ルンビニに行きたいだけなのに。

あの日、私たちはただ、ルンビニに行きたいだけだった。


10年くらい前、私たち夫婦は、インドとネパールをバイクで旅していた。

こちらの記事を読んでいただけると、少し想像できるかも。


あの日は確か、マヘンドラナガルという、インドとネパールの国境を越えて、ルンビニまで行く予定だった。

私たちはここまで、インドのリシュケシュというヨガ発祥の地で有名な場所から出発して、途中寄り道しながら、マヘンドラナガルまで走った。

ちなみに、ここまでの道のりでは、かなり美しい風景があった。大好きな道だ。

順調に国境を越えて、そのままルンビニへ向かう。

ここで、地図を確認していた。

10年前だったけど、ほぼジョブズ教だった主人のお陰もあり、iPhoneを持っていて(日本発売初日に旅先の北海道で買ったモノ)、オフラインでもGPSで位置を確認できる地図アプリを持っていたので、かなり助けられた。

その地図を見て、道を確認して走っていた。

その日も長距離の予定で、だんだん辺りは薄暗くなっていった。

夕方くらいに、なんだか活気のある街に着いた。地名は確認してないけど、結構栄えていたと思う。人工の光がとても明るかった。

人多いな〜と思ってゆっくり走っていたら、道の真ん中に、ゲート?みたいなのが現れた。

あ、なんか道間違えたっぽいな〜と思って引き返そうとしたら、ポリスとただの好奇心旺盛なインド人とかネパール人がウヨウヨ出てきて、

「お前ら、こっちは通れないぞ!バックしろ!」

と、大袈裟なアクションで、楽しそうに追い返された。

いや、別に通ろうと思ってないし!と言いながら、外国人に食いつき気味の彼らから逃れた。

多分ボーダーっぽかったけど、外国人が通れなそうな感じのところだったな。

迷い込んだ珍客に地元民のテンションが上がっていた。楽しかったならよかったけどさ。

それから道を修正して、ずんずん進んで行った。

夕飯時の、地元の方々の生活感溢れる狭い道を、おじゃましま〜すと言わんばかりにちょっと控えめに、先を先を急いだ。

もう辺りは真っ暗。でもこのもうちょい先。この先にある川を越えれば、ルンビニに着くはずなんだ!

あともう少し…よし、開けた〜!!!!

…と思って着いた先はマジの川だった。橋がないやつ。

「嘘だろ?あともう少しなのに!」と思いながら、地図を拡大すると、う〜ん確かに…たしかに繋がって…無いかも。

マジかよ〜!と思いながら、バイクから降りると、滑って立てないほどの、物凄いぬかるみだった。

なんとか転ばずにバイクに跨ると、向こう岸からチラチラと光るライトが見えた。

しばらく見ていると、なんと数人の地元民が、泳いで渡って来るではないか!

なんて原始的なスタイルなんでしょう!

や、確かに海外を旅するようになってから、「主な交通手段は歩きです」という、初心に返ったスタイルで旅をしていたけど、

夜になって、全体的な様子も何も分からない川を、バイクと荷物持って渡るのは無理かな、と早々に諦めて、とりあえず引き返すことにした。

また再び、地元の方々の生活空間をするすると抜けて、ただひたすら走って走って、ルンビニの近くの街、バイラワに着いたのは、もう真夜中だった。

バイラワでは、以前しばらく滞在したことがあるゲストハウスを訪ねて、

「ナマステー!!!」と叫びながら門を叩きまくったら(本来ナマステはこうゆう挨拶じゃないのだけど)、いつもの錦戸亮くん似のスタッフが、苦笑いで中に入れてくれた。まじありがとう。

あ〜ルンビニに行きたいだけだったのに、酷い目にあったな。

まぁ、自分たちの地図の確認不足なんだけど、でも大変な1日だったよ。

でも楽しかったな。バイク旅は、いつもボロボロで、次の宿に着くときは、排気ガスで真っ黒でゲストハウスの人にぎょっとされたけど、本当に辛くて楽しい日々だったんだ。


あとがき

最後までお読み頂きありがとうございます。

noteでは時々、私の今までにした旅での思い出深いことを、エッセイ風に書いていこうと思います。

続きモノでもないし、思いついた時につらつらと自由に書いていこうと思います。

ただ古い記憶のこともあって、事実確認してるわけじゃないので、地名とかその他色々曖昧なところもありますが、大目に見て頂けると嬉しいです(^ ^)エヘ。

ではでは。


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