江戸時代の季節のお惣菜4・5・6月編。古文書『女中嗜日用宝』を訳してみた
前回の1・2・3月編では、冬の食べ物の代表、根菜類や魚介類が多く見受けられました。今回は春の食べ物ですから、あれかな?と思い当たるものがあるかもしれません。きっとあると思いますよ!
四五六月の部
●竹の子生節の煮だし
※生節=かつお節をつくる際、
1回だけあぶって乾かした加工食品
●竹の子千切り・イカ・木の芽の味噌和え
●竹の子・きざみ昆布・揚げ豆腐の平皿
●わかめ・長干大根の二杯酢
※ハリハリという
●わかめのからし味噌汁
●はじきそら豆の煮しめ
●新そら豆をさやごと茹でてゴマ味噌和え
●きゅうり小口切り・ハモの皮の二杯酢
または揚げ豆腐焼きを刻んで入れてもよし
●白瓜半月切りの葛炊き 揚げを入れてもよし
●白瓜を刻みハモの皮のなます または揚げを
ひと刻みしてシソの葉を入れてもよし
●白瓜かつら向き・しいたけ・揚げ豆腐の平皿
●カボチャ蒸して葛あんかけ
●カボチャ・若ゴボウの煮しめ
●ナスはいろいろ使い方が多い
まず小さいのは二つ切りにし、
油で煎り出しおろし大根を醤油で
●ナス二つ切りを細かく切れ目を入れ
味噌汁すりゴマで
●大きくなったナスは葛煮
または大きくさいの目切りにし味噌汁
あるいはゴマ醤油お浸し
または酢味噌和え
または二つ切りにし細かく切れ目を
入れて蒸し、ゴマ味噌をかけるのもよし
そのほか田楽
または丸いまま釜の下へ入れて
よく焼けたときに水に入れて皮を取り、
ゴマ醤油をかけるもよし
なお、あしらいものによっては
いろいろ使い方が多い
※あしらいもの=料理を引き立てるために
添える野菜や花のこと
●冬瓜さいの目切り・干し鮑の炊き出し
●冬瓜角切りの葛煮
またはさいの目切りの摺りゴマ味噌汁
または角切りのふろふきゴマ味噌
●若ゴボウの軸・敷鰹の煮しめ
※敷鰹=薄く削った鰹節
●フキを割って焼き豆腐さいの目切りの味噌汁
●フキ・はじき豆・若ゴボウの煮しめ
●若頭芋・揚げ豆腐の葛煮
※頭芋=サトイモの親芋
●ネギ・あかえを油で揚げすっぽん炊き
※あかえ(権萃の異名)=
ミツバウツギ科の落葉樹で若葉を食べる
上記のほかに、塩魚・川魚・青物を
見合わせて使うこと。
【たまむしのあとがき】
春から初夏の匂いがしますね。
実は今回初めて知ったのですが、「冬瓜」は冬という漢字がついているにもかかわらず、旬は7・8月なのだそうです。
さらに、カボチャは冬の食べ物だと思い込んでいたのですが、旬は9~12月のようです。
いずれにしても、この4・5・6月のお惣菜メニューにはちょっと早い気もしますが、キュウリや白瓜の名も見られますので、広く瓜系のものはこの時期から出回るようです。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?