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自分で調べる。だからチカラになる。|インタビュー 利用者の今|2021年01月

精神の障がいをもつ、Cさん。こもれびグループで、就労継続支援A型の利用者として働いています。入社、7年目の【今】について教えてもらいました。


■こもれびグループの就労支援を利用することになった経緯を教えてください。

こもれびのことは、ハローワークで知りました。
障がい者用のデータベースで求人検索をしたら、こもれびの求人票があったんです。仕事の内容は、データ入力でした。就労継続支援の事業所というと、軽作業の仕事がほとんどだと思っていたので、めずらしいな、と思いました。また、データ入力以外にも、軽作業や小物づくりなどの仕事でも求人があったので、比較的大きな会社なのかな、とも思いました。私は、大学卒業後に、企業に正社員として入社し、営業や管理部門の仕事をしていたので、データ入力の仕事なら、自分にもできるのでは、と思い、こもれびの求人に応募し、就労継続支援A型の利用者として働くことになりました。

働くにあたって、不安はありました。大学卒業後に就職した会社で、うつ病を発症し、その会社を退職した後、いろいろな会社に入社しては、体調を崩し、退職するということを繰り返していたからです。再び、体調を大きく崩して、働けなくなるのでは、という不安は、正直、今もありますが、入社して6年以上たつので、自分なりには、長く続けられているな、と思っています。この間、体調を崩し、長期で休みをとったことは、一度もありません。長く続いている理由のひとつとして、入社する際、まずは、毎日通うことから始めればいいよ、そこから、少しずつできることを増やしていけばいいから、とアドバイスを頂いて、肩のちからが抜けたことが、あると思います。結果を早く求めすぎて、自分を追い込んでしまい、体調を崩すことが多かった自分にとっては、とてもありがたかったです。今は毎日少しずつでも、出来ることを増やし、なるべく長く仕事を続けていきたいと思っています。


■現在、どんな仕事に取り組んでいますか?

イラストレーター(Illustrator)という、ソフトを使って、デザインの仕事をメインにしています。これまで一度も使ったことのないソフトだったので、最初は、線を1本、書くところからはじめました。そこから、LINEのスタンプが作成できるようになり、今では、企業のロゴ募集のコンペに参加したり、Tシャツのデザインをして、WEB販売をしたりしています。そのほか、ブログやSNSの更新も仕事のひとつです。

イラストレーターやデザインの世界は奥深く、自分はまだまだ、ひよっこで、日々、勉強の毎日です。支援員さんも、イラストレーターに詳しいわけではないので、わからないことや、できないことは、本やWEBを使って、自分で調べて解決するようにしています。人に教えてもらうよりも、自分で調べるほうが、より深く考え、理解することで、自分のチカラになると思いますし、会社もそうあるべきだと考えていると思います。
どうしても、どうしても、わからないときは、自分より詳しい利用者さんに教えてもらうこともありますが、基本的には、自分ひとりで、解決できています。


■仕事をするなかで、うれしいことはありますか?

ロゴのコンペに合格し、企業ロゴとして採用されたり、Tシャツが売れるとシンプルにうれしいです。プロやそれに近いひとたちとの、競合ですから、合格や売れることは、まだまだ稀です。それでも、日本のどこかで、自分のデザインしたロゴが、使われていたり、Tシャツを着てくれている人がいるんだと思うと、社会と繋がっている、社会に承認されている、といった思いにもなります。

あと、月ごとに、1ヶ月間、無遅刻・無欠勤・無早退だと、会社から皆勤賞がもらえるんですが、それが、小さな喜びです。手当がもらえるので、それも、もちろん、うれしいのですが、1ヶ月、体調を崩すことなく無事出勤できたという、達成感と安堵の気持ちがわいてきて、うれしいんです。小さな喜びですけど、その積み重ねが大切だと、思っています。


■仕事をするなかで、大変なことは?

ロゴのコンペで不合格が続いたり、Tシャツがなかなか売れないと、焦りが出てきたり、不安になったりします。支援員さんには、今は結果を求めるよりも、スキルを上げることのほうが大事だよ、とアドバイスを頂きますが、自分の気持ちと折り合いをつけるのは、なかなか大変です。結果を早く求めすぎて、自分を追い込んでしまうのが、わるい癖だとわかっていても、どうしても、意識がそちらを向いてしまうので、日々、葛藤があります。

それでも、体調を大きく崩すことがないのは、自分の成長と、支援員さんたちのフォローのおかげだと思っています。困ったことや、悩みがあれば、支援員さんにいつでも相談できる体制が整っているので、その点、助けてもらっています。一般就労では、なかなかそこまで、フォローしていただける企業は、少ないと思うので、そこは、就労支援事業所で働くメリットのひとつだと思っています。


■今後の目標や、将来の夢があれば教えてください。

就労継続支援A型で働いているので、一般就労を目指す気持ちが、ないわけではありませんが、なかなか難しいな、というのが、正直な気持ちです。自分のスキルが、まだまだなのもありますし、求人自体が、少なく、条件も自分にあったものは、ほとんどないのが、実情です。法定雇用率※がきっちり守られて、たくさんの仕事がある状況になれば、そのなかで、自分にあった仕事が見つかるかもしれませんが、今のままでは、難しいなと、思っています。
※障害者雇用促進法で定められた、企業や行政が、雇用しなければならない障がい者の割合を示したもの

ですから、今は、A型の仕事をなるべく長く続けることが、目標です。勤続10年を目指したいですね。そのなかで、イラストレーターやフォトショップ(Photoshop)のスキルを上げ、出来ることを増やしていきたいです。10年たったら、自分に何か、ご褒美をあげようかと、それを楽しみのひとつにして、働いています。

20211222_note【記事挿入画像】利用者の今_01