道端でシャンプー

友達が道端でシャンプーをしていた。

どうしても、頭を洗いたかったわけでもないのに。

毎日、真面目に働いて普通に暮らしているのに。

道端で、頭を洗いはじめた。

そもそものきっかけは、銭湯に行った帰りだったから、シャンプーを持っていたこと。

だからってなぜ、シャンプーをしたくなったのかはわからない。

でも、

「ジャンケンに負けたら今からシャンプーしよう」

急にはじまった。

久しぶりに本気のジャンケンをした気がする。

絶対に負けたくなかった。

だって道端でシャンプーなんかしたくないから。

僕は勝って、友達が負けた。

友達は道端でシャンプーをしはじめた。

周りの目は痛かった。

そんなのわかってる。

いい大人が道端でシャンプーをしているのだから。

でもなぜか面白かった。

いい大人が道端でシャンプーをしているのが面白かった。

痛かったけど、面白かった。

多分これから、お風呂に入ってシャンプーをするたびにその光景を思い出す。

毎日頑張って働いて、

家に帰って、

お風呂に入るたびに、

僕には道端でシャンプーをしてしまう友達がいることを思い出す。

多分何歳になっても思い出す。

何と心強いことか。

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