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人生

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人生について徒然なることを徒然なるままに書いています。
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失う寂しさ、出会えた喜び

出会うはずのなかった本。 そしてきっと出会うべくして出会った本。 『昨夜のカレー、明日のパン』は私にとって、そしてこれを偶然読んでいるあなたにとってそんな本かもしれない。 …とここまで書いてキーボードを打つ手を止めた時、かけっぱなしにしていたBGMがディズニー映画『リメンバー・ミー』の主題歌に切り替わった。出来過ぎている。どちらも逝ってしまった人を想いながら生きる人を描いた作品だから。 ♪リメンバー・ミー  忘れはしない  リメンバー・ミー  夢の中で  離れていてもい

大好きなあなたへ。

TVのない生活を10年以上している私にとって、音楽を聴いたり、新しい曲を知ったりする手段はもっぱらYouTubeかAmazon Musicだ。瑛人の『香水』もKing Gnuの『白日』もNiziUの『Make You Happy』も。 本家を知る前に、「歌ってみた」「カバー」で曲を知ることもよくある。もしかしたらそのケースの方が多いかもしれない。 一度ハマると延々と同じ曲を聴き続けるタイプの私は、最近、島津亜矢の『アイノカタチ』をよく聴いている。この曲は元々MISIAが歌

聞こえるのは誰の声?

雑踏を歩いていると、いろんな音が聞こえる。たくさんの人のおしゃべり、街を流れる音楽、お店の外で呼び込みをする店員さんの声。 わたしが生まれ育った場所は片田舎で、夜中に窓を開けると、虫やカエルの声と共に、遠くの高速道路を行き交うトラックや車の音が聞こえた。 「聞こえた」というより、「それに意識が向いていた」のかもしれない。 いろいろな音や声が溢れかえるこの世界で、今、わたしは誰の声を聞いているのだろう?わたしの声は誰に聞こえているのだろう?何より、わたしはわたしの声を聞け

降り積もる時間と順番のこと

少し前に叔母が倒れたことを、先日、母との電話で知った。 「年だからね。ただ、順番通りに逝くとも限らないからね」。 そういう母も、もうだいぶ歳を取った。 わたしが歳を重ねた分、母も歳を重ねる。 母だけではなく、親族も恩師たちも。 先日お会いした恩師が、すっかり白髪になっていらっしゃった。 驚いて尋ねると、髪を染めるのをやめたのだとおっしゃる。 時間は誰の上にも確実に降り積もっていく。 しんしんと。

あの頃のわたしも、今のわたしもまだ知らない。

18年前の今日。小学生だったわたしはすやすやと眠っていた。 翌朝、姉からNYでの惨事について聞かされることをまだ知らずに。 数年前のちょうどこの時期。わたしはあるプログラムに合格した。 それがNY行きの切符につながることを知らずに。 そして今日。わたしは今日という一日を静かに過ごした。 これからのわたしを何が待ち受けているのか、まだ知らないまま。 あの頃のわたしも、今のわたしもまだ知らない。 その先に起こることを。 そうして人生は進んでいく。

「距離」の取り方

移動という行為・事象に興味があるせいか、距離というものについてよく考える。物理的・心理的距離のこと。 物理的にも心理的にも、遠くにいると対象の全体が見える。細部は見えないけれど。近くにいると細部がよく見える。全体は見えないけれど。森を見るか、木を見るか。 心理的距離はおもしろい。例えば、何かが猛烈に「すき」だとして、それが対象に「近い」ということだとする。この場合、対象から「遠い」とはどういうことか。それは対象を「きらう」状態ではなく、「興味がない」ということだと思う。

地球とインターネット

久々にフランスに住む友人と電話した。SkypeもFacebookコールもなぜだか繋がらず、結局はLINEコールでなんとか通話。今はいろんな連絡手段があるものだ…。 彼女と出会ったのは、もう5年以上前のことで、それ以来直接出会ったことはないけれど、Facebookを通じて何度かやりとりしていた。 電話にせよ、お互いの声を聞くのは実に5年ぶりだった。仕事のこと、恋のこと、行きたい国のこと…。他愛もない会話をお互い第二外国語である英語で話す。 出会ったのはアジアのとある国で、

あなたはブレーキ派?アクセル派?

「疲れてる?」 ここ数日、何人かにそう聞かれた。わたしとしてはそれほど疲れている自覚はなかったのだが、そう聞かれて、ふっと五感全体を自分自身に集中させたとき気がついた。 「あ、わたし、割と疲れてるな」 昔からそうなのだが、わたしは自分の疲れに無自覚だったり気がつくのが遅かったりする。一度集中し始めると、なかなか止まらない。学生時代も、レポートや卒論が波に乗り始めると、文字通り寝食を忘れて12時間くらいぶっ続けで平気で没頭していた。 社会人になっても然り。何かに集中し始

理想のお葬式のこと

お葬式、というものにここ何年も参列したことがない。亡くなったことを後からご連絡いただいたりとか、体調的にどうしても足を運べなかったりだとか。だから、大体は後追いで故人にご挨拶に行くことが多い。 今日ふとある曲を聴きながら、唐突にこう思った。 あ、この曲、私のお葬式で流してほしいな。 葬儀の折に曲を流すのは珍しくもないようで、流したい曲ランキングなんかも出ている。この調査だと、1位は中島みゆきの「時代」。確かに葬儀で流れたら、ただ悲しみに暮れるだけではなく、それを受け止め

「最高の贅沢」は何ですか?

ああ、贅沢だなあ。  最近、ふとそう思う機会が増えた。  自分の食材を自分の好きな味付けで調理して、ゆっくり食べているとき。  部屋で好きな音楽を聴きながら、ひとダメソファに身を埋めるとき。  何の予定もなく、ごろごろとマンガを読んでいるとき。  ゆる〜く集まって、ゆる〜くしゃべって、ゆる〜く解散していくとき。 ***  社会人になって数年は、週に何度も外食したり、社内外の人と会って刺激を受けたり、国内外に旅行に行ったり、そういうことが「大切」で、その時間が「貴

10代の時間の意味

 10代。10歳から19歳までの10年間。いろんなことがあったし、「コドモ」なりにいろんなことを感じて考えてきた。「オトナ」になった(かもしれない)今よりずっと敏感に。 大嫌いだった小中学校:みんな「何者」かになりたかった 小学校は大嫌いだった。中学も嫌いだった。「みんな」と同じことができなかった。したくもなかった。全校集会に行くためにみんなで2列に並んでクラスごとに整然と行進することとか、揃いの制服や体育着、靴を身につけることとか、休みのたびに雑巾を縫うこととか。  訳

情熱の「色」は何色?

『情熱大陸』。言わずと知れたドキュメンタリー番組の代表だ。 最近久々にこの番組を見て、以前、この番組プロデューサー(当時)の福岡元啓さんと、番組出演者の作家・石井光太さんのトークショーに参加したことを思い出した。2014年、下北沢の本屋B&Bでのこと。 その中で印象的だったのが、QAタイムで「情熱とは何か?」という参加者からの問いを受けて広がった 情熱の「色」は何色か? という話。 「『情熱大陸』のロゴって、青なんですよねえ…。赤じゃなくて。」 と福岡さん。確かに

袖振り合うも…

 夏休み。帰省したり旅行に行ったりする人も多いのではないだろうか。  この時期は、駅や街中でいつもと違う人とすれ違うことも特に多いだろう。私は実家を出てからは、この時期、新幹線で帰省するのが恒例になっている。  そんな中、私は新幹線にまつわる後悔の思い出が2つある。 願わくば、読んでくださっているみなさんがそんな後悔をしませんように。  これはそんな願いを込めたnoteだ。 駅のホームで困り果てていた老夫婦 ある日、乗車予定の新幹線出発間際、足早にホームを歩いて

【イベントレポート】ハフポスト主催・ニュースが速すぎる時代に、じっくり考える「視点」を手に入れる。大人と学生30人が夜にお酒を飲みながら…。

出会いは偶然に  ハフポスト主催の「ニュースが速すぎる時代に、じっくり考える『視点』を手に入れる。大人と学生30人が夜にお酒を飲みながら…。」というイベントに参加してきた。折角なので私なりのイベントレポートを書こうと思う。  このイベントを知ったきっかけは、大学時代の後輩のFacebook上のポスト。同じ文化人類学専攻の後輩だ。たまたまFacebookを眺めていて流れてきたそのポスト。「これは!」と思って即応募。それがこのイベントとの出会いだった。  結論から言