掌編小説 「満ちる」
巨大なモンスターを技を駆使して次々と倒してゆく。自分の体より大きい剣を奮う男の筋肉は隆々と盛り上がり、その全身からはオーラが出ている。七色の輝く光。その殺戮に意味なんてない。ただ、気持ちよくなるために、全能感に浸って恍惚とするためだけに、ゲームの中では絶対悪であるモンスターやゾンビを無心になって殺す。新しいのを買えなくて同じゲームを何度も繰り返してるからすっかり強くなって気持ち良くやっつけることができる。気が付けばすっかり日が暮れて昏くなった部屋でテレビの画面だけが明るい光