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人生

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人生について徒然なることを徒然なるままに書いています。
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#夏

苦くて甘い「乾杯」を、一緒に。

あのお酒とあの思い出ハタチを迎えてから10年が経った。10年もあれば、大学や地元、会社や旅先でのいろんな「お酒」の思い出がそれなりに降り積もっている。 学生の懐にもやさしい値段の飲み放題のお店で、おそるおそる飲んだカシスオレンジ。だだっ広い河原でバーベキューをしながら、喉に流し込んだ缶チューハイ。寒い冬の恒例だった誰かの家での鍋パーティーに、必ずといっていいほどあった梅酒。たまに帰る実家で「せっかく季世が帰ってきたから」と、家族が用意してくれていた地元の日本酒やワイン。社会

選んだ道、選ばなかった道

 お盆に帰省して、ふと高校時代のことを思い出した。  高校生になりたての頃、私は卒業後のことを何も考えていなかった。小学生の頃からずっとその高校に入るのが夢で、そのためにがむしゃらにやってきた。入学して当初はまだそれでよかった。  でもしばらくして、進路について先生や同級生に聞かれることが多くなった。 「どこの学校に行く?」 「地元出たい?出たくない?」 「将来何になりたい?」  そのどれに対しても明確な意志も答えも持っていなかった私。焦りを感じ始め、

最後に泣いたのはいつですか?

 最近の私はちょっと涙もろい。ここ1年近くはほとんど泣いていなかったのに。  基本的に、「泣いても物事が変わるわけじゃないしな」と思っている節がある。でも同時に、「泣いてもどうしようもないからこそ泣くのかもしれない」とも思っている。それはきっと宇多田ヒカルの『time will tell』の影響だ。この曲はこんな歌詞から始まる。 泣いたって 何も変わらないって言われるけど 誰だって そんなつもりで泣くんじゃないよね  まあ、「泣き落とし」目的のこともあるかもしれないけれ

種をまく人

 子供のときに読んだ本の記憶はやけに鮮やかだ。  その本を通して初めて知った世界や感情があるときは特に。  『種をまく人』という本がある。子供のときに読んだ淡い緑表紙の薄いそれの内容を、大人になった私はほとんど覚えていなかったけれど、その本を読み終わったときの、あたたかな気持ちだけは覚えていた。  一ヶ月前に近所の八百屋兼花屋で朝顔の苗を買おうと思ったとき、同時に思い出したのは『種をまく人』のことだった。  自宅に苗を持ち帰ったあと、近所の図書館で『種をまく人』を借りた

袖振り合うも…

 夏休み。帰省したり旅行に行ったりする人も多いのではないだろうか。  この時期は、駅や街中でいつもと違う人とすれ違うことも特に多いだろう。私は実家を出てからは、この時期、新幹線で帰省するのが恒例になっている。  そんな中、私は新幹線にまつわる後悔の思い出が2つある。 願わくば、読んでくださっているみなさんがそんな後悔をしませんように。  これはそんな願いを込めたnoteだ。 駅のホームで困り果てていた老夫婦 ある日、乗車予定の新幹線出発間際、足早にホームを歩いて

七夕よ、もう一度。

 8月になった。8月といえば?お盆、夏休み、帰省、旅行、お祭り…。いろいろあるとは思うが、私にとっての8月は七夕のイメージだ。  大学時代を過ごした仙台では旧暦で七夕を祝う。8月の七夕に向けて、仙台の街は次第ににぎやかになる。手の込んだ七夕飾りが街のそこかしこに飾られ、短冊の内容を読みながら街を歩くようになるのだ。  七夕祭り開催の前夜には毎年花火が打ち上がる。仙台の夜を明るく照らす花火。仙台市街地のビルの屋上やら広い大町西公園やら、花火がよく見える場所はいろいろあるが、

「感動」消費の先にあるもの

 夏といえば、高校野球。高校野球といえば、甲子園。甲子園といえば青春ドラマ。そんな風になったのはいつからだったのだろう。全国高等学校野球選手権大会は今年で101回目を数えるそうだから、戦時中の中断を加味してもこの100年ほどを通じて日本社会に根付いてきたことになる。  そんな中、最速163キロの投球記録を誇る佐々木朗希投手が、岩手県大会決勝戦に出場せずに敗退したことを受け、学校側に苦情が殺到したというニュースがあった。  このニュースを見たとき、正直、私は唖然とした。「何