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「減免って何?」

 先日、わたしが出席した会議において、「減免」という法律行為について、職員間でどうも誤解が生じているように思われる場面に遭遇しましたので、今回は「減免」についてフォーカスしてお話しします。よろしくどうぞ。




 あなたが所属する部署で、住民が使用する施設、いわゆる公の施設を所管していることを想像してみてください。窓口に住民が訪れ、使用申請を申し出たとしましょう。その住民が自らの境遇を語り始め、本市が定める使用料を支払う余裕がないことをるるとして語り続けます。

 当該施設の設置条例を確認したところ、使用に当たっては全額前納することが定められているだけで、使用料を減免することができる規定はないようです。

 さて、あなたなら、どう対処されますか?
❶ その住民の経済状況を考慮し、上司の了解をとって、使用料の減額を受け入れる。
❷ 条例に減免の根拠がないため、使用料の減免をすることができないことを相手方に伝える。
❸ 本市の施設管理は、市長の裁量によるはずだから、市長の決裁を取り、可能な限り減免することを相手方に伝える。




■公の施設の使用料は、正当な理由があれば条例の定めるところによって減免することができる。使用料の減免は、自治法96条1項10号でいう「権利の放棄」に当たるからである。

 「権利の放棄」とは、地方公共団体の有する権利を放棄することであり、権利の「放棄」とは、権利者の意思行為により権利を消滅させることであるから、単に権利を行使しない場合は、ここにいう権利の放棄には含まれません。また、時効の完成等により権利が消滅する場合ももとより権利の放棄ではありません。
 自治法96条1項10号にある「法律若しくは政令又は条例に特別の定めがある場合」には個々の放棄について個別の議決を要しません。その例としては、地方税について条例の定めるところにより減免する場合(地方税法61条、72条の62等)、分担金、使用料、手数料に関する条例で定めて減免する場合(自治法228条1項)等があり、その他条例で定める場合、例えば、奨学資金その他の貸付金につき一定の条件のもとに返還義務を免除する場合等も考えられます。私法上の契約に基づく収入(契約金、給食費、貸付金等)が徴収不可能となった場合の欠損措置は、本号の権利の放棄に該当します。

 「減免」を実現させるためには、実はかなりの人的・時間的資源を投入して、議会の議決をいただくこと、又は減免を規定した条例案の議決をいただくことをご理解ください。

 若かりしころ、わたしも窓口で「手数料が高すぎる。無料にしろ!」などと言われて当惑した記憶(役所あるあるなんですよ)があります。窓口に立つ若手職員に文句を言っても、単なるサンクコストになりますので、御意見・御要望は御支援されている議員さんにお伝えする方がより効果的ではないかと思います 笑

 今日はこのへんで。ではでは。

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