ガム

高校時代からの友達であるMちゃんが誘ってくれて、奈良県にある本屋さんに行った。

Mちゃんは昔から不思議な雰囲気を持っていたけど、久しぶりに会うMちゃんも相変わらず不思議な雰囲気だった。

本人はそれが嫌らしい。

「○○が結婚したらしい」とか、最近の近況とか、たわいもない話をしてるとすぐに目当ての駅についた。

2人して方向音痴なので、Googleマップに頼りながら本屋さんを目指した。

僕が「Googleマップないとどこも行かれへんわ」って言うと、Mちゃんは「Googleマップさえあればどこにでも行けるで」と言った。間違いない。

金魚が有名な街なのに、全然金魚がいない。
活気はないけど、寂れてはいない。
温もりのある長閑な商店街を10分ほど歩くと目的の本屋さんについた。

Mちゃんは7年前に見たらしい詩集を探していた。
いくら小さな本屋さんでも、7年前の本があるわけがない。小学一年生の子が中学生になっている。

僕は病気になってから本が読めなくなったので、買うつもりは全くなかった。でも、店内を見渡すと魅力的な本がたくさんある。ふつふつと大好きだった感情が蘇る。恐る恐るパラパラとめくってみる。読める。気がする。

こういう時は勢いである。
友達のSが言っていて、心に残っている言葉がある。

「人生ノリとタイミング」

ノリよし、タイミングよし。
3冊ほど購入した。

ちなみにMちゃんはお目当ての詩集を見つけていた。しかもサイン本。
信じられない、7年前だぞ、なんだこの本屋は。

それから近くのカフェに行き、色々な話をした。
辛かったこととか、感動したこととか、行きたい場所のこととか。

丁寧に言葉を選んで話しているのが印象的だった。

なんやかんやで夕方くらいに解散し、家に帰った。

精神的にも肉体的にも体力がないので、4.5時間ほど爆睡した。
そして、買った本を読んでみる。
瀬尾まいこのエッセイ集。
10分読んでは休憩、10分読んでは休憩を繰り返しながらも読める。読める。読める。

感動した。読めることに。
ストーリーとかもあげちゃった。感動したから。

毎日地獄の繰り返しで、進むことなんてないと思っていたけど、変わっているらしい。

1日1歩、3日で3歩、3歩進んで2歩さがる。

1日1歩も進んでいる気はしないけど、1ミリくらいは進んでるっぽい。

普通の人は5分で進める距離かもしれない。
自分は1日かかってしまうかもしれない。

周りの人はどんどん結婚していく。
自分は1日を過ごすので精一杯。

でも、まあなんとか、本でも読みながら、過ごせたら、嬉しい。


※Mちゃんから許可を頂いて書いています。

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