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週間少年マガジン原作大賞応募作品【名探偵はVtuber】第三話

「上がっていい?」
「どうぞ」
俺らは愛に案内されてリビングに向かう。
「飲み物取ってくる」
「ありがとう」
加藤は笑顔で言った。
愛はキッチンに向かった。
ソファーに座っていると、加藤が俺の隣に来て話しかけてきた。
「可愛いよね」
「ああ、そうだな」
「でも、どうしてあんな格好をしているんだろう?」
「さあな」
俺と加藤は彼女が戻ってくるまで、適当に雑談をしていた。

しばらくして、愛が戻ってきた。手に持っているトレーの上には人数分のグラスとお菓子が置いてある。
それをテーブルの上に置いた。
愛が座ったと同時に俺はUSBメモリを渡した。
彼女は中身を確認する為にパソコンを開く。
パソコンの中には、とある警察の情報が入っている。愛はパソコンを操作しながら、USBメモリの中に入っているデータを読み込んだ。
読み込みが終わると、今度はUSBメモリをパソコンに差し込む。
そして、USBメモリの中に入っているデータをコピーし始めた。
俺はその様子を眺めていた。
作業開始から20分後、USBメモリ内のデータの複製が完了した。
愛は更に自分のパソコンの中の情報と確認して、俺にデータファイルを送信してきた。
「支払いはいつもの口座に振り込んでおいて」

「分かった」
「それと、このUSBメモリは返す」
「了解」
愛はUSBメモリを俺に投げて返した。
それを受け取ると、ポケットの中にしまう。
「用件は済んだ、じゃあ帰るか」
俺が立ち上がろうとすると、愛が止めてきた。
家に呼ばれた時から嫌な気がしていた。
「待ちなさい、家に呼んだ理由はわかってんでしょ」
加藤が首を縦に振ったので、俺も諦めた。
俺は愛から貰ったデータファイルを加藤に見せた。
「問題無いね、後はリカがどうにかしてくれると思うよ」
そう言って加藤は寝り始めた。
俺はパソコンのセッティングを始めた。加藤は眠ってしまったので、俺は1人でパソコンと向き合っていた。
俺はパソコンを起動させ、パスワードを入力する。
デスクトップが表示されると、俺はUSBメモリーを差し込んだ。
中にはいくつかのフォルダがある。
俺はその中から『R』と書かれたフォルダを開いた。
Rのフォルダ内には、リカのアバーターデータが入っていた。
30分程して加藤が起きた。
「おはようハヤっち」
「あぁ、おはようリカ」
相変わらずのハイテンションだ。
加藤リカとは加藤理沙のもう一つの人格だ。
理沙とリカは寝ている間に変わるらしい、俺も詳しくは知らない。
リカは鞄からシュシュを取り出して、
髪を括り始めた。
「愛ちゃんもお久さー」
「お久しぶりです、リカ様」
「因みに此処ってどこ?」
「私の家でございます」
「愛ちゃんコテ貸してもらってもいい?」
「勿論です」
「ありがと」
リカは愛からコテを受け取り、髪型をセットし直す。
「出来た!どう?」
「似合ってますよ」
「でっしょー!」
加藤は俺の方を見る。
「ハヤっち何か感想はないの?」
「ない」
「えぇ……嘘でも良いから褒めてよ」
リカは不満そうな表情を浮かべる。
俺は無視して、話を進めた。
「リカ、加藤が情報の精査を終わらしてくれてる」
「リサ流石過ぎるよー」
リカはデータファイルを確認し始める。
「リカどうだ?行けそうか?」
「ハヤっちさー私を誰だと思ってんの?」
「リカだろ」
「分かってんじゃん!私なら余裕に決まってんじゃん」
リカは自信満々だった。
俺はセッティングの終わったパソコンの配信ボタンを押した。

「皆見てるー?」
配信画面には視聴者のコメントが流れる。
コメント:一コメ
コメント:見てるぞ
コメント:待ってました
コメント:楽しみ
コメント:早く始めてくれ
コメント:全裸待機完了
コメント:↑通報しました
コメント:↑何故!?
コメント:↑当たり前だろw
コメント:↑お前もなwww
コメント:↑草
コメント:↑↑オマエモナー
コメント:↑↑↑(́・ω・)
コメント:おはよう
コメント:ようやく推理編か
コメント:早く犯人教えてほしい
コメント:犯人はヤスだ
コメント:↑なんでだよw
コメント:今日はどんな話を聞かせてくれるんだ?
いつも通り大量のコメントが流れ始めた。
コメント欄には様々な人がいる。
その中に事件に関係している人物の名前を見つけた。
「それでは本日はこの事件について語りましょう」
前回の配信を見てない人の為に、リカは事件のあらましを説明していく。
「最近同じ様な自殺をした4人の被疑者がいるだよねー」
コメント:知ってる
コメント:ニュースになってた
コメント:俺も見た
コメント:あれはやばかったな
コメント:全員自殺したんだよね
コメント:悲惨すぎる
コメント:何があったんだろうな
コメント:家族が容疑者なんだよね
コメント:マジ?
コメント:ソースは?
コメント:匿名掲示板に載ってた
コメント:ガセじゃね
コメント:家族が疑われるのは分かる
コメント:これって冤罪の可能性あるよね
コメント:でも、証拠が無いんじゃしょうがないよね
コメント:遺族は可哀想だけどな
コメント:これは完全にクロでしょ
「まあ、その話はまずは置いといて、今回はこの事件に共通している部分を解説するよ」
リカはUSBメモリを取り出す。
俺はUSBメモリをパソコンに差し込んだ。
USBメモリの中には、事件に関わっていると思われる人物達が映っている画像が入っている。
俺はUSBメモリに入っている画像を表示させる。
そこには、被害者の4人の名前が書かれていた。

◆ 最初の事件の被害者
名前は中村俊之
年齢は31歳男性
株式会社クロステックの代表

二つ目の事件の被害者
名前は辰巳秀明
年齢は30歳男性
株式会社パナソフトの重役

三つ目の事件の被害者
名前は金田大翔
年齢は35歳男性
株式会社エレクトの代表
名前は伊東有紗
年齢は27歳女性
株式会社エレクト代表秘書

リカはそれぞれの被害者が所属している会社と名前を読み上げた。
コメント:これがどうしたんだ
コメント:確かに共通点はあるけど
コメント:それがどうしたんだよ
コメント:なんか分かったのか
コメント:全然わからん
コメント:↑同じく
コメント:俺も分からん
コメント:まだ始まったばかりだしな
コメント:とりあえず続き見ようぜ
コメント:そうだな

「この三つの会社は、ある事業の競合同士なんだよねー」
リカはUSBメモリー内の画像を切り替えた。
そこには、3つの会社の事業内容が表示されている。
リカはその三つに共通する部分を見つけ出した。
それは、全てIT関連と言う事だ。
コメント:だからどうした
コメント:そんなの誰でも考えつくだろ
コメント:普通に考えて偶然だろ
コメント:他に何か無いの?
コメント:俺的には、エレクトとパナは仲が悪いイメージがある
コメント:↑俺も思った
コメント:俺も
コメント:俺もだわ
コメント:俺も

「ニュースにもなった談合事件が此処で関係してくるんだよね」
リカは更に説明を続ける。
「この3社は同じ新事業を始めようとしてたんだよー」
リカのテンションが上がってきた。

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