~♡」と声がもれた。

可愛さ余ってこんなのを作ってしまった。お菓子土産のパッケージとかにいいかも


・KIKISOSO BAND
彼らとも初めましてだった。とりあえず観てみようとふらふらメインステージの方へ。彼らのステージを観る人たちには特に牧歌的な雰囲気を感じた。私の目の前では子供たちがぐるぐると走り回り、お母さんもゆらゆらと心地良さそう。
彼らはどうやらご出身は日本ではないらしく、チベットの方々で構成されたバンドのようだった。服装がチベット民族の衣装のようで、アイボリーなどの淡い色をベースに赤や緑、青、黄色などのさし色が美しい。そして演奏を聴くと物凄く歌がうまい。発声のベースが全然違う感じ。楽器の演奏スキル、どれをとってもピカイチだった。パフォーマンスの内容は、母国チベット民謡をベースとしたもののようで異国の曲調も相まってとっても素敵。
最後の曲を前に、ボーカルの方は「私たちは祖国へ帰ることができない」と言った。「えっ」そこで初めて彼らがどんな経緯でこのステージにいるのかを知った。後から彼らの公式HPを尋ねると、メンバーのゲニェン氏はチベット難民であることが書かれていた。幼少時インドへ亡命、数々の難民センターを経てインドから日本へ渡って来られた経緯が詳細に書かれていた。(→ https://kikisosoband.official.ec/blog/2022/08/20/160149
(小学生の頃そういえば何故チベットは「チベット自治区」と表記されてたんだろうと思ったことをぼんやり思い出した。その後私は、チベットと中国の関係をしばらく調べ、今も尚チベットは中国からの弾圧を受けていることを知る。成人して以降、政治や世界で起っていることに関心を持たないまま過ごしてきてしまった20代。ここ数年になってから、やっとそういったことに目を向けるようになり、無関心のままでいたらそれがいつか、自分や自分の大切な人の生活に刃となって返ってくると思うようになった。以降、社会問題や政治・世界の動きに関しては、自分の可能な限り情報を得て、少しでも行動できることは行動するようにしている。すいません、自分のこと書いちゃった。)
彼らの真っ直ぐな歌声は青空を抜けて祖国のチベットへ届くよう歌っているかのようで、彼らの潤んだ瞳は故郷の風景を見ているようで痛く感動した。同時にその時の私は何も知らなかったことを少し悔いた。音楽を通し、彼らの存在のおかげでまたひとつ、世界で起きていることに関心を向けるきっかけとなった。ありがたい。


・THA BLUE HERB
さて、大本命!!!札幌のパイセンこと THA BLUE HERB!!!出てくるなり沸く会場。フゥ〜!!!!独立して2年目の自分には刺さる言葉ばかりで勇気をめちゃいただいた!!!!あざすパイセン!!太陽の日差しが彼を熱く照らした時も、すかさずその描写を即興でマイクパフォーマンスに繋げたのは流石。眩しそうな彼の目元、カッケ〜〜〜 目の前にいたお兄ちゃんも「懐かしいミックスだわ~ やっぱいいわ〜」とニコニコと嬉しそう。
「変わるには十分すぎる3日間だよな」の言葉にテンションあがりまくり。マジで格好良かった。今回の祭りはアーティストの持ち時間約40分程。その間ずっとマイク一つでDJのミックスと共にパフォーマンス。もちろん休みなし。それなのにあのメッセージ量、とても50代とは思えない熱量だった。(単独ライブはこの倍の時間ぶっ通しでパフォーマンスするらしく、その為の練習も日々しているとのことをパートナーのむっちゃんから聞いた。まるでイチローだなと思う。)ほとんどが年下の観客を前に偉ぶるでもなく、今も尚成長し続け、世の中への憤りを素直な思いとして表現したり、私たちの勇気に繋げてくれる言葉をくれたりと、パフォーマンスを通し本当に励ましてもらった。挫けそうになる前に、また彼のパフォーマンスを観に行こう。


・OKI & Rekpo + 内田直之
テンションが上がった人たちが多い後のステージ。空気の「流れ」をわかってらっしゃるなぁと思った。冒頭、OKI氏の奏でるアイヌ民族伝統弦楽器のトンコリ、その優しい音色でゆったりスタート。Rekpo氏の優しい歌声も相まって心地良すぎる。「カタツムリの歌」など、ほっこりするような曲もたくさんあった。地面に座り、私は目を閉じゆらゆらと小さく揺れながら聴き入った。
OKI氏からは、OKI DUB AINU BANDのメンバーのひとりが逝去されたことが伝えられた。今でも大事に思うメンバーのために捧げた北海道日高山脈の歌には清らかな空気と自然を感じた。トンコリの音が内田氏の技術によって、湖に波紋となって広がる水面のようだった。


・白崎映美 & 東北6県ろ〜るショー!!
強烈なビジュアルを持つ彼ら。曲のことは何も知らなかったが、何故か存在だけは脳裏のどこかにあった感じ。一曲目、豪華絢爛にスタート。ボーカル白崎映美氏の両手持つ金色扇子の機敏な動きが華々しい。というか白崎氏の衣装がすごい。赤い布を幾重にも重ねた衣装は彼女が動くたびに、その存在感を増幅させるかのよう。なんだかジブリの千と千尋の神隠しみたい・・・。と思ったのも束の間、一曲目が終わると一番外側の衣装を脱いだ。続いて頭にかぶっていた華やかな被り物もとった。でも彼女の大きすぎるオーラのせいだろうか、全く見劣りしない。むしろ衣装で隠れていた彼女本来のパワーがありありと表に出てくるような感じだった。ここからが本領発揮と言った感じ。その通りだった。彼女の魂の声がどんどん歌に乗ってくる。
彼女の言葉も印象的だった。「私にはできないことがたくさんある、いつもみんなに助けられている。強くならなくていい、弱いまま繋がっていこう。」
私の隣には、彼らのファンと思われる女性がおり彼らのパフォーマンスに終始ノリノリだった。ライブ中徐に始まった白崎氏のMCにて「今年61になるんですけど…」その言葉に隣の女性は「えっ!!!!!!!」とえらく驚いていた。そうとは思えないほど若々しいということだろう。実際後から彼女の画像をいくつかネットで見たが、確かにとてもその年齢とは思えない。続けて白崎氏「今年、初CDデビューするんです」今度は私が驚いた。すすs、すげぇ・・・61歳でCDデビューだなんて・・・。THA BLUE HERBにも勇気づけられたが、白崎氏も半端ない。もはや歳なんて関係ないんだな、何歳からだって始められるんだと背中を押してもらえた。


・亀島楽隊(盆踊り)
亀島楽隊はTURTLE ISLANDのメンバーだ。この盆踊りの時だけ、この名称に変わるらしい。リハーサルが始まった。やっぱりこの人たちの音は初めっから頂点。初めて聴く曲なのに、強制的にステップを踏まされる。いてもたってもいられなくなる感じなのだ。それってすごいことだよね?
そして本番スタート。意外にもまったりとした曲調ではじまった。と、思いきやいきなり上がるギア。全く予想がつかなく楽しい。本拠地橋の下世界大音楽祭でもおそらくお馴染みと思われる曲たち。コールアンドレスポンスの曲が多く、何度も繰り返すうちに初見の私でもレスポンスできるような状態に。「ホームラン音頭」はまさにそれ。振り付けも簡単だしノリやすい。本当にノリやすい。鐘の音も小気味良くとてもいい。私の顔は終始笑顔。楽しい、楽しい。昨日今日とステージに立った演者の方たちも、私のすぐそばで楽しそうに踊っていた。あぁ、みんな同じだ。みんな同じ空気を楽しんでいる。みんな素敵な眼差しをしている。


争いなんかつまらない
街から街へと祭りを運ぶ
限りある生命 火を灯せ

「俺には夢があります」
中盤、亀島楽隊の永山愛樹氏が語った将来の夢が本当に素敵だった。
「我々は今後『お祭り』しか派遣しません。日本からイージス艦に乗ってね、世界にお祭りを派遣するんです。それを本気でイメージするんです。一切武器とかそんなのは送らないんです、祭りしか送らないんです。そんな国あっても良くないですか?やるって決めたらそこに辿りつくんです、みんな忘れてないですか。お花畑とかそんな話じゃないんです。すべてのものは誰かが作ったものなんです、じゃぁ俺たちだって作れる。俺たちの可能性は無限大なんです。変な情報に惑わされてやる気削がれてる場合じゃないんですよ。やるんですよ、まだまだ。もっとでっかいイメージしましょうよ。面白い国にしましょうよ。」
涙が出た。なんて素敵なんだろう。愛知県豊田市の橋の下で始まった「橋の下世界音楽祭」。姿をそのまま、今回「遊睦民祭 in蔵王」という形でその第一回目がこの山形県で行われた。この人たちならきっとできる。私も大賛成だしできる協力をしたい。
きっとできる!応援するよ!!と心の中で思い、声をあげた。


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今回山形県の蔵王で行われた「遊睦民祭 in蔵王」も「橋の下世界大音楽祭」も、どちらも素敵なメッセージが掲載されてます。是非読んでみてください。

● 遊睦民祭 in 蔵王|YU-BOKU MIN SAI

● 橋の下世界音楽祭|SOUL BEAT ASIA 2023


※ イベント主催者様
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