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ビーナスラインから

 家族旅行で長野へドライブ。あの頃見た景色は忘れていたがビーナスラインを君とドライブしたことは覚えていた。

 私はハンドを握り、諏訪湖から美ヶ原高原にドライブを開始。山道を登るにつれ思い出されるあの頃の記憶。夏休みのビーナスラインを颯爽と走る車と青い空。そして真剣にハンドルを握る君の横顔。若い二人が懐かしい。

 山道は険しくドライブは悪戦苦闘の連続。君は山道も首都高速も難なく安全運転でこんなことは無かったな。しかし、あの頃、どんなことを話したのか思い出せない。

 美ヶ原高原に着くころ、私は久し振りの運転で疲労困憊してしまった。早々に美ヶ原高原美術館の道の駅に車を止め休憩することに。 
                
 標高2000mを超える長野の山奥は夏でも寒く、ドアを開けるとブルブルと震えた。車から長袖のブルゾンを出し慌てて袖を通した。そして、屋外のベンチに家族で腰掛け雲の中でホットコーヒーを飲みながらひと息ついた。暫くすると優しい風で雲が流れ山並みや下界の街を見せてくれた。                                                             

 諏訪の街が微かに遠くに見えた。あの辺りは湖でボートを漕いだり、温泉の間欠泉が噴き上がるのを見た、若い二人が旅した場所。
 
 思い出したい夏の1ページ。

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