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写真と言葉 (2)

”言葉を添えることで少しはこちらの意図がつかみやすくなるのであれば、それも"制作の一工程"として取り組むべき”という考えのもと、今まで避けてきた「自分の写真の説明行為」に取り組むことにしたのだが、、、。

 またひとつ大きな問題が。
当たり前のことですが、言葉で表現することに関して自分は全くの素人なのでした。せっかく労力を費やして築き上げた己の作品。それを一言で台無しにしてしまうような文言しか思い浮かばない。。。言葉で説明することを想定してこなかったツケが早くも現れてきてしまい正直参りました。好きなように感じろ、と他人には言っていたその当人が何も語れない。とんだお笑い種です。

撮ったのは自分なのになぜこうなるのか。それは深く考えるまでもありませんでした。"写真(視覚情報)"と"言葉(論理的思考)"はもともとアプローチの方法が全く正反対のもの。言葉は読み進めていかないとイメージが沸きませんが、写真は言ってしまえば”出オチ”に近い。なので作り出すために使う脳みその場所がそもそも違うんです。というわけで 初めから良い文章を書くことは諦めて、ひとまず”言葉”と”写真”の役割を切り離してとらえることにします。

言葉はあくまで道標。
心を揺さぶるのは視覚情報。

絵柄に自分の意志が表現されているのであれば、その瞬間に辿り着くまでの過程を語るだけでも付帯的な要素が充分に伝わるはずです。その意志が表現しきれているかどうか、これはもう感じる人次第なので良い方向に感じてもらうよう祈るより他ありません。「なんとなく良いなぁ」と思って撮ったものは 写真そのものも「なんとなく」しか伝わらないんです。「良い」と思った自分の感覚をもっと掘り下げるべきなのでしょう。何が良かったのか。なぜ良かったのか。それを全て言語化して並べてみて、言葉で説明するのはどこまでか、心で感じてほしいのはどこなのか を線引きして、その「感じてほしい」部分までの道筋になるように言葉を選ぶ。そのくらいなら自分の拙い文章力でもなんとかなるのでは。

例えばTOPの写真について。こちらは写真展にも出したものですが、その時につけたタイトルは「闇に舞う」。まぁこれはこれでシンプルで悪くないですがもうちょっと補足したかったのが本音。制作過程に考えていたことを箇条書きにすると、

  • 「夜のファッションスナップ」という企画撮影

  • 日没後の屋外で「ストロボ1発どーん」というラフな撮り方

  • ”ちょっとズラし”の表現にチャレンジしてる

  • 「単なる綺麗さ」よりも「おどろおどろしさの中のファッション感」

  • 衣装は”使われなかった切れ端”を集めたもの。

  • 正式な衣服とはなれなかった布地たちの残留思念。

結局、感じてほしいのは「闇夜に浮かぶ 奇抜かつ どこか儚げな衣装」。そして、それらは写真の中に”すでに写って”は居る。特に”奇抜”さはわざわざ言葉で言うまでもなさそう。その中に”儚さ”を見出してもらうのが鍵となりそうです。サイドストーリーを添えるくらいで良いのかも。というわけで新たに考えてみたのがこちら。

使われることのなかった切れ端の布たち。それらを繋ぎ合わせると、月明かりに照らされたかのように闇夜に浮かび上がった。思い描いていた姿とは少し違ってしまったけれど その姿はまぎれもなく”衣装”であった。

どうでしょ?衣装へと転生できた端ギレたちの想いを感じませんか?この導入があった方がより写真の中の世界へ没入しやすい気がしますよね。言っときますが「月明かりちゃうやんけ!」という突っ込みは受け付けません(笑)。雰囲気作りが大事なんです。

やっとの思いで作り上げた大事な作品。世に出すなら ほんの少しでも手を止めて じっくり観ていただける時間をもってもらえるように仕掛けを作ってあげないともったいないですね。


ちなみにこちらの作品は6/29(水)~7/18(月)まで 大阪のFUJIFILM Imaging Plazaで開催される写真展にてご覧になれます。(本名名義で参加してます)興味のある方は是非 実物を観ていただけると幸いです。
https://imagingplaza.fujifilm.com/osaka/gallery/220629/index.html
以上、宣伝でした。


最後までお読みいただきありがとうございました。

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