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読書録:「世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか」~説明のためには分析が、発想のためには?~

「世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか」読みました。

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”神速仕事術57”ってあるので、スピードアップ系のテクニックが満載なのかなと思いきや、著者の経験談系の話だったので、表紙買いした人は少し残念に思うかもしれません。

分析~鬼滅の刃を分析したら次のヒットを作れるのか?~

ただ、これは面白いなと思ったのは「分析は説明責任を果たすためには役に立つが、アイデアを出すには役に立たない」という話。

”鬼滅の刃を分析しても次のヒット作でないんじゃないかな問題”というのを考えていたので、すとんと腹落ちしました。

”マッキンゼー流”と言っているロジカルシンキングは、メーカー系の生産性向上や効率化のためのシックスシグマから派生していて、経営者やステークホルダーに説明責任を果たすためには向いているけど、未来に新しい価値を生み出すには向いていないというのが著者の主張。

(ちなみに、この本にはやたらとマッキンゼーdisが出てきて面白いです。故郷の村焼かれたのかな?)

クルーカードを使った発想会議

かわりにアイデア出しのためにやっているのがクルーカードを使用した発想会議。

1.雑誌の切り抜きや、写真、キーワードなどを書いたカードを何百枚も用意する(このカードがクルー=手がかり)

2.クルーカードを複数人で見ながら、並べ替えたり貼りだしたりして、組み合わせの方法を考えていく。

3.時間を区切り、アイデアを成果物として発表。

ブレインストーミングの要素がありつつ、手がかりカードをトリガーに発想を広げることで、さらにアイデア出しをしやすい状況を作っています。

この手の方法だと、手がかりカードにアイデアが誘導されるという問題が起こりがちなのですが、大量の手がかりカードを用意することで誘導が起きないようになっているのも優れているなと感じました。

とはいえ、何百枚ものクルーカードを用意するというのが結構大変だと思うので、私だったら会議の参加者に最初の15分で一人30個くらい出してもらうかな…いきなり課題から入ったほうが脳が活性化しそうです。6人いれば、180個の手がかりが手に入ります。

分析と発想の使い分け

著者も分析がだめだと言っているわけではなく、肝心なのは使い分けなのだと思います。

発想があっても、周りの人を巻き込むのには説明をせねばならないので、説得力を高めるためのツールとしては分析やロジカルシンキングを使っていく必要があるでしょう。

一方で、分析に時間をかけるより、発想から実現させ、そこから得た知見やフィードバックをもとに再試行するというサイクルを回し続けるほうがヒットは打ちやすいという感覚もあります。

私の仕事では必ず説得・プレゼンのフェイズが入るので、「発想→分析→説得→実施→報告」という流れを意識しながら仕事していくことが肝要なのかもしれません。

この本のおすすめ度

良くも悪くも著者の経験ベースの本です。

モルガンスタンレー→Google→独立と一流ビジネスパーソンの方ですので学ぶところはもちろん多いのですが、自分の環境において再現性があるのか、

当てはまるのかなどは差っ引いて考えないといけない部分は多いです。
冒頭にも書きましたが、仕事術というような体系だった技術の本ではないので、そこを期待すると期待外れかと思います。

すっごく仕事ができる先輩の話を聞くような気持ちで読むにはいい本だなと思いました。

おすすめ度:B(この人には役に立ちそうだなと思う人にはオススメするかもしれない)


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