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「知る」は「好き」への大きな一歩 【 #ヴィレヴァン! 】

遊べる本屋ヴィレッジヴァンガードに行ったことがある方は多いと思います。ではヴィレヴァンがドラマ化していることはご存知でしょうか。

『ヴィレヴァン!』はその名の通り、ヴィレッジヴァンガードで働く自称空っぽの大学生・杉下くん(岡山天音)と個性の強いバイト仲間の日常が描かれたドラマです。

キャスティングから非常にヴィレヴァンらしさ全開で、岡山天音、森川葵、最上もが、本多力、柏木ひなた、平田満、さらに店長には「歩くヴィレヴァン」が似合いすぎる男・滝藤賢一と、最強の布陣。

好きなものへの熱量が高い人たちが働いている中で、そうじゃない野球一筋だった杉下くんが数々の商品に囲まれ個性に揉まれお店に馴染んでいく過程が微笑ましいのはもちろんのこと、人と人を繋げるサブカルチャーの良さを改めて感じることも出来ます。

2では杉下くんが本店からイオンモール店へ異動になり、それ故に路面店では許されていたことが出来なくなる様子も描かれるのですが「自分たちさえ良ければそれで良いじゃん」感が2は特に強くてその点はちょっと残念…。

とはいえ好きな話もあって、それが4話『敵は同調圧力にあり!』の回。


売上が落ち込むモール店にエリアマネージャーが大人気「たべっ子どうぶつ」のグッズを持ってきます。

前作で自分の売りたいものを仕入れるのか、売れ筋のものを並べるのか、葛藤する回がありました。ヴィレヴァンは売り上げ第一に対抗できる唯一のお店?と言っていましたが、それでも売り上げが出ないとお店は存続出来ません。

「たべっ子どうぶつはさすがにウチらしくないんじゃないですか?」
「そうですよ。いくら売り上げのためだからって個性は失わない、ヴィレッジはそういう店だったでしょ」

他の店舗にも置いているから。みんながかわいいって言うから。
そう説明するエリアマネージャーに対し「それって同調圧力ですよ」と杉下くんたちは納得しません。アルバイトにも仕入れを任せているのがヴィレヴァン。自分たちが仕入れたい、販売したいものしか置きたくないのです。

しかし、店長(滝藤賢一)は叫びます。

「な~にがたべっ子どうぶつだ!少なくともたべっ子どうぶつ”さん”だろ?!年上だぞ?!」

店長の叫びを聞いたグッズのプロ・山本さん(本多力)は考えを改めます。人気商品だから並べる、そこにヴィレヴァンらしさはありません。けれど人気商品として括るのではなく「たべっ子どうぶつ」のことを徹底的に調べることから始めたのです。

そうです『ジョジョの奇妙な冒険』にもたべっ子どうぶつは登場しますし(4部で靴のムカデ屋の主人が康一くんに勧めます)『DEAN&DELUCA』やアクセサリーブランド『イーズデザイン』ともコラボしています。空手を応援するギンビスさんが協賛して限定販売された『たべっ子空手』というものもあります。

「ずーっとベタなものは古臭いと考えていた俺だが、いかに自分の器が狭かったかをたべっ子さんに教えられた」

人気だから並べる。売れ筋だから仕入れる。
それはヴィレヴァンの流儀に反します。だけどそもそも本質を見ようとしていなかった。たべっ子どうぶつがどういうものなのかを知ろうとしていなかった。知らないから「人気だから置くなんて」と言っていたのです。たべっ子どうぶつのことを知ったら「お店に並べたい理由」はたくさんあった。

そして山本さんはたべっ子どうぶつを知ったからこそ、大きな展開の棚を作り上げるのです。グッズだけではなく「たべっ子どうぶつ実写版」というポップと共に動物図鑑を並べたり、同じ棚にハインラインの小説を並べたり、ヴィレヴァンだからこその売り方を成し遂げたのです。


杉下くんたちは「人気だから」置きたくないと考えていました。深く知ろうとしないままそう思っていたのです。知らないから好き勝手言えることってきっとありますよね。

だけど山本さんは知ろうとした。調べていくうちに好きになった。知ったからこそ展開に力が入った。そして山本さんの作り上げた棚を見て杉下くんたちは「すげー!」と目を輝かせるのです。

何も知らないまま否定するのではなく、まずは知ることから始めてみる。知ることで好きなものになる可能性は大いにあるのです。

みんなが好きなものだから好きになろう、なんてその必要はないけれど、みんなが好きだから興味ない、は自分の好きになる可能性を1つ摘み取っているのかもしれません。

「どんなものも文脈を探せばサブカルになる。メジャーなものはくだらないと目を背けてたんじゃ新たなサブカルは生まれん。これがヴィレッジの流儀だ」


メジャーなものはメジャーになり得る理由があるのだと思います。
その理由が知りたくて、わたしは苦手なジャンル以外なんでもかんでも手を伸ばし、気付けばたくさんの好きなものに出会いました。

まずは知ること。
その一歩が大きな出会いをもたらしてくれるかもしれません。

興味の幅がぐんと広がることによって、時間が足りなくなるという弊害もありますが、その点はどうぞご了承ください。

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