「遺産分割調停の手続はどのように進むの?②」
はじめに
今回も遺産分割調停の進行についてお話をします。
遺産の評価・金額の確認
相続人の範囲、遺産の範囲が確定すると、次は遺産の評価・金額について確認が行われます。
預貯金や上場会社の株式など、客観的な価額が出てくるものはよいのですが、不動産や非上場会社の株式(亡くなった方が経営していた会社の株などが良く問題になります)の評価は難しいところです。
売却をしてその代金を分けるのなら問題にはならないのですが、特定の相続人が取得を希望している場合には、その評価で争いになることが多々あります。
なお不動産については、固定資産評価額、路線価、時価などがありますが、そのどれを採用するかについて合意が必要になるので、このような問題が起きます。
そして、この合意ができない場合には裁判所において鑑定を行うことで評価額を確定していくことになります。
この鑑定にかかる費用については相続人全員で負担することとされていますが、この費用は鑑定対象によって異なりますが、数十万~数百万円になることもありますので、負担になります。
具体的な遺産の分割方法の確認
遺産の評価が確定した場合、遺産をどのように分けるかを話し合います。
遺言が存在しない場合には、法定相続分に基づいて遺産を分割をすることになります。
ここでは法定相続分に基づいて誰が何を取得するのか、どのように分割をするのかといったことを話しあいます。
例えば不動産がある場合、売却して分けるのか、それとも誰かが引き継ぐのかなどといったところを具体的に協議をしていきます。
寄与分・特別受益の確認
この時、「寄与分」や「特別受益」といった法定相続分を修正する要素が主張されることがあります。
例えば、相続人の一人が被相続人に毎月生活費を出すなど経済的に支援していた、あるいは相続人の一人が被相続人の生前に多額の贈与を受けていた、といったことで、法定相続分どおりに分割するのは不公平だという主張がなされることがあります。
こちらについては寄与分や特別受益を主張をする人が、それを証明する資料などを出して立証する必要がありますが、ここも合意ができない場合には、調停はまとまらず、審判に移行して裁判所の判断を仰ぐことになります。
ただこの寄与分・特別受益は一般の方が考えるものと、裁判所の判断が大ききく異なるというのが実感ではあります。
ここまでのまとめ
このように、相続人の範囲、遺産の範囲、遺産の評価について合意ができ、寄与分・特別受益について合意ができて、ようやく具体的な遺産分割の話し合いに入ることができます。
このように遺産分割調停においては当事者の方々で一つ一つ合意をしていくことが必要になりますので、手続が長期化してしまうことも多くあります。
それを考えると、相続が始まった時点で調停になることを見据えて、すぐに弁護士にご相談をし、何が問題になりそうかを判断した上で、動き出すことが早期解決につながるかと考えます。
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