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小説「寸止め(1)」(本編と設計図を同時掲載)


【本文】

1.
「コンブ美味い」
「それはワカメや、親父」
 おそらくそれは父なりの甘えなのだろう。ただそれは「正しい言葉を使いたい」と言う裕也の願望を逆なですることに他ならなかった。
「親父、もう学校行くわ」
「……」
 彼が作った目玉焼きと、味噌汁はまだ半分ほど残っている。会話のキャッチボールがそもそも成り立たないこの人の繰り言を背に受けながら、彼はカバンを手にし玄関に向かった。
 父親とのこのような生活は、もう4年ほど続いている。
 おそらく父は何らかの偏った傾向を持つタイプの人として、専門家は判断するのではなかろうか。
 都合よく物事を解釈し、相手の立場に立って行動することがない。家族のストレスは時に怒りとなり、激烈な感情となって爆発したこともしばしばであった。
 裕也が物心ついてから、父が働く姿を見たことはない。反対に母は総合病院で働く看護師であり、仕事でも、家庭でもひたむきに働く姿が鮮やかな印象として残っている。何より母は、よく読み、よく考え、よく話を聞き、その上で確信を込めて語る人であった。
 彼が幼かった頃、眠る前に読み聞かせてくれた物語があった。一本の桜の木を世話する老人と、一人の少年との交流を描いた話である。戦火で焼け、もう枯れている木がどうして花開くものか。そのような嘲りを受けながらも、最後桜の木はどうなったか。その結末を裕也は覚えていない。話を聞いているうちに眠ってしまったのか。それとも、せっかく聞いた話を右から左に流してしまったのか。
 優しくも怖い人、自分の心の汚さ、打算、ずるさをレントゲンのように透視されているように感じる人。それが母であった。そのような女性と、なぜ父親が一緒になったのかはよくわからない。父親違いの姉を育てていたシングルマザーの母が、父と再婚したいきさつも、そして4年前、突然姉と一緒に家を出ていった直接的な事情も、自分にはおぼろげに感じることしかできなかった。

【設計図 きざむ文章(選択式文章法)】

1.
「コンブ美味い」
「それはワカメや、親父」

#主人公である裕也が父に感じている「アレルギー的な反発」それをどれぐらいの解像度で描くのか?

 ①このような会話が、(幾度/どれほど)繰り返されてきたことであろうか。
 ②(この部分は割愛する)

 ①味噌汁の中に入っているのは(紛れ/他で)もないワカメ。
 ②(この部分は割愛する)

 ①(笑いを取るため/ウケ狙い)のボケでもなく、(完全に)分別がつかない人の繰り言でもない。
 ②(この部分は割愛する)

#言語化能力の高い(不良/危ない少年)。裕也の(人物像/キャラクター)を一言にして言えばそうなる。

#あまりにも冒頭に詰め込みすぎ「読者の理解が追い付かなくなる」事態を回避するため、「どれぐらいのペースで、(ジョッキにビール/グラスにワイン)を注いでいくのか」

(おそらく)それは父(なり/流)の(裕也に対する)(甘え/依存心の現れ)なのだろう。ただそれは「(ピンポイントではまる)(正しい/精度の高い)言葉を使いたい」と言う(彼/裕也)の(願望/感性)(を逆なですること/に沿わないもの)(に他なら/という他)なかった。

「親父、もう学校行くわ」
「……」

裕也が作った(食べかけの)目玉焼きと、味噌汁はまだ半分ほど残っている。会話のキャッチボールが(、そもそも)成(り立た/立し)ないこの人(物)の(いつもの)繰り言を(背に受け/振り切り)(ながら)、彼はカバンを手にし玄関に向かった。

父親との(このような)生活は、もう4年ほど続いている。

#いわゆる発達障害的な傾向を持つ父の人格をどのように表現するのか。
#フィクションとしての完成度と同時に、読む人の経験や知識によって、(微妙/様々)な反応が予想されるこの題材をどう取り扱うのか。


 ①(正式に)診断を受けた事は無いのだろうが、
 ②(この部分は割愛する)
 おそらく父は
  ①いわゆる発達障害(の当事者)
  ②(何らかの/かなり)偏った(傾向/個性)を 持つタイプの人として、(医者/専門家)は判断するの
 ではなかろうか。
②(この部分は割愛する)

(常に)都合よく物事を解釈し、相手の立場に立って行動することがない。(家族の)ストレスは時に(激烈な)(感情)となって爆発(した/る)ことも(しばしばで)あった。

#以下の部分を加えるのは冗長な印象をぬぐえない。
#その上で、もしあえて入れ込むとすれば理由は何か? その後の伏線としてどう効果を持ちうるのか?

 ①かつて共に暮らしていた母親(と妹も)そうであり、裕也自身も
  ①同じ(く)
  ②そう
 であ(る/った)。
 ②(この部分は割愛する)

 裕也が物心ついてから、父が働(いていた/く)姿を見たこと(が/は)ない。反対に母は(総合病院で働く)看護師であり、仕事でも、家庭でも

 ①(かいがいしく/ひたむき)
 ②(一生)懸命

 に(働く/励む)姿

 ①が鮮やかな印象として残っ
 ②を(覚え/記憶し)

ている。(何より)母は、よく読み、よく考え、よく話を聞き、(その上で)確信を込めて語る人であった。

#著者としての自分にとっても、この裕也の母親は特別な思い入れを感じる人物。
#ただし、「思い込み」と「思い入れ」を取り違え、メタ認知的なアプローチを失うことは「独りよがり」の坂道を転がり落ちる結果にもなりかねない。
#今後の執筆においても、「生産性」と「伝えたいこと」の(関係性/バランス)をどう(調和/整合)させるか、その過程と判断をすべて読者の皆様に公開していきます。

 彼が幼かった頃、(眠る前に)読み聞かせてくれた物語があった。一本の桜の木を(慈しむ/世話する)老人と、(一人の)少年との交流を描いた話である。戦火で焼け、もう枯れている木がどうして花開くものか。そのような嘲(笑/り)を受けながらも、(結果/最後)、桜の木はどうなったか。その結末を(なぜか)裕也は覚えていない。(母は確かに最後まで読み聞かせしてくれたであろう。)話を聞いているうちに眠ってしまったのか。それとも、せっかく聞いた話を右から左に流してしまったのか。

 ①優しく(も)(怖/恐ろし)い人、
 ②(この部分は割愛する)

 自分の心の汚さ、打算、ずるさをレントゲンのように透視(するかのごとく見抜か/さ)れているように感じる人。それが母であった。そのような女性と、なぜ父親が一緒になったのかは(よく)わからない。(自分にとっては)父親違いの姉を育てていた(シングルマザーの)母が、父と(一緒になっ/再婚し)たいきさつも、そして4年前、突然姉と一緒に家を出ていった

 ①(直接/決定)的な
 ②(この部分は割愛する)

(状況/事情)も、自分には

 ①見当がつか
 ②(おぼろげに/漠然と)感じることしかでき

なかった。

【皆さまへ】

近藤圭太です。

これからの時代、もの書きが人間にしかできない価値を提供するためには、こういったアプローチ(がベターな方法にな/も有効に機能す)るのではないかと考えています。

今回の実験的な取り組みを通じて、私の拙文に触れた皆様が何らかのヒントにしていただければうれしいです。

皆さんが様々な状況で文章を考える上において、この「選択式文章法」を必ず(しも)使う必要はないと思います。

ただ、以下のような場合において、生産性を高め、より有利なポジションで仕事を進めることができるチャンスがあるとしたら、応援したいと思っています。

①いわゆるウェブライターの方
②クライアントに対して、単価のアップを交渉したいライターの方
成果物やポートフォリオを収めると同時に、選択式文章法の別パターンを資料として提示。
「このようなパターンの文章も作れます」
「このように深掘りしたアプローチで、付加価値の高い仕事も可能です」
という切り口で活用されてはいかがでしょうか。

③会社において、上司とのコミュニケーションを円滑にしたいと考えている方

ChatGPTに考えさせた文章も「ひと工夫」すれば、切れのあるフレーズに!

この作品の読者の皆さんを対象にした、Discordを開設します。「自分ならこう編集する」等のご意見や、感想なども寄せていただければうれしいです。


あと、「人間にしか提供できない、希少価値のある言葉のプロ」を応援するYouTubeチャンネルをこれから本格的に運営していきます。

ゼロサンよく読むドットコム

「自分の実力を、ポートフォリオとしてPRしたい」
「インタビューのやりとりの動画を、自分のスキルを提供する素材として使いたい」

そのような方がいらっしゃいましたら、お気軽にお電話ください。
お話をお伺いした上で、動画のコラボレーション出演について説明させていただきます。

0120-03-4946(ゼロサンよく読む)
ゼロサンよく読むドットコム
主催者兼管理人 近藤圭太

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