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ChatGPTは同人作家の相棒になりうるか

ChatGPTが2022年11月に発表されて以降、その活用方法や活用の可否といった話題を様々な場面で見掛けるようになりました。私は普段、WEBメディア運営やコンテンツマーケティングに少し携わっているため、メールマガジンやセミナーのタイトル、リード文作成の際に利用したりしています。

その過程で考えました、「これって同人活動にも使えるのでは?」
AIと創作の関係については、特にイラスト方面では多くの問題もある一方、Twitter上ではチャットAIとの面白やり取りが頻繁に流れてきたり、様々な試みが行われるようにもなっています。ChatGPTは使い方によっては、仕事だけではなく、勉強、遊び、創作など様々な場面の相棒になってくれそうかも……?

そこで今回は、同人作家にとって有効なChatGPTの使い方を探ってみました!
※以下、BL創作を具体例として扱っています。

1.そもそもChatGPTって?

ChatGPT(チャット ジ―ピーティー)とは、アメリカの人工知能研究機関であるOpenAI社が2022年11月30日に公開したAIチャットサービスのことです。調べたいことや相談したいことを入力すると、チャット上で答えてくれます。
利用には登録が必要ですが、メールアドレスと電話番号だけで簡単にアカウントを取得でき、2023年5月現在は無料で利用することも可能です。英語のサイトですが、チャット入力欄に日本語で入力すると、日本語で返答してくれます。

2.できそうなこと

では実際に、どのような活用方法が考えられるでしょうか。今回は主に以下のパターンに分けてみました。

①文章校正(誤字脱字などの添削)
②創作の補佐
③相談相手

後ろ2つは後述するので、まず「文章校正(誤字脱字などの添削)」について解説をすると、「以下の文章を添削してください」と入力し、文章を入れると誤字脱字チェックをしてくれます。これは文字書きさんにとっては使いどころのひとつでしょう。ただし、気をつける点が2点あります。

・文字数制限がある(正確な数は不明ですが、日本語の場合1000字前後)
・修正箇所が明示されるわけではないため、自分で比較して確認、検討する必要がある

試しに800字程の文章を入れてみたところ、意図的に仕込んでいた誤字が修正された状態の文章が出力されました。日本語としては正しいのですが、その修正が文意に沿うか、それを採用するかといった点は一度確認する必要があると思いました。

3-1.タイトルを考えてもらう

ここからが本題、「創作の補佐」についてです。まずはChatGPTにタイトルを考えてもらいました。

①コミカルな作風の場合

1つめ、特定の作品名が出てしまっていますが、これより以前にこの作品に関する入力はしていません。ChatGPTが既に学習していたジャンルということなのでしょうか……!?
「ムリになっちゃった」というオタクスラングも活用するChatGPTくん。水準はともかくとして、「コミカルな作風のBL」というのを出そうとしてくれている雰囲気は伝わります。
2、5あたりはアレンジを加えれば使えなくもなさそう……?

②エモーショナルな作風の場合

「エモーショナルな作風」と指定し、ストーリーについても「すれ違い」の要素を加えて依頼してみました。個人的には、ChatGPTくんはコミカルな方が得意なのかな?と思いましたが、質問の仕方によってはまた結果も変わってくるかもしれません。

3-2.あらすじを考えてもらう

創作の手助けとして、タイトル以外で考えられるのは「あらすじ」を考えてもらうことです。まだ形を持たないアイデアを作品にしていくにあたり、先に骨格となるあらすじを提案してもらうことで、イメージが掴めるという場合もあると思います。

そこで、「年下×年上BL」をテーマにあらすじを考えてもらいました。
(※以下、中の人の嗜好がかなり出ているのでこの設定苦手だな……と思う方はスルーしてください)

①コミカルな作風の場合

ふんふん、なるほど……

②エモーショナルな作風の場合

健太と隆人のすれ違い、すごい……わかる、こういうBL、知ってる……
この設定良いな……となったのでもっと欲しがってみました。

あーーー!!!! わかるわかる、隆人が秘密抱えていて自己防衛のために心を閉ざしているの、知ってる……そこにね、光の攻めの健太があえて踏み込んで、克服しようとしてくれるんだよね……好き過ぎ……
そして隆人のことが解決したことで、お互いへの想いが強まると同時に、今度は健太が自分のなかに生まれた感情に戸惑って……隆人のことを傷付けてしまいそうで……困惑するんだけど、健太に救われた隆人は健太が求めてくれることは何だって嬉しいし、今度は年上の余裕で、健太を包み込んでくれるんだよね……

更に、職業設定まで聞いてみました。

大正解。ChatGPT、年下×年上のボーイズラブの才能あるのでは? もうこれで1本書けるのでは? 見ず知らずの突然湧いて出た健太×隆人がもう他人とは思えない。健隆、流行ってほしい。

すごいです。「なんとなくこういうの好きだな、書きたいな」レベルの漠然としたアイデアが、どんどん具体的な形を持ってきました。実際にどこまで採用するかは別として、キャラクターや物語を組み上げていくうえでの考えるヒントになりそうです。
というかこのBL、読みた過ぎる。

3-3.創作のヒントを得るうえでの3つのポイント

以上、創作におけるChatGPT活用の実験を行ってみましたが、活用するうえでのポイントは以下の3つ。

①作風の指定
今回は「コミカル」と「エモーショナル」で設定しましたが、アウトプットには結構な差がありました。書きたい作風を決めたうえで指定することで、より合致するアウトプットに近づけることができます。

②数の指定
「5つ」や「いくつか」のように、複数出してもらえるように指定した方がいいです。実験中、数を指定しないと1~3つだけしか出てこなかった場合もあったので。また、出てきたものに納得できなかった場合は、「もう〇つください」というと出してくれます(ただこの場合、最初のものとクオリティにあまり差がないので、情報を追加してあげた方がまた違う提案をしてくれます)

③深堀する
ChatGPTは前段の会話を覚えているため、「あらすじ」の章でお見せしたように、突っ込んで聞いていくと様々な設定を具体的に提案してくれます。ChatGPTと対話しながら、設定を深めていくようなイメージで活用するとよさそうです。

4.同人作家のお悩みにも答えてくれる

これはちょっと番外編。ChatGPTは人の心の悩み相談にも乗ってくれるとのことだったので、同人作家が抱えそうなあるあるのお悩みを入れてみました。
(※実験のための質問であり、個人の意見や考えではありません)

①マイナージャンル編

「マイナーなカップリングを好きになったことを祝福したいと思います!」
ちょっと感動しました。最後に書かれているように、自分が楽しむことが大切な同人活動において、好きなものが見つかったことがまず祝福すべきことなんですよね……
そしてその好きを表明するためにも創作することを勧めてくれるChatGPT……同人作家への理解がすごい。

②メジャージャンル編

具体的なアドバイスを4つ提示してくれたうえで、やはり最後は「自分自身が楽しむことが最も大切」と締めくくってくれるChatGPT……
つい数を気にしてしまうことも多い二次創作の悩みについて、AIが本質を繰り返し語ってくれるこの現象、なんともいえない味わいを感じました。人から言われると「わかってるけどそう上手くはいかないんだよ!」と思ってしまいそうなところですが、AIに言われると、「やっぱりそうだよね……」と思わされる面もあるような。
ChatGPT、優しくて理性的な年上の先輩感があっていい……

5.まとめ

ここまでいろいろと実験をしてきましたが、「ChatGPTは同人作家の相棒になりうるのか」の答えは「ChatGPTは壁打ちに付き合ってくれる相棒になりうる」だと思いました。
タイトルを考えてもらったときのように、そのまま使える水準かというともう一息でしたが、考えるヒントをもらうにはいい気がします。

×)代わりに考えてもらう
〇)アイデアのたたき台を出してもらう

という活用の仕方がよいのではないでしょうか。考える工程は創作の楽しみのひとつですから、そこを代替してもらうのではなく、考えるのを手伝ってもらう、という感覚で利用するのが良さそうです。
ちなみにChatGPT、ビジネスシーンでのタイトル作成には強いんですよ、どういうタイトルがウケるかの法則性が割と明確だから。創作においても本来は流行こそあれど、人目を惹くタイトルの共通項は何かしらあるのではないかと思うので、これからより学習が進むか、利用者側が情報入力のコツが掴めれば、より精度の高いアウトプットも期待できるかもしれません。

いずれにしても、まだ発展段階のため、今後より便利な使い方も出てきそうな気がしています。「AIと創作の関係」はこれからどんどん変化していくと思いますが、創作活動にとってポジティブなものとなっていくといいですよね。ここまで読んでいただきありがとうございました。

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