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劇団のアイデンティティは何処に #サラチュウ

毎年2月に公演を観に行くようになって早3年目。
今年も劇団サラリーマンチュウニの公演に行ってきました。


劇団サラリーマンチュウニ 第12回公演
10 years after SC2
at アトリエファンファーレ高円寺

舞台の小道具は(ほぼ)机と椅子のみ。
登場人物は8名。

10年後、劇団はどう変わっていくのかという90分の物語。


カルト的な人気を誇った社会人劇団SC2。2020年の公演を境に、活動休止となっていた。
10年後のある日、ネット上でSC2が復活公演を行うという噂が流れ、チケットは完売。しかし、その事実を劇団員達は知らされてなかった。
空白の10年間で何があったのか?復活公演は無事に行われるのか?
サラリーマンチュウニが送る、近未来ファンタジーを意識したハートフルコメディー。
公式HPより


社会人劇団SC2は解散から10年後に復活公演を行います。

しかし稽古場に本物の座長は現れない
座長はVRを使用して稽古に参加するのです。

復活公演の後、劇団員たちは座長がすでに2年前に亡くなっていたことを知ります。自分たちに演出をつけてくれていたのは、座長の演出パターンをコピーした、座長の姿の人工知能だったのです。

結局、完全に演出をコピーしたとしても、それは座長ではないからとSC2はそのまま解散してしまう、そんな物語でした。



テクノロジーの発達によって離れて暮らしていても画面越しに顔を見て話せるようになりました。VR、いわゆる「仮想現実」も身近なものになりつつあります。

公演の中では、VRを使用して離れた場所で暮らす劇団員が自宅から稽古に参加する場面がありました。VRを使用すれば多忙な大物俳優同士のコラボレーションも手軽になる、なんていうエピソードもありました。

もう一人自分がいたらいいのに、という思いが現実になるのももしかしたらもうすぐそこの近い未来の話なのかもしれません。


だけど、結局SC2は解散を選んだ。


稽古の段階でみんなうっすら違和感を感じていました。

10年前の座長ならアドリブも面白がってくれるのに。劇団員から出た意見を汲み取ってそこを広げてさらに面白くしてくれていたのに、と。

もしかしたらアドリブにも完璧に対応するAIだって出来るのかもしれない。でもだからといってSC2が劇団を続けて行く道を選ぶのかと聞かれれば、わたしはやっぱり解散したと思うんです。

何を持ってSC2はSC2と言えるのか。
脚本、演出、出演者、座長。
どこに劇団のアイデンティティがあるのか。
何がSC2らしさで、何が欠けたらSC2では無いのか。



10年後、劇団はどうなっていくんだろう。
演劇だけではない、音楽ライブだってそうだ。
その他のコンテンツもそうだ。

10年あれば流行りはガラリと変化する。

それでもアイデンティティが確立しているコンテンツは強い。


じゃあ、わたしのアイデンティティってなんだろう。
わたしらしさは何だ、何が欠けたらわたしじゃ無くなる?




90分の近未来コメディ。
わたしの中ではパチパチと思考が渦巻く90分でした。




サラチュウが気になった方、昨年公演の記事はこちらです。


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