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海は優しくも厳しい

冬のとある日、私はバイクに乗って有名な海岸に行った
一人、ご年配の女性がしばらく海を見つめ佇んでいた

無粋にも写真を撮ってもいいですか?と聞きたかったのが、
その女性の無言の語らいを邪魔する気になれず、
そっと見守りながら後ろ姿だけを収めた

海と語らっているのか、それともその海の先の人に語り掛けているのか
傍から見る私には想像が付かないが、きっと冬の冷たい風であっても
女性には癒しなんだろうと

海は優しい
一人の時間を充実させてくれる
どんな時でも飽きることなく波を眺めていられる
時に仲間や家族との楽しい思い出を作ってくれる
時に自分との会話を黙って聞いてくれる
愚痴はそっと波と一緒に持ち帰ってくれる
いつも海は私に優しい


海は厳しい
忘れた頃に自分たちは自然の一部で、海は命を育むのと同時に
奪うものだと教えられる
こんな平和に見える海が、あの日津波で沢山の命を奪った

津波被害のあった東北のとある場所

ずっと海岸線を走った
どこも平和な街や集落が続く
復興に向け沢山のダンプが走り、道端には行き場のない除染土の黒い袋
だが海はずっと静かでそこにあり続けた
だが、私の右側にある海はたくさんの人と、思い出をさらって行った
いつもとは逆で、問いかけられている気がした
”お前たち人間は私とどうして行こうとしているのだ?”
”奪うのか?従わせようとしているのか?”と

イルカ?

わたしと海の関係は当たり前だが共存でありたい
そこにいつも居る安心
海が怒っている時は邪魔をしない
時々そっと機嫌を伺いに行く

はっきりとは答えをくれない
でも、心の中の重い物をいつの間にか持って帰ってくれる友達

それが

#わたしと海

きっと、あの海で出会った女性にもそうなんだろう

自己肯定が爆上がりします! いつの日か独立できたらいいな…