インド旅②囲まれイベント
日本人がインドに行くと写真を求められるらしい、とずいぶん前にどこかで読んだことがあったが、そんなことをすっかり忘れていたので、最初はスリ目的か!?と疑いつつ面食らった。
目が合ったが最後、誰も彼もが「セルフィー?🤳」と言ってくる。
一人に許可すると、それまで遠巻きに見ていた人たちも我も我もとやって来るので、実は若干シャイなところがあるインド人。
スリやナンパ目的というよりは写真を撮ったらもうそれで満足して去っていくので、インスタにあげて「日本人おった(笑)めずい(笑)」と報告したいのか、妙に距離近く並んでくるので「日本人と遊んだ✌️オレのダチ✌️」と言い散らかしたいのか、目的はいまだによく分からないが、
だんだん慣れてきて、旅行の最終日には、ロータス寺院で呼び止められハイハイ写真ね、と思ったら「私たちの写真を撮って」というただの撮影係への任命だったので逆にひっそりと気まずくなる始末だった。この時はサングラスと頭にスカーフを巻いていたので日本人だと思われなかったのかもしれない。
デリー、アグラの観光地に来ているインド人は特に「セルフィー?🤳」傾向が強いように思ったが、
インド人に囲まれるイベントKKMRの中で私の心に最も強く焼き付いているのは、ラージャスターン州(強いて言うならインド西部。州都:ジャイプール)のチャンドバオリがある田舎町での一幕である。
なお、チャンドバオリステップウェルはインド西部に点在する階段井戸の中でも最も重要とされているもの。
人間の叡智と自然との対峙の歴史を、大きくて深い井戸とヒューマンスケールの階段に垣間見ることができ、水への執念のようなものに圧倒される遺跡。
実はインド旅で一番楽しみにしていたのだが、見た瞬間かわいい〜!!!と叫んでしまったのは自分でも意外だった。その壮大なスケールにかっこいい〜!と言うつもりでいたからだ。
でも実際は、ちょこちょことコピペしたみたいな、どこか女児向けファンタジー感じる世界観。階段一列作れば事足りそうなものを、なんでこんなかわいいことしたんやろう!?
か、かわいい〜!!!
この向かいにヒンドゥー寺院があり、入場無料だったので行ってみることに。
寺院では靴を脱ぐのが一般的なスタイルなのだが、どこかで「脱いだ靴を取られ、返してもらうために金を要求された」という激ヤバエピソードを読んでいたので、脱いだ靴を持ち込もうとすると、わらわらと集まってきた人たちがみんなして止めてくる。No problem, no problem. いやいやこっちとしては靴を取られたらyes problemなのだよと思いながらも、数の力で完全に負けているので折れ、置いていった。
階段にアリがたくさん歩いている。
寺院にはたくさん人がいて撮るのが憚られたので写真が一枚もない。ただ、小さな女の子たちにこちらのセルフィーは撮られた。
お偉いさんみたいな人がこっち来なさいとジャスチャーしてくれてたぶん歓迎されていたのだが、もし入信を勧められたりしても困るので丁重に断り、お礼を言って、元きた階段を降りていくと、靴は誰にも触られないままちゃんとそこにあった。一番熱心にNo problemと言ってくれていたNo problemニキが、ほらな、という顔をしていた。彼は、私たちが靴を取られる心配をしていることにちゃんと気づいていたのだ。なんだか自分を恥じた。
階段を降り切って振り返ると、彼らに後光が差してかっこよかったので思わずカメラを向けた。かっこいいね〜!👍とやったら、みんな真似してくれた。
素敵写真。
インドで切ったシャッターの中で、最も気に入っているものである。
この町で私にリムカ(レモンとライムの炭酸ジュース)を売ってくれた少年に70ルピーせびられた(相場40ルピー)(これでも交渉した)が、それも含めて良い思い出である。インドでは、往々にして、物の値段をこちらが決めるのだ。人との対話なしには1日たりとも生きられない場所。この町を出るとき、私の心はほかほかしていた。
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