強くなったという言葉

誉め言葉じゃないらしいよ。


何かあった休日の朝に書くのが恒例化してる気もするけど、最近落ち着いているように見えていた父がまた朝から怒鳴り散らした。

朝8時、日曜なのでまだ布団にいた。寝起きでぼんやりしていた。夏場で各部屋窓を開け放しているせいもあってか、階下から聞こえた声はほとんど同じ部屋にいるような声量だった。「うるせえんだよおおお!!!」と聞こえて飛び起きた。


まあ聞いたら大したことない話ですよ。父が普段ベッド脇のテーブルに置いている集音器を食事をとるダイニングテーブルに移していたから、母が「あれ?お父さんこっちに集音器持ってきたの?こっちで使うの?」と何気なく尋ねたら、例の「うるせえんだよおおお!!!」だそうです。


正直、今回は何が逆鱗に触れたのか全くわからん。父が聞かれたくないことを聞いたら、私や母は怒鳴られなければならんのか?

で、母が今日は幾分か冷静だったようで、急に大声を出すのをやめてほしい。自分も娘も怒鳴り声がすごく苦手だ、ということを声を荒げるでもなく、「お願いできない?」と話したのだが、「うるせえ」「バカヤロー」としか言わない。


そのうえ「お前(母)はずいぶん強くなったな」「昔はそんなこと言わなかった」とこちらに不満をぶつけてきた。昔はそもそも父が大声を出さなかったから、こちらもそんな深刻にお願いするようなことなかったんですよ。それが、お互い色々変化が起きて、今の生活を維持していくのに必要な折り合いをつける場所を見つけるためのお願いなんだけど、それすら気に入らないってことなのかな。

ちなみにその後も母が言葉を続けていたら、父は「どっか行け!出て行け!」と連呼してました。


質問すらも相手の気に入るものしか投げかけられないって、それもう家族の会話じゃないよね。主従かよ。私と母は父にお仕えする召使いか何かかよ。


珍しく私も反論する気になった(前回の漏電以来、そんな気持ちが芽生えた)ので色々父と話してみた。すっごい話ながら涙と鼻水ぼろぼろだったけど。

母と言い合いする中で、父が「うるせえ!…って言っちゃだめなんだよな」って小さく言ったのが聞こえたので、そのことを話した。

たぶんお父さんも「こんな言い方よくない」って気持ちと、それでもとっさに我慢できなくて大声が出ちゃうって部分があるんだと思う。だから、今すぐ完璧に大声全てをなくせってのは無理だろうから、せめて「気をつける」とか「大声なるべく出さないようにやってみる」ってだけでも考えてくれたら嬉しい。


…あー、父親相手にこんな風に意見言ったの、いつぶりだろう。ここ何年も大声に怯えて反論するようなことなかったから。

自分としては今思いつく落としどころに近いことを伝えたつもりなんだけど、これも「うるせえ!」だそうです。あ、そうですか。


やっぱり母や私の気持ちを汲むつもりなんて無いのかな。つべこべ言わずに俺の言うことを聞いてりゃいいんだよお前らは、ていう気持ちが強いんだろうな。ケアマネさんや介護士さんには、雑誌の旅行特集とか見て「お母さんを連れてってあげたい」みたいなこと言うらしいけど。それを完全な嘘とは言わないけど、日常がこれじゃ、辛くてそんな気持ち受け止められないよ。


母とも少し話したけど、近隣の特養ホームを調べ始めることにした。まだ分からない、どんな種類があるのかも知らない、どう決めればいいかもわからない、決めても空き状況とか金銭的な問題もある。けど、どこかで区切りをつける必要が出てきた時のために準備は始めないといけない。


ついでに、母から初めて聞いたこと。祖母は自宅で祖父の介護を5年間続けた。母は、「お母さんは5年頑張ったから、あたしも5年は頑張りたかったけど、あと2年これが続くと思うとしんどい(今3年目)」だって。知らなかった。祖父が要介護で自宅にいたのか5年だったってことも、母がその年数を目標としていたことも。

状況が異なるから必ずしも同じ年数やれるって考えなくていいと思うよ、とは伝えたけど、祖母が2年前に他界して以来、母はずいぶん祖母のことを気にしているから、それは私が外部から口出ししても無駄な部分の話なのかもしれない。


私にも私の中の譲れない線引きはあるけど、母にもそれがあるんだな、と知った朝だった。

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