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【パラ陸上 | あれこれ #12】 世界パラ陸上 ヨーロッパ選手権 1日目 pm 観戦記

World Para Athletics European Championships の初日から連日ライブ配信されています.1日目のイブニングセッション開始とともに,T64(義足クラス:片方の膝下切断で義足)の男子走幅跳にドイツのREHM Markus選手が出場しました.8m62(+1.0)という衝撃的な世界記録で優勝しました.1回目が8m19(+0.4),2回目が8m46(+0.1),3回目が8m62(+0.1)と試合の展開としても圧倒的なものであったと言えます.彼のこれまでの試合を振り返ると,試合の中で自身の当日の感覚や走路の状態,風速などを測って徐々に記録を伸ばしていける能力に長けていると感じます.また,他の選手と比較してファウルの回数が少なく,安定した助走を行えるということも特徴として挙げられます.この先,果たしてどの程度記録が伸びていくのか,単純に風速だけでも追い風が許容範囲の2mであったとしたら,9m近くまで跳んでしまうのではないかと思うくらいです.日本の試合にも度々出場していたので,東京パラリンピックで9m近い跳躍が見られることを楽しみにしています.

実はこの日は,ギリシャのMALAKOPOULOS Stylianos選手(T62;義足クラス 両方の膝下切断で義足)が1回目の跳躍時に義足が割れるという衝撃の展開から競技が開始されました.MALAKOPOULOS Stylianos選手は6回目の跳躍まで続けましたが,残念ながら記録なし(NM)で競技を終えました.下記のYoutubeでその様子が配信されていますが,助走から踏切に入る直前に「バン!」という大きな音がしたかと思うとバランスを崩してしまい砂場に倒れ込んでしまっています.無事で何よりでした,REHM Markus選手やフランスのPAVADE Dimitri選手(今大会2位;6m98(+1.0))など他の選手も駆け寄って日常用の義足を持ってくるなどしてサポートしていました.思いもよらない形で自身のパフォーマンスを発揮できなくなる可能性があることを再認識させられました.安全に競技を行えるようにしなければならないとも思います.

T20(知的障がいクラス)の男子400m決勝でイギリスのBLANGO Columba選手が47秒90のヨーロッパ記録で優勝しました.BLANGO Columba選手は100mの通過が13秒13,100mから200mが10秒89,200mから300mが10秒97,300mから400mが12秒91というスプリットタイム(Intermediate Times)でした(公式リザルトより).レースの様子は下記から確認できます.今後も要チェックです.ちなみに世界記録が46秒86という記録ですので,なんとまあレベルの高いクラス(笑,だと思います.

T63(義足クラス;片方の大腿部の切断で義足)女子100m決勝では,イタリアのCAIRONI Martina選手が15秒01(-0.3)で優勝しました.かなり体重を絞った印象があり,これまでよりも前傾を意識して,ピッチを高める走法になっていると感じました.また,2位にはスイスのKRATTER Elena選手が入り,15秒94の自己記録でした.このクラスの100mは15秒台の選手がほとんどいなかった数年前から年々新たな選手が記録を更新してきており,更に激戦となることが想定されます.イタリアには,SABATINI Ambra選手という,2002年生まれの超新星でもいうのでしょうか,今年世界記録(14秒59)を樹立した選手がおり,今大会には出場していませんが,パラリンピックでその勇姿が見れることを楽しみにしたいと思います.このクラスは日本選手もたくさんいるので,対決が楽しみです.

地元ポーランドの選手に目を向けると,T47(片方の前腕の切断/欠損クラス)男子100m決勝で,DERUS Michal選手が11秒00(-0.2)で優勝しました.ヨーロッパ選手権の優勝が4回目(2014,2016,2018,2021)になるという,このクラスでの代表的な選手です(自己記録は10.73(-0.3);2015ドーハ世界パラ陸上).

T54(車いすクラス:両方の上肢機能が正常で体幹機能が部分的から正常に機能する)の男子100m決勝では,世界記録保持者のフィンランドのTAHTI Leo Pekka選手がなんと5回目のヨーロッパ選手権優勝を果たしました.安定したパフォーマンスで13秒95(+0.8)の記録でした(世界記録は13秒63).

明日も楽しく,観戦します.つづく

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