CALL

一番身近な場所にあるソメイヨシノの蕾が、くしゃみを連発する私の頭上で

そしらぬ顔をしてほころんだ。

野生種であるエドヒガンと伊豆大島のオオシマザクラが江戸時代後期に交配し生まれた品種で、日本国内の多くの個体はクローンであるため春先の気象予報で開花予想が発表されたりしている。

私はこの花に、なんとも言えない虚しさを感じることがある。



クビアカツヤカミキリ、という昆虫がいる。

この昆虫は、成虫が6月下旬から8月上旬に柔らかな材質の樹皮に産卵して、その8〜9日後に孵化した幼虫が樹木の内部に食入。2〜3年を過ごす間に内部をとにかく食べまくるのである。

(詳しい生態は群馬県のHPを参照のこと       https://www.pref.gunma.jp/04/e23g_00005.html)

さて、この昆虫とソメイヨシノ何が関係あるのか。

このクビアカツヤカミキリ、ソメイヨシノが大好物なのである。そして一旦彼らに目をつけられた個体は多くが枯れてしまうことが多い。

つまり、ソメイヨシノはいま大変な危機にさらされていることになる。

この昆虫、ソメイヨシノだけを標的にしているわけではないが、ソメイヨシノの分布と近年の温暖化の影響を利用し密かに数を増やしつつある。

しかし、あまりこの外来生物の知名度は高くない。

日本の象徴とも呼べる地位を欲しいままにするソメイヨシノは今、多くの人々の預かり知らぬところで大変な危機に直面しているのである!

という一連のことが、ここ数年の桜開花宣言のたびに頭をよぎる。

日々何気なく目に映る美しい花も、いつも何かと戦っているのかと思うと

また違った世界が顔を覗かせるかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?