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【ネタバレなし感想】千里の棋譜

(※すみません、クリア時間の入力をミスしていました。55→25へ修正しました)
本編のクリア時間は約25時間ほど。しかし、今でもおまけモードの詰将棋を定期的に遊んでいるので、プレイ時間自体はもっと長くなっている。

このゲームは将棋を題材としたお話なのだが、プレイ前の私の将棋知識はというと、
・ルールは本当に一切分からず、対局を見たこともない
・歩(ふ)←「ほ」
・羽生さん、ひふみん、藤井君は知っている

この程度の知識(とも言えないが)しかなく、「王将をとったら勝ち……なんだよね?」と、大袈裟でもなく本当に何も知らない状態だった。
そんな私がこれをクリアした今では、現在行われている王座戦を見ているくらいには将棋に興味を持った。
つまり、私のような、将棋に関して謙遜でもなんでもなく本当に何も知らない人間でも楽しめるゲームだったということが、この記事で最も伝えたいことだ。
なんだか怪しい通信販売のような導入になってしまったが、とにかくとても面白いゲームだったので感想を語っていきたい。

始める前は、左に書いている「歩」も「金」もなんのことか分からなかった私

感想その1:将棋初心者にも優しい解説
基本は、フリー記者の一ノ瀬 歩(いちのせ あゆみ)目線で話が進むのだが、このキャラクターは「将棋のことはよく分からない」ので、何も分からない私と同じ目線でプレイすることができた。
序盤から意味の分からない単語がたくさん出てくるが、一つ一つきちんと解説がついていて後からでも読み返せるので、それを都度読めばある程度のことは理解できた。(知っている人は飛ばせるのでストレスにはならない)
ただ、何も知らない私は全ての解説を細かく読んだうえで気になったことはスマホで調べたりしていたので、初めは進めるのになかなか時間がかかったし、かなり頭も使った。しかし、少しずつでも理解していくと、どんどん面白みが増してくる。(ちなみに、どの駒がどう動くか、成ったら何になりそれがどう動くかをメモ帳に書いてそれを手元に置いてプレイしていた)
後半になると初歩の初歩は調べなくても分かるようになっていたので、「あ、これ、前に出てきたやつだ」と、某ゼミのセリフのようなスッキリ感を味わうことができた。

感想その2:将棋のように計算された、美しくて丁寧なストーリー
無駄なく計算されたストーリーには、それこそ将棋を連想させられた。
内容については触れないが、ストーリーを進めるごとに明らかになる謎、伏線、そして、それに沿って揺れるキャラクターたちの心情がとても美しかった。
千里の棋譜は第二部までストーリーがあるのだが、一部と二部は完全に分かれているわけではいないので、進めていくと、「ここまで考えてたんだ……」と驚くポイントが何度かある。そしてもちろん、一部をクリアしたからこそ、二部でのキャラクターたちへの感情移入も強くなるので、頭を抱えたプレイヤーも多いだろう。
厳しさや優しさ、驚くべき真実、そんな魅力がたくさん詰まった素敵なストーリーだった。

プレイする前はサイトを見ておらず、二部あるということを知らなかった

感想その3:リアルなキャラクターたち
リアルというか、実在している方たちが実際にキャラクターとして登場してくるのでかなり面白い。もはや、架空のキャラクターたちよりキャラが濃く感じたのは私だけだろうか。
特にこのゲームの監修にも携わっている高橋道雄九段が印象的で、この方の親しみやすさが、初心者には少しハードルの高さを感じる将棋というテーマでも、抵抗なく入り込めたと感じた。

親しみやすくて可愛い

もちろん他の実在の棋士の方たちもいいキャラをしていて、架空のキャラクターたちと話していても全く違和感ないのがすごい。この場にいるみんなが実在しているのではないかと錯覚するほど自然なのだ。逆に架空のキャラクターたちもとてもリアルで、彼らの心の動きに私の心もかなり揺さぶられた。もはや人間ドラマである。

タッチはリアルなのに、ちゃんと他のキャラクターたちと混じるのがすごい
みなさん、キャラが立っていて面白かった

感想その4:ゲームボリュームについて
私は事前情報を何も見ずにプレイしたので知らなかったのだが、先ほども書いたようにこのゲームは二部制で、かなりのボリュームがある。
一部をプレイしている時点で、キャラ一覧の上に「第一部」と書いてあるのでもしかして……? と思ってはいた。しかし、一部だけでもかなりのボリュームがあったので、おまけのちょっとしたストーリーかな? と思っていたのだが、驚くことに本編二部制だった。
ちなみにこのゲーム、公式HPに書いてある価格は
パッケージ版 3,666円(税込)
ダウンロード版 3,000円(税込)

安すぎる······!

私はSteam版をセールの時に購入したのでもう少し安かった。このボリュームがこの値段で買えるなんて驚きである。しかも、ストーリーの他にも詰将棋や将棋教室という遊べるモードもあったりするので、三千円ちょっとでものすごい時間遊べる。
冒頭にも書いたように、クリアしたのは少し前だが、今でも空いた時間に詰将棋をちまちまとプレイしているので、プレイ時間は今でも増え続けている。

このモード、かなり楽しい

まとめ
正直、初めは将棋というテーマだけで少し気後れしていたところはあるのだが、ミステリーアドベンチャーという大好きなジャンルだったので、とりあえずプレイしてみよう、とこのゲームを手に取った。
しかし今、私の人生で一度も縁のなかった将棋を教えてくれたこのゲームに、とても感謝している。新しい価値観、発見を手に入れるというのは、いくつになってからでも素晴らしいことだと思う。
そして、心揺さぶられるストーリーに美しい音楽。
本当に素晴らしいゲームだった。
冒頭にも書いたが、私のような、将棋に関して何も知らない人間でも楽しめるゲームだということが、この感想で最も伝えたいことだ。
なので、興味はあるけど将棋は分からないな、と悩んでいる人に、大丈夫だよ、と背中を押すことができればとても嬉しい。

最後にMista Storiesさん、素晴らしいゲームをありがとうございました。

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