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ねえ赤べこ

1人で雨が止むのを待つのは
さみしいの

赤べこ(クビをふる)

でもね あの子を濡らしたくないから
傘を貸して と言えないの

あの子は 右肩だけじゃなくて 全身を濡らして わたしを傘に入れようとするでしょう?

やさしいやさしいあの子まで わたしのせいで
風邪を引かせてしまうのがこわいの

赤べこ(クビをふる)

風が強いね。

あのね わたしは いつでも吹き飛ばされるような身軽さでいたいの
でも 吹き飛ばされそうになったら しがみつきたいの

...興味がなさそうにしないでよ!


ねえ赤べこ

私ってなんでここにいるのかなあ

赤べこ(クビをふる)

しあわせってなあに?

赤べこ(クビをふる)

悲しくても にっこりしたり
にっこりしながら 怒ったり
人間って変だと思わない?

赤べこ(クビをふる)



ねえ赤べこ

世界で今、こうしているのは私たちだけかなあ

赤べこ(クビをふる)





ねえ赤べこ

世界には 私の知らない汚いところも綺麗なところも まだまだたくさんあって
世界は広くて 私はまだ数歩進んだだけ
分かってるけど

車に水溜まりを跳ねられるたびに、
道にゴミを捨てる人を見るたびに、
あの子が理不尽なことで怒られて、泣いてる姿をみるたびに、
あーもうやだなあって 思っちゃうの

ねえどうしてこんなにわたしは弱いの?
みんなはどうして生きられるの?

赤べこ(クビをふる)


ねえ赤べこ

それでも わたしはもう少しだけ世界に期待してあげてもいいかなって思うんだ
ねえ あなたはどう思う?

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