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狐井の伝承

古い集落には必ず寺院や神社がある。そして、
古くからの伝承が伝わっていることも、”まま”ある。
と、私は思っています。

まちの寺院は、大抵は塀に囲まれ、門が閉じられていることが多く、
また、お住職さん家族の実際の住居でもあったりするので、
歩いていて、ぶらりと立ち寄ることはほとんど出来ません。

一方、神社は比較的オープンで、誰でも何時でもお詣りができます。
特に、小さな神社だと、神主や管理人も現地にはいません。
でも、お社は何百年もの間、変わらずにそこに御座します。
鳥居があって、獅子・狛犬達がいて、神殿がある。ひとつの世界。
小さくても、境内に入ると気持ちが引き締まります。

(イメージ写真:奈良公園の天神社)

その神社は、今年の春に、奈良県の二上山の麓の街を歩いている時に
見つけました。
その日に予定していた散歩コースの最終ポイントにしていた古墳から、
最寄り駅に向かう途中の四ッ辻に神社がありました。
名前は杵築(きつき)神社といいます。

【参考】 「きつき」と「きづき」
 ”杵築”神社という名称はあちこちにあるので、ネットで調べました。
 出雲大社も江戸時代までは『杵築(きづき)大社』と呼ばれていました。
 大社を築いたから、その土地を杵築としたのです。そして、
 全国各地に神社が勧請されて、分布が広まりました。
 また、大分県の国東半島の根元には城下町の杵築市があります。
 こちらは「きつきし」で、元々は『木付』と表していたらしいです。
 漢字は同じですが、全く別の由来になりますね。

今回の杵築神社のあるあたりの集落は『狐井(きつい)』といいます。
地名も「杵築」に似た名前ですが、この地名には伝承があって、
昔々、村人が水に困っていた時、神社に住んでいた狐が井戸を掘り当て、
村人を助けたという昔話です。(詳しくは、下記の奈良県のHPを)

「母狐の前足は泥にまみれ ・・・ 」とは、リアルに掘ったということですね。
今回、ご紹介したいのは、その一場面を木版に彫った作品です。
神社の境内に掲げてあり、隣には、古井戸が今も残っています。
平成27年に、個人が制作されたものです。
絵馬の奉納は一般的ですが、このような作品が納められているのも
また面白いですね。

素朴で、素敵です。
右側には、説明を記載しています。

因みに、狐井の地域内には、近畿日本鉄道の五位堂検修車庫があり、
毎年、春と秋に開かれる『鉄道祭り』で公開されています。
ご興味のある方は、こちらもチェックしてください。

春のイベントは、PDFファイルしか見つけられませんでした。https://www.kintetsu.co.jp/all_news/news_info/tetudoumatsurisupuringu.pdf

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