悲しき南南東
自分は恵方巻への執着心が人より強い方だと思います。
もともとおいしい太巻きをあんな贅沢に合法的に大胆にかぶりつける…しかも黙って食べなければいけないということは、すなわち食べている瞬間は恵方巻のことだけ考えていればいい。そんな素敵な日が明日の節分の日です。
なぜ自分がこんなに恵方巻に執着しているかというと、実家にいる頃に母親のコネでスーパーのお寿司コーナーで働いていたことがあって、そこでの壮絶な姿を見て体験しているからです。
自分が働いていたスーパーでは手巻きで恵方巻を作っていたので、まだ日も上昇っていない早朝と言えるかわからないくらい真っ暗な時間から準備をはじめ、ずーっと巻き続けるという経験は恵方巻への感謝、ひいては執着心を持つ理由として容易なものでした。
しかし去年、自分はあろうことか恵方巻の予約を忘れてしまいました。恵方巻の予約は意外と早く終了してしまうのです。早いところだと1月中旬ごろに。
しかも2021年はなんと1897年以来124年ぶりに2月2日が節分の年であり、そんな貴重な年の節分に私は恵方巻を買うことができず、スーパーで買ったお刺身を炊いたご飯に乗せ、黙って南南東を向き食べました。
来年は絶対に恵方巻を食べる。
2021年もいろいろなことがありましたが、これ以上に強い決心をしたことはありません。
そして今年、しっかりと恵方巻を予約し明日店舗で受け取る予定です。今年の方角は「北北西」らしいのですが、正確には「北北西のやや北」だそうです。やや北って。
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