見出し画像

公共施設の削減の難しさ

戦後から2000年頃までは、日本の人口は右肩上がりに増加してきましたが、今は人口減少の局面に入っています。
地方公共団体が管理する道路や上下水道等の生活インフラのほか、小中学校、図書館等の建築物は、人口減少の需要減により必要供給量も減少していきます。

今ある公共施設は、一時期に集中的に整備されたものが多いため、施設の老朽化もまとまって進んでいきます。
このため、地方自治体では、今後の公共施設の管理が財政的にも難しくなっていく状況にあります。

このため、総務省では、平成26年に全国の地方自治体に対して、公共施設の適正な管理に取り組んでいくため、総合管理計画の策定を要請し、これを受け、全国の地方自治体で計画が策定されています。

計画では、今後の人口減少による需要減の考慮し、施設量の削減について計画されていますが、施設数の削減は、自治体内部が忌み嫌うものでもあり、なかなか進められない事情と考えます。

自治体側としては、既存施設の利用状況はある程度は把握しており、利用者が少ない施設の場合は、廃止または他の施設と集約が望ましいとはわかっています。
自治体内部が嫌うのは、実際に声が上がるかわからない、住民等から反対意見です。
住民感情としては、今ある施設がどうにか残って欲しいと思いますし、その声が強く出てくる可能性もあることも想像はできます。
ひろい考えとしては、新しく造ることは「良くなること」ですが、施設を廃止することは「残念なこと」と捉えられてしまうのではないかと想像します。
このため、廃止が財政的にも妥当とわかってはいても、自治体内部にとっては、重い腰をあげるような動きになってしまうのです。

私は、施設の廃止を進めるには、情報発信が重要ではないかと考えます。
広島県の安芸高田市の石丸市長は、毎年の財政説明会で、施設の削減による数の適正化について、数値的な根拠と一緒に詳しく説明されています。
石丸市長のように、自治体のトップなどが前に出て訴えることで、住民のなかでも、認識が広がり、議論ができるような空気をつくることが重要と考えます。
総合管理計画は、自治体のホームページで公開されていますが、情報を取りに来る人以外には届きにくい思います。
首長でなくても、廃止の検討が必要という認知を広めための情報発信が、取組の一歩ではないでしょうか。

今後取り組まなければならない施設の削減は、住民からの反対意見を忌み嫌う自治体内部がボトルネックになっていることについて書かせていただきました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?