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本にまつわるエトセトラです。
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6月日記|書くこと。読書スタイルの変化と人間関係のこと。

■宝物のようなほめ言葉6月某日。尊敬する方に、お見せした原稿を手放しでほめられた。今でも夢なんじゃないかと思う。書くことを人生のなりわいの一つにしているとはいえ、本当に尊敬している––高校生の時から知っている––プロの書き手の方からの言葉だったから。 あたたかいお言葉と「!」やニコニコマークがいっぱいの感想原稿を受け取った日から、何度も見返している。愛を持って厳しいことも率直におっしゃる正直な方からの賞賛だったからこそ、うれしくてしょうがない。 上っ面だけの賞賛や心ない

2023年7-9月に出会った印象深いコンテンツたち

例年この手の記事を書くのは半年か1年に1回。ただ、この3ヶ月はかなり盛りだくさんだったので、記憶の彼方に行ってしまわないうちに…と思い、パソコンを開きました。 ※2023年上半期のnoteはこちら ※2022年のnoteはこちら。 ※2021年のnoteはこちら。 ■本・マンガ①『さみしい夜にはペンを持て』 ベストセラー『嫌われる勇気』のライターとしても知られる古賀史健さんによる中学生向けの本。 中学生向けではあるものの、これはそれ以外の年齢の人も、特にオトナたち

2023年上半期に出会った印象深いコンテンツたち

早くも折り返しを迎えた2023年。記憶が鮮明なうちに、上半期に出会った印象深いコンテンツたちをまとめておきたいと思います。 ※2021年のnoteはこちら。 ※2022年のnoteはこちら。 * * * * * ■本①キム・サンウク『K-POP時代を航海するコンサート演出記』 BTSをはじめとする数多くのK-POPアーティストのワールドツアーコンサート・ファンミーティングで総演出を務めてきた「PLAN A」の社長・代表プロデューサーであるキム・サンウク氏の著作。

「音」の時代がやってきた|『ボイステック革命 GAFAも狙う新市場争奪戦』読書録

●今日一日の「音」時間はどのくらい?あなたは今日、どのくらい「音」に時間を費やしただろうか。 「『音』って・・・?」と思われた方もいるかもしれない。ここでいう「音」とは、「音声のみで楽しむこと」を前提にしたコンテンツのことだ。 好きなアーティストの楽曲、ポッドキャストや音声ニュース、たまたま道ですれ違った人たちの何気ない会話・・・。それらはすべて「音」として感知され、私たちの気分を高揚させたり落ち着けたり、新しい知識を得るきっかけになったりする。 私はといえば、平日は毎朝

「ページターナー」小説『PACHINKO(パチンコ)』の魅力

■「そんなに有名だったとは・・・」久々に「まとまった感想を書き留めておきたい」という本に出会った。「まとまった文章を書きたい」と思っていた頃に、ちょうどこの本に出会い、突き動かされたとも言えるかもしれない。 それは、2017年2月に原作が刊行され、2020年に日本版が刊行された『パチンコ』という小説だ。アメリカでは100万部を突破し、オバマ前大統領の推薦もある。原著のAmazonレビュー評価は13,700件を超え、平均評価は★4.6。柳美里さんが『JR上野駅公園口』で受賞し

失う寂しさ、出会えた喜び

出会うはずのなかった本。 そしてきっと出会うべくして出会った本。 『昨夜のカレー、明日のパン』は私にとって、そしてこれを偶然読んでいるあなたにとってそんな本かもしれない。 …とここまで書いてキーボードを打つ手を止めた時、かけっぱなしにしていたBGMがディズニー映画『リメンバー・ミー』の主題歌に切り替わった。出来過ぎている。どちらも逝ってしまった人を想いながら生きる人を描いた作品だから。 ♪リメンバー・ミー  忘れはしない  リメンバー・ミー  夢の中で  離れていてもい

時代を超えて「いいもの」が遺る理由−外山滋比古さんの訃報に寄せて

考えるのは面倒なことと思っている人が多いが、見方によってはこれほど、ぜいたくな楽しみはないのかもしれない。 −『思考の整理学』あとがきより。 1.本棚にあった著者の生きた証 『思考の整理学』(1983)を著した外山滋比古さんが96歳でお亡くなりになりました。 この本のタイトルを一度は聞いたことのある方も、または実際に手に取ってみた方も多いのではないでしょうか。 訃報を聞き、私はすぐに本棚にあった『思考の整理学』を手に取りました。著者の外山さんの不在を実感できないままに

何度でも、また出会いたい

10代の頃、とてもすきで繰り返し読んでいた本がある。菅浩江著『永遠の森 博物館惑星』。(今見たら、Kindle版は660円だった…!) 全世界の芸術品が収められた衛星軌道上の巨大博物館〈アフロディーテ〉。そこでは、データベース・コンピュータに直接接続した学芸員たちが、日々搬入されるいわく付きの物品に対処するなかで、芸術にこめられた人びとの想いに触れていた。切なさの名手が描く美をめぐる9つの物語。 昔から美術やファンタジーがすきだったわたしにとってツボすぎるこの作品。あちこ

「一万円選書」当選物語:#7『トリツカレ男』

私が「一万円選書」に当選するまでとその後、選んでいただいた10冊の本について紹介していくシリーズ物note。今までのnoteはマガジンにまとめていますのでよろしければどうぞ。 *** 7冊目は、いしいしんじ著。『トリツカレ男』。 「何かに夢中になると、寝ても覚めてもそればかり」な主人公、「トリツカレ男」のジュゼッペ。この物語はこんな風に始まる。  ジュゼッペはみんなから「トリツカレ男」ってあだなで呼ばれている。一度なにかにとりつかれちゃうと、もう、ほかのことにはいっさ

「一万円選書」当選物語:#6『今日の人生』

私が「一万円選書」に当選するまでとその後、選んでいただいた10冊の本について紹介していくシリーズ物note。今までのnoteはマガジンにまとめていますのでよろしければどうぞ。 ***  6冊目は益田ミリ『今日の人生』。  どんな本かなと思ったら、中身は主にマンガでちょっとびっくり。ピンク、きみどり、水色、そして真っ黒なカラーページに印刷された見た目も美しい本。本の中では、イラストレーターのミリさんが、いろいろな「今日」を彼女の目線で切り取って伝えてくれる。  お盆に帰

「一万円選書」当選物語:#5『横道世之介』

 私が「一万円選書」に当選するまでとその後、選んでいただいた10冊の本について紹介していくシリーズ物note。今までのnoteはマガジンにまとめていますのでよろしければどうぞ。 ***  5冊目は吉田修一著『横道世之介』。  主人公は、大学進学のために長崎から上京した横道世之介18歳。地元を離れ、進学・就職したことのある人なら誰しも「こんなことあったな」、「この気持ち覚えてる」と思えるようなそんな小説。  中国語でも出版され、映画化もされています。映画の出演陣は高良健

「一万円選書」当選物語:#4『チーム』

 私が「一万円選書」に当選するまでとその後、選んでいただいた10冊の本について紹介していくシリーズ物note。今までのnoteはマガジンにまとめていますのでよろしければどうぞ。 ***   4冊目は堂場俊一著『チーム』。テーマはタイトルの通り、『チーム』について。文庫本の紹介文を引用します。 箱根駅伝出場を逃した大学のなかから、予選で好タイムを出した選手が選ばれる混成チーム「学連選抜」。究極のチームスポーツと言われる駅伝で、いわば"敗者の寄せ集め”の選抜メンバーは、何の

焦がれ続けた夢、叶う瞬間の静寂

 夢が叶う瞬間はいつも静かだ。叶うまでは、そわそわしたりどきどきしたりするのに、夢が叶う瞬間はいつも心がしんと静かなのはなぜだろう。 ■15年近く好きなひと 先日、私の人生の夢がひとつ叶った。夜の下北沢で。かれこれ15年近くファンの作家・江國香織さんに会いに行くという夢が。本屋B&B主催の江國さんの新刊『彼女たちの場合は』刊行記念のトークショー。  熱狂的にすきな作家やアーティストがあまりいない私。でも江國さんは別。どのくらいすきかというと、江國さんの長編小説やエ

「一万円選書」当選物語:#3『昨夜のカレー、明日のパン』

 私が「一万円選書」に当選するまでとその後、選んでいただいた10冊の本について紹介していくシリーズ物note。今までのnoteはマガジンにまとめていますのでよろしければどうぞ。 ***   3冊目は木皿泉著『昨夜のカレー、明日のパン』。2014年、本屋大賞第2位。NHKでドラマ化もされています。ドラマの出演陣も豪華。仲里依紗、星野源、鹿賀丈史などなど。  ちなみに「木皿泉」というのは夫・和泉勉、妻・鹿年季子による夫婦脚本家の名前だそう。夫婦で何か一緒に作品を作るって、い