見出し画像

豊川稲荷の魚

次は豊川稲荷の魚について。(見出しの画像は、豊川稲荷HPより)

 前回は、火除けを念じたであろう「蝉の金具」でしたが、同様に水の関連する飾り金具です。
 もう10年近く前になりますが、愛知県の西部に位置する豊川市にある豊川稲荷を訪れた時に、総門の柱に銅板の飾りを見かけました。

 まず、豊川稲荷ですが、こちらは『お稲荷さん』ですが、神社ではなく曹洞宗の寺院なんですね、名称は圓福山妙嚴寺といい、豐川吒枳尼眞天(とよかわだきにしんてん)をお祀りしています。吒(荼)枳尼天は、白い霊狐に乗った天女の姿をしていて、弁財天や毘沙門天と同じ天部の一員で、仏教の守護神ですね。日本古来の稲荷神と同一視(本地仏)されたのです。因みに、岡山県にある『最上稲荷』も妙教寺という寺院になります。
 今回、豊川稲荷には初めて訪れたのですが、境内も広く今川義元が寄進した山門や、ちょっと小ぶりな三重塔などがあり、本殿から奥の院にかけては諸堂の間の至る所に沢山のお狐様がおられ、赤い幟が所狭しと並んで(通称千本幟)います。
豊川稲荷 | (toyokawainari.jp)

三重塔(豊川稲荷HPより)

 さて、”豊川稲荷の魚”ですが、境内の東側にある総門の柱の下段に巻かれた銅板にあります。
 ネットの書き込みによると、正門である総門の頭上には、十六羅漢の姿、柱の最下段の金具には、黄河上流で鯉が龍になる中国の故事『登龍門』にまつわるストーリーが彫られているとあります。
 私は団体行動だったので、足元のこの銅金具に目が行き写真に収めただけで、門の装飾全体を眺める余裕も時間もありませんでした。登龍門のストーリーの一部なので、火除けの意味まで込められているかどうかも、結局解りません。

龍のような魚が流れに逆らって泳いでます。

 初めて見た時は、普通に魚をモチーフにしたレリーフかと思いましたが、改めて写真をよく見ると、顔は竜のようであり、鰭のギザギザ感はその身体に比べて、大きくて立派で創造上の動物なのです、しいて似ている魚類を挙げるとすればカサゴかな?
 

激流に押し流されそうになっていますが、なんとか耐えています。

 銅板のレリーフだけど立体感もあって、登龍門を現したストーリーをじっくりと観ていたら、感動できたのだろうなぁと思います。
 日帰りでは無理な距離なので、また訪れる機会があるかわかりません、残念です。

 普段、神社仏閣の門を潜る時は仁王や神像にばかりに視線が行きますが、大抵は、それだけで通り抜けるだけなので、建物の隅々まで眺める事は殆どありません。
 私の場合は、どちらかと言えば、屋根の鬼瓦や軒丸瓦のデザインが気になるのですが、ちょっと視線を変えると楽しい発見があるかもしれません。
では、また。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?