キャリア・アドバイザー視点から思う「結婚生活・家庭生活」の重要性

こんにちは。東京国立市の結婚相談所きずなコンシェルジュの寺西です。

私には、婚活カウンセラーの他に15年継続しているキャリア・アドバイザーとしての本職があります。これまで3000人以上のビジネスパーソンと出会い、キャリアの選択に立ち会ってきました。

さて、タイトルの「結婚生活・家庭生活」の重要性ですが、なんだか当たり前のテーマに思います。

が、これまでの視点と異なるお話をしたいと思います。

それは、現役社会人にとっての「結婚生活・家庭生活」の重要性について、です。

家庭というものを感情的価値と機能的価値で捉えた場合、変わりつつある労働市場で揉まれる私達を支えてくれる家庭が、今後の時代において重要になるんじゃないか、という提言です。

単に結婚っていいよねー、といったテーマではなく、これからの時代変化の中で幸せな状態を目指すために必須なのが、家庭や人間関係という真剣な提言です。

今、私たちが直面する労働市場の現実

キャリア・アドバイザーの視点から、今、私たちを取り巻く世界で起こっていることを述べます。

・DX化(成果の可視化、定量化)により成果主義は益々拡大
・テクノロジーの変化に、人材の適性変化が追い付かない時代へ
・人への労働分配率は低下圧力の傾向(IT投資>人材投資)
・所得向上に対する大きな逆風(社会保険料や増税も含め)
・精神的、時間的余裕は競争激化により縮小傾向へ
・企業の社員活用期間の短期化(人材よりもIT投資へ)
・能力格差の拡大&逆転が難しい世の中へ
・人生100年時代(寿命が延びる)で苦しくなる人が増える
・ビジネスパーソンの現役年齢が益々若年化へ(キャリアの谷)
・資本主義システム(ルール)の外にある「場」が求められている
・人生の長期化におけるダブルインカム、家計単位の収入分散の重要性

仕事における競争ルールが益々高度化し、参加するビジネスパーソンにとっては精神的にも負担が増加する傾向にあります。

総じて、人間の能力の限界をビジネス市場(企業経営)のニーズが超えつつあるということです。スキルアップや資格もテクノロジーやアルゴリズムのスピードに追い付くことは不可能な時代になってしまいました。

企業側からみた人材投資は、社会保障や税金、不確定要素(モチベーション、病気、転職など)があり、再現性の極めて低いリスクの高い投資になりつつあります。

一方、個人を取り巻く仕事の環境も大変厳しく、終わりのない成長目標、高度技術化・競争化により差別化や優位性の維持が難しくなる以上、仕事で幸せになる、仕事で自己実現、というこれまで仕事で得られたはずの個人側のメリットが消失していく状況がこれからも続くと予測されます。

一方、組織は持続的な利潤を求め続けるため、積極的なテクノロジー投資を行なっていきます。人を育てるよりも、今ホットなテクノロジーを導入し、技術に最適な人を外部から採用するアジャイル型経営へのシフトは止められません。まさに、組織と個人の歯車、変化適応のスピードが既に追い付かない時代へ突入しています。

なぜ、家庭なのか?

仕事でキャリアアップを目指し、自己実現を図ることが困難になりつつある世の中で、資本主義のルールの外で自分らしい人生を実現する場はあるのか?

それが残されているのが家庭です。特に老後を迎えた時に自分がしっくりくる家庭があるかどうかは大きな影響を及ぼします。

また、寿命が長くなった時代を生きるための家族の機能的価値についても考えておく必要があります。

以下の視点で考えることも重要です。

・仕事での自己実現が難しくなる(達成状態の短期化傾向)
・個人単位よりも、家庭という組織で変化に適応する必要がある
・個々の強みや役割を活かし、持続可能な家庭を目指す必要がある
・資本主義のシステムを持ち込む必要のない「安らぎの場」が必要

総じて、経済危機や災害、感染症などクライシス的現象が起こる時代では、家族の協力が高い機能的価値を生み出します。

また、高齢化社会において出産期と介護期が、仕事の繁忙期と重複するなど、独り身で親を支える負担は年々大きなものになっています。

家庭は幸せの目的自体になり得る

仕事は収入や自己実現、社会貢献欲求を満たすために必要ですが、多くの方は金銭的報酬が充分になった場合に、本当に好きな仕事に時間を投じ始めます。よって、経済的リターンを目的とした活動という要素が強いといえます。

では、家庭は?

家庭は、存在自体が目的になり得ます。最小組織でありながら、最も結束が固く、利害が一致する共同体です。

感情的価値でいえば、人生を捧げても得たい「安らぎの場」ともなります。
(もちろん、独身を希望される方も多くいらっしゃいますが)

個人的な見解になりますが、逆風の時代においては家庭が物心両面の支えとなってきました。
近年の経済成長を謳歌した時代においては、独身貴族といわれるライフスタイルも定着し、人生の選択肢が増えたように感じますが、今後の私たちを取り巻く生活変化によっては、生き残るための時代最適化が重要視されます。

家庭を感情的な側面だけではなく、機能的価値から見直すことで、生き残るための選択肢として真剣に考えるべきかもしれません。

最後にお伝えしたいこと。

それは家庭に資本主義のシステムを持ち込まないこと。
社会的な競争を家庭に持ち込まないこと。子育てに持ち込まないこと。
職業哲学が資本主義のシステムに呑み込まれていく中で、最後に残る場が「家庭」です。

人間らしさが最後に残る場に、外の競争社会を持ち込まないこと。
今、婚活を含めて夫婦、家族が競争・他社評価の資本主義システムに組み込まれつつあります。仕事、収入の低下による離婚、損得重視の結婚生活増加。30%の離婚率の上昇傾向。水面下で家庭生活格差が広がりつつあることを感じています。

私がキャリア市場で感じる危機感とは、乾いた競争社会に組み込まれる個人の息苦しさです。この息苦しさが家庭に流入しつつある資本主義のシステム。自分の家庭を守るためには、しっかりとした家庭観を持ちたいものです。

家庭内の感情的劣化を回避し、人間的な生活を意識的に取り戻す必要があるのではないでしょうか。

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