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秋の訪れ

最近、暑かったり、涼しかったり、少しだけ秋を感じる季節になった。
僕はひとりでぼーっとしてる時、自然にいながら何かを考える時間が好きだ。こんな僕には最高の季節が秋。そんな季節にふと思うことを書き残そうと思う。

「ポピー」あるいは「ヒナゲシ」。
フランス語では「コクリコ」それから「虞美人草」という別名もある。
歌の詞にも、アニメスタジオ作品のタイトル名にも付けられている有名な花だ。

たくさんの呼び名は、全て同じあの秋の可愛い花のことを指す。

きっかけはある時に買った漱石の小説「虞美人草」を読み始めてからのことだ。楚の覇王、項羽の妻の名を冠したその植物は、自決した彼女の墓土に真っ赤な可愛らしい花が咲くことから付けられた名らしい。その赤さが、虞美人の流した血に似た色をしていたらしい。

最期に彼女は何を想っていたのだろうか。

さまざまな色があるこの花だが、赤の花言葉は「慰め」と「感謝」

「 虞や虞や若を奈何せん 」

項籍(項羽)「垓下の歌」


周りに理解されない彼を、彼女はどう愛したのだろうか。
自決するほどの愛を抱えた彼女は、彼に感謝していたのだろうか。
それとも、自決した彼を慰めるように、共に旅立っていったのだろうか。


漱石の小説に戻るが、「虞美人草」にはある有名な一文がある。

「愛嬌というのはね、自分より強いものを斃(たお)す柔かい武器だよ」

夏目漱石「虞美人草」

「愛嬌」と「可愛い」は違うと思うが、何が違うって言われると難しい。
僕にとってそんなこと、実はどうでもいいのかもしれない。

僕は考えることが好きなようで、その実なにも考えずに、ぼーっと芝に映る木漏れ日を眺めているような、穏やかで怠慢な時間の使い方をしてしまう。

最近はずっとこんな調子で、やらなくちゃいけないことはあって、伝えたいこともぼんやりとあるのだけれど、それをしっかりと納得いくまで突き詰められていない感じがする。彼らの言葉の意味をわかっても、その文章を味わい尽くせていない感じがする。

まだ体が急に訪れた寒さに適応できていなくて、きっと本来の自分であろうとするだけで体力を使ってしまうのだと思う。

一度、ただぼーっと自然を眺めるだけの時間を作っても良いのかもしれない。なりたい自分を目指す前に、ありのままの自分を愛してあげても良いのかもしれない。

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