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秩父は遠いと言うけれど

前回、新しく購入したロードバイクを紹介した。(詳しくはこちらから)

本記事は久しぶりに大学の悪友と一緒に秩父まで往復約160kmライドしてきた備忘録である。

朝3:00、起床

ローディーの朝は早い。昔からのことわざで早起きは三文の徳というがそれはサイクリングにおいても同じである。都心は勿論のこと、ローディーの間で有名なコース(ヤビツや道志みち、都民の森等)は大抵バイカーやドライブコースとしても定番であることが殆どだ。その為、特に土休日は渋滞気味になりがちである。朝早くから出発することで渋滞に巻き込まれないことは勿論、(ライトを点灯しなくても)走行できる距離が増えるのも然り。まだ残暑なこの頃、皆様も朝少し早く出発されては如何だろうか?

朝4:00、出発

まだ辺りがしんと静まりかえっている中、出発。前日に雨が降っていたせいで、路面はかなりウェットな上にサイクリングロードの街灯もそこまで明るくない。ゆっくりとしたペースで合流地点のコンビニまでペダルを進めよう(それでも、集合時間の30分前についてしまったが?)。時間に余裕があるので集合場所のコンビニでコーヒーとおにぎりを買い、悪友が来るまで暫し小休憩。

朝5:00、悪友と合流

集合時間ちょうどに同じサイクリング部の悪友と合流した。今回、150㎞以上の工程であるにも関わらずクロスバイクで参戦したことに加え、前夜まで変速関係の調整をしていたが上手く決まってはいないこと…、果たして彼は無事に戻って帰ることができるのであろうか?そんな不安はよそに一同は朝日がまだ低い位置にある中、西へと進んで行った。

朝7:00、山王峠

山王峠はだいたい東京都青梅市と埼玉県飯能市の境にある短い峠である。青梅まで、30㎞/H位のいいペースで来れていたので予定した時間よりも大幅に早着することが出来た。圏央道の高架を潜り、畑に朝霧が掛かっている様を見ると一気に郊外の雰囲気から山村のモノへとガラリ変化する。
その峠は距離こそ短いものの、傾斜が10%超えている箇所もあり中々登りがいある坂だ。一同は久しぶりにロードやクロスバイクに跨ったこともあり、メインディッシュである山伏峠へのいい肩慣らし?になった事だろう。一人、150㎞以上走るにも関わらずショルダーバッグ一杯に荷物を持ってきているヒトがいることを除いて…

朝8:00頃、山伏峠

山伏峠アタックの目印である山伏ベースまではほぼ平坦な道が続く。傾斜がきつくなるベース前の道のりでは荷物をぎっしりしょった悪友とこむらさきと彼の研究テーマやロードバイクがいかに「経済的」であるかで盛り上がっていた(一同はこの後、絶望することとなる)。山伏峠は関東ヒルクラマーの間では「初心者」向けの峠であると言われている場所であり、ローディーのみならずバイカーやドライブコースとしても人気な場所である(事実、土休日はかなり混む)。念のため断っておくが、ヒルクラマーの様なシリアスローディーにとっての「初心者」は一切初心者向けではない。一同はそれを理解しつつも余裕ぶいてアタックを開始したが、アタック2㎞位で悪友に異変が。「休憩していいですか?」。

はい、足つきである。

これ以降2回ほど足つきしたが元凶は言わずもがな、悪友の荷物とクロスバイクであろう(なんで峠登ることを分かっていたのに毎度一杯の荷物も持ってくるのであろうか?)。重たい荷物を背負いながらゼーゼー言っている悪友を傍目に余裕ぶっている様子のこむらさきも実はヘアピンカーブの内側で前輪を浮かしヒヤリハットな思いをするなど、こちらもこちらで「初心者」向けの峠にしては余裕がなさそうである。その為、道中に絶景スポットが五万とあったにも関わらず頂上まで写真を撮れなかった、無念。
写真も撮れない程にお互い余裕がなかったが、それでも何とか頂上に到着。

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山伏峠から先は秩父まで長い長いダウンヒルである。ありきたりなインプレッションではあるが、ウェットな路面に急な下り坂でも、心なしか油圧ディスクブレーキというだけでリムブレーキに比べて安心して進める(勿論、峠道は見通しは良くないので最徐行で下っていく)。
いつも間にか気が付けばR299に合流していた。山伏峠が関東のローディーにとって有名な理由はこの国道299号線も関係すると個人的に思っている。山伏峠を越える県道53号と合流する手前に正丸トンネルという長大トンネルがあるのだが、そこは自転車等の軽車両の通行が禁止されている為、都心から秩父に行く際は奥武蔵グリーンラインか山伏峠に迂回する必要があるからだ。
しばらくの間、道中に休憩スポットがなかった為、R299沿いの道の駅果樹公園あしがくぼで一息つく。この時点で嬉しいことに秩父へ予定よりも大幅に早着する見込みであったので一気に長瀞まで進むこととした。

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朝9:30頃、長瀞

実はこむらさき、今回が初めての秩父・長瀞訪問であった。やはり初めて訪れる場所に行くのは何歳になっても胸が躍るものである。その一方で別の秩父らしさの洗礼を受けることとなった。それは、ダンプカーの多さである。某鉄道会社の広報活動や某アニメの効果もあってか今でこそ観光地化された秩父であるが、元々は石灰やセメントの一大産出地である。それ故、秩父鉄道は日本の私鉄では珍しく定期的にセメントを運ぶ貨物列車が運行されている。

ただ、モーダルシフト著しい我が国日本において、輸送手段の主役はやはりトラックだ。セメントを満載したダンプカーがひっきりなしに行きかう(それか単に埼玉県が【自主規制】)が故に路面は荒れており、パリコレモデルの脚並みに細いタイヤを履いているロードバイクにとってはかなりの苦行であった。荒れた舗装路や定番の「向かい風がー」と文句を垂らしながらも無事長瀞に到着。

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(運がいいことに到着した途端、電車が来てくれた)

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(前日の雨のせいで荒川は濁っていたが、それはそれで風勢があってよい)
9時代に到着したこともあり、お店はどこも準備中であったがその分観光客も少なく、「元来」の長瀞を堪能することが出来た。SPD-SLシューズで来てしまったことを除いては...

朝10:00、寄居

長瀞から寄居の間は恐ろしい程に何もない。辺り一面に広がる畑や山々は都会の喧騒から解放してくれる一方、物質社会に染まりきった現代人こむらさきにとってはどこか恐ろしささえ感じる。そんなことをつぶさに想いつつ、気づけば寄居に到着。15kmなど案外あっという間のものである。ただ、着いたのはいいものの10時開店の飲食店なんぞある筈がなく、長瀞到着時に寄居でお昼休憩を取るつもりでいた一行は渋々、東松山まで向かうこととした。

昼12:00、東松山市街地

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小川町周辺の丘陵地帯でアップダウンの連続に苦戦しつつも東松山に到着。東松山は小中学校の遠足で関越道を走行するバスの車窓から見ると高層な建物もあり、案外都会的なイメージがあったが実際に駅周辺はガランとしていたのが意外であった。とは言え、ここまで来ると都心部への通勤圏内に入るのでバイパスのロードサイド店に加え、駅周辺でもちらほらと飲食店は見かける。改めてここが車社会であることを実感させられる静かさに包まれて南口でGoogle Mapで適当にお店を探しているとこむらさきの琴線に触れるところを見つけたので早速移動。

今回のライドでお昼を頂いたのはこちら

東松山駅南口直ぐの来々軒さんでこむらさきは焼きそば、悪友はタンメンを頂いた(各¥600)。また、お店のご厚意により餃子を一個サービスしてくださった。ただでさえ、価格設定が低いのにサービスしてくださるなんてお客であるこちらとしても恐縮である。肝心の味であるが酸味の利いたソースがもちもちした太麺に絡まり疲れた体に良く染み込む。餃子は野菜多めで胡椒とお酢で食べたのもあるが、キャベツの甘味が利いたどこか懐かしく、家庭的な優しい味だ。おあいそして店内に出ると、タンメンの透き通ったスープの如く、雲一つない空様であった。気温もスープ並みに暑かったが。

昼13:00、川越中心部

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東松山から先はバイパスの車線も2車線から3車線に広がり、その分だけ車通りも多くなる。川島町の広大な農地を見ながら関東平野の広大さを感じていたらいつの間にか川越市に入っていた。
市街地に入ると、ライド日が休日なこともあり多くの観光客でごった返していた。サイクリストとしては鬱陶しいが、地元としてはうれしい悲鳴でもあるだろう。歩幅は大きくはないものの、徐々に以前の日常を取り戻しつつあるみたいだ。さあ、気づけばゴールまで30㎞。最後まで気を引き締めて走っていこう。

昼15:00、ゴール!

川越までは下り基調であったのでまだ何とかなったが、所沢方面に向かうとなると若干の登り基調になるため僅か数パーセントの傾斜が脚や間接の痛みに来る。悪友とは途中で解散。何故か秩父にいた時よりかは元気になっている(永久機関か?)。ともあれ、悪友も問題なくゴールできたことだし、気持ち的には鉄下駄ホイールからC36並みに軽くなった、気がした(実際は鉄下駄なホイールに変わらないが)。暫くして、朝走って来たサイクリングロードに戻ってくると、自宅に帰れる安心感と秩父まで10時間ぐらいで往復出来たことの達成感が沸いてくる。流石に夕方ということもあり、サイクリングロードはローディーは勿論のこと、買い物帰りのママチャリや疲れ知らずの子どもたちで溢れ、カオスになっているのでノロノロとやる気のないケーデンスでペダルを回し、無事に帰宅。

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最後に

今回、新車を買って初めてのロングライドであったがやはりカーボンロードは振動吸収性能に秀でているだけあり腕や手の痛みはなかった。ただ、久しぶりに100㎞を超えたライドであったので脚の痛み(特に膝)が後半足かせになったのでペダリングやフォーム、ポジションを調整していく必要があるだろう。
また、折角のカーボンディスクロードであるにも関わらず平均速度が思ったよりも出なかったので、巡航速度向上も兼ねてカーボンディープリムホイールは積極的に導入していきたい。
他方で今回のライドのペースであればブルべ200㎞であれば制限時間内にゴールできることも判明したので年越し前までにはそちらも参加してみたいと思う。

今回はここまで。
次回は自身最長距離のライドとそこでの「出来事」について書いていけたらと思う。

皆様によりサイクリングライフがあらんことを

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