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娘の不登校日記/14.入学式がラストチャンス

卒業式を終えてから、中学校のことに関してあまり触れてこなかった。
会話の流れでそれとなく、中学の話題をふってみても煙に巻かれる。
中学にも通いたくないのだと思う。
小学校の同級生がそのまま中学に進学するから、行きたくない気持ちもわかる。
ただ、卒業式に一瞬でも参加できたから、可能性はゼロじゃない。
入学式に行けたら、それをきっかけに登校できるようになるかもしれない。
親としてはそんな淡い希望をもっている。
でも、行けなかったら、中学校の不登校は確定する。
つまり、入学式に参加できるかどうかが中学生活の運命を握る。
脱不登校のラストチャンスなのだ。

一方で、娘には無理をさせないように心掛けている。
入学式が無理ならそれはそれでしょうがない。
期待し過ぎるとプレッシャーになるから。
バランスが難しい。

そんなこんなで卒業式当日。
娘は寝れなかったみたいだ。
不安と緊張があったんだろう。
購入した制服に初めて袖を通す。
制服姿が大人びて見えた。
そして入場時間のギリギリにつくように家を出た。
娘が中学の校門前まで来て一言
「心臓が飛び出そう」

張り出されたクラスメンバー表を見て、娘はがっかりした。
親友の名前が無かったからだ。ざんねん。
同じクラスの友達がショックを受けて固まっていた娘を教室まで連れて行ってくれた。

親と離れて同級生と同じ空間になるのは久々だ。
娘の安否が不安になる。
保護者は子供たちの入場を体育館で待つ。
ちゃんと入場できるか心配になる。
他の親とは別のドキドキだった。
そんな心配もよそに、娘はうつむき加減で入場してきた。
「良かったぁ」
心の声が漏れた。

唯一良かったことは、担任の先生が女性であったこと。
しかも話しやすい優しい先生だった。
式が終わって帰る時に、
「先生ガチャ当たりだった」
そう言って、笑った。

無事、入学式を終えた。
そもそも行けるかわからなかったから上出来だ。
よく頑張ったと思う。

家に帰ってきて娘が言った。
「明日、行けそうな気がする」
予想をはるかに超えた発言に、驚きすぎて奥さんと目が合った。
泣きそうになった。
一瞬、不登校克服かと思ったが、気持ちを抑える。
期待し過ぎてはいけない。
でも、素直にうれしかった。

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