思考を止めず「気付ける人間」に

職場に溢れる大量の書類。
物の位置が決まっていない備品。
あちこちに保存されているデータ。

気がかりなものはいくつもあります。
でも気にするだけで行動に移せていないのであれば、それは「気付いていない」のと同じことなのかもしれません。

高校野球マンガ『おおきく振りかぶって』35巻は、1冊まるまる神奈川の強豪校見学が描かれました。

季節は高校1年の2月。学校に入れなくなる高校受験休みの1週間。その過ごし方について監督は「各自にまかせます」と言います。バッセンに行ってもいいし、休んでもいいし、遊んでもいいし、勉強してもいい。「私はこの間のことについてはチェックしないので自分で考えてやることを決めて実行して下さい」と。
西浦高校野球部(埼玉)はチームメイト1人の提案により、マネージャーを含めた1年生全員で神奈川県の強豪4校をそれぞれ2〜3 人ずつに分かれて見学に行くことになります。

全国区の学校。
指導者が2人いる、もう一歩で甲子園の私学。
8時間授業+19時半下校の縛りの中でベスト8常連の学校。
公立で唯一ベスト4に残った学校。

各校の練習内容の違いはもちろんのこと、公立と私立の違い、さらには不祥事と高野連とマスコミの話も出てきます。これまでも選手目線だけではなく審判視点からの指導等も描かれてきたおお振りですが、今巻は各校の指導者の違いが面白い1冊となりました。

その中でも特に印象的だったのが、8時間授業+19時半下校の縛りの中でベスト8常連の学校、宮武監督のお話。


宮武監督は選手と一緒にアップをします。練習中に座ることはせず、ロードにも併走。人とすれ違えば挨拶をし、ゴミが落ちていれば拾います。

社会人で野球をやっていた経験がある宮武監督は「学生の時には気付かなかったことが見えてきた」と当時のことを語り始めました。

「ある日寮でメシ食ってて この皿も誰かが洗ってくれんだなって思ったんだ(中略)厨房のあの人がオレの汚した皿の残したものとかゴミとかはらって 洗って棚に戻して また明日の朝オレにメシをよそってくれるんだなってのが見えるようになっちゃったんだ」

ボール、バット、ユニフォーム。1つ1つの物には当然お金がかかっていること。グラウンドを使うために、自分が野球をするために、多くの人が関わっていること。

学生の時には気付かなかったことが見えてきた宮武監督は、まず綺麗にご飯を食べるようになりました。自分だけで終わらせるのではなく、チームメイトにも呼びかけてお皿を重ねて返却するようにし、テーブルも拭き始めます。

「そしたらね 倉庫が汚れてるなって思ったの いや…ずっと汚ねーなとは思ってたんだ でもそこで思考が止まってた

止まっていた思考が動き始めました。
そうか、自分で掃除すればいいんだ。

倉庫を綺麗にしたら、今度はグラウンドの汚れが気になり始めました。グラウンドを掃除したら、今度はグラウンド周りのゴミが気になり始めました。

「多分ずーっとそこにあった空き缶なんだけどね これが1つ見えたら 次々空き缶が見えてきたわけ」

グラウンド周り、寮の周り、会社の周りを掃除して、いつの間にか朝の掃除が野球部の日課となりました。近所の人が応援に来てくれ、グラウンドに活気が出て、その頃から野球の成績が上がっていったのです。


自分の日常生活を思い返してみると「そこで思考が止まってた」事柄がポンポンポンといくつか立て続けに思い浮かびました。まさに今、折角の長期休暇でもやっていない後回し案件。ねえ、わたし、それっていつやるの?

まずは行動すること。そうすることによって初めてそれが「気付き」になります。気付いていてもやらないのであれば、当たり前ですが何も変わりません。むしろ書類も汚れもどんどん積み重なっていってしまいます。

だから最初の一歩は、思考を止めずに「気付き」に変えること。
そうすることで見えていなかった他の問題点にも気付くことが出来るはずです。ゴミ拾いから野球の成績が上がったように、思わぬ副産物がついてくるかもしれません。

思考を止めず「気付ける人間」に
この言葉をわたしの29歳の目標にしようと思います。



おお振りは高校野球マンガですが、野球自体の上達の話だけではなく日常のヒントも満載です。

たとえばリラックスの条件付け。
リラックスと「集中」は同じものだから条件付けが出来るんだよ、という話。ピンチの状況をリラックスに紐付けられないかということで西浦高校野球部では「サードランナーを見る」ことでリラックス出来るようトレーニングをします。

野球の技術向上のための練習だけではなく、メンタル面もトレーニング。「あいさつと同じようにテクニックとして身につけられる」というメンタルコーチの話も面白いです。

35巻でまだ1年の冬なのですが(完結するのかな…)野球以外にも学びがたくさんあるマンガですよ。ちなみにわたしの推しは桐青のエース、高瀬準太です。西浦だと最近出番が多くて嬉しい泉くん。


過去のおお振り記事はこちら。


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