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「一人で悩むな!救ってくれる人は必ずいる」資金調達に苦しんだ経営者から人気DMOアドバイザーに、観光マーケティング協会創業者 善井靖さん (後編)

G Innovation Hub YOKOHAMAの入居者で、東日本大震災での危機を乗り越え、倒産寸前から復活した経営者、善井靖さんのインタビュー後編です。

前編のインタビューはこちらをご覧ください。

観光庁から派遣される民間専門家で人気ナンバーワンのアドバイザーとして活躍している善井さんですが、震災で観光客が激減。リリースしたアプリも収益があがらず苦境に立たされます。そして、助けてくれると言い寄ってきた人には、肩書きだけを利用され、去っていきました。「いつもなら直感でこの話はおかしいと思えるはずなのに…」。今までにない危機に、判断力も鈍っていました。

真剣にやっていれば、だれかが助けてくれると実感。「相談できる人がいるのはありがたい」

そんなつらい状況に光が見えたのは2013年の春。
岩手県石巻市の友人から連絡がありました。会社は半壊、自宅は全壊したその友人に、震災直後善井さんはテントやパソコンなど、生活や仕事の立て直しに必要な救援物資を送っていたのでした。そして今、善井さんの会社の状況を知り「自分の会社は目途がついたので」と、1000万円の無利子での融資を申し出てくれたのです。このおかげで倒産は免れました。

実はその融資を一回は拒否した善井さん。しかし友人たちに、「今は苦しいのだから遠慮なく受け取ろうよ」と説得させられたといいます。
このインタビューに応じてくれたのも、「一人で悩まないで、相談できる人は必ずいるから」というメッセージを伝えたいという思いでした。

善井さんは震災直後、会社に寝泊まりする日々だったそうです。夜一人で会社の天井を見つめていると、悪い方へ悪い方へ思考は傾いていったと言います。そんな状況を察知したのは友人でした。セミナーに連れて行ってくれたり、飲みに行ったり、前向きになる方向に導いてくれたのです。そしてご家族も、いつも明るく、困難も笑って乗り越えようとしてくれたと言います。

「誰かが救ってくれる、相談に乗ってくれる。真剣に取り組んでいればね」と善井さんは振り返ります。そんなご自身の経験から、コロナ禍で休業や売り上げ減少で一人で悩んでいる経営者をとても心配されていました。

自分の会社や店の経営状況、深刻さ、事業を継続させるのにこれまでどれだけの時間や努力を費やしたのか、100%理解してもらうのは難しいでしょう。しかし今のこの状況を一人で抱え込み悩むのは、とても危険です。誰かに話したことがきっかけで物事が進むヒントがあるかもしれませんし、気持ちが楽になるかもしれません。また、家族も友人も、一人で悩んでいる姿を見るのは、大変つらいかと思います。

前編でも触れましたが、私は自営業の家庭で育ったのですが、当時私にかけられた親戚の言葉が忘れられません。「お店は辞めちゃったけど、お父さんお母さんが一生懸命に働いていたことは見ていたでしょ。今は大変だと思うけど、その姿を見たのは一生の財産になるよ」

もしかしたら今、「子どもに何もしてあげられない」と悩んでいる経営者もいるかもしれません。でもそれでいいかと私は思います。子供は親の姿をみています。景気が良くて頑張っている姿も、困難に立ち向かい頑張っている姿も、今私が思うのは、「私の仕事観のベースは親の姿」ということ。真剣に仕事に向き合う姿は、強く印象に残ります。だからこそ、今、誰かに相談し、一人で苦しまないでほしいのです。

簡単にあきらめてはいけない、人生無駄なことはない

その後も「何度となく再生のトライアンドエラーを繰り返してきた」と話します。そのたびに資金調達を練り直したり、友人や知り合いに相談したりと、ようやく復活できたと実感したのは、昨年でした。

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再建には時間がかかりましたが、「この経験で企業を救えるノウハウが身に付きました。お金で苦しむのは本当にしんどい。困っている人を救うお助けマンになりたい」と今ではそう考えられるようになったと言います。
しかしこの精神力はどこから湧き出るのでしょうか?

「これは運命、神様に試されていると思うしかない。普通はこんな経験しないでしょ」

今では自分の会社再生した経験を活かし、“観光ベンチャーでもキャッシュが回せるスキームの提供”が自身の強みになり、全国から依頼が舞い込みます。観光庁からの派遣される民間専門家のナンバーワンを誇るほどです。

「苦しいときは“未来がない”って感じてしまうけど、きっと乗り越えれば糧になる。無駄なことは何一つない。今では、何もなければつまらない経営者になっていたなと思うくらい」と笑顔で話す善井さん。どんなことも自分のコンテンツとなる、強い生き様が垣間見えます。

「東日本大震災のときは、悩み苦しみ自ら命を絶ってしまった経営者がいたと聞いた。今回の経済状況はその時以上に悪いかもしれない。でも生きてれば、いいことはきっとあるから」

5月初旬、原稿を確認するため、善井さんとやりとりしたときに話されていた言葉です。「一人で悩んじゃだめ!」善井さんは繰り返します。どこかに解決の糸口がきっとあります。

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