船酔いしない方法など旅中の心得いろいろ。古文書『廣益秘事大全』解読⑱
嘉永四年(1851)の古文書『廣益秘事大全』から、奇巧妙術類「生活の豆知識編」解読の第18回目です。
今回は旅行中の体調管理に関する秘伝特集です。
昔の日本人の、シンプルで人間にも地球にもやさしい生き方の中に、現代でも取り入れることのできるものがあればと思い、そのヒントを提供できるよう、古文書を読み解いてご紹介します。
1.旅中、病気にならない方法
早朝に出立するときは、
生姜一切れを口に含めば、
霧・露・湿気・山嵐など
すべての不快な邪気に影響を受けず、
病気にならない。
また、暑い時期の旅行には
ニンニクをへそに当てて
手ぬぐいで締めつけておけば
暑さに堪えることはない。
2.船酔いしない方法
船に酔う人は、乗るときに塩をへそに当てて
紙でその上から貼って押さえるとよい。
こうすれば船に酔わない。
もしくは、白ささげ※を酒に浸し粉にして
携帯して船に乗る前に飲むと、
どんなに波が荒れても酔うことはない。
※ささげ=マメ科の一年草
もし、船に酔ったときは
どの魚でも子持ちのものを水で飲む。
また、鮫のフカを干したものを飲んでもよい。
3.寒風が肌を通さない方法
風が肌に刺さって寒いときは、
紙を広げて衣服の間に挟んで入れれば、
風を通さず寒気を防ぐことができる。
4.旅中に空腹をしのぐ方法
挽茶(抹茶)を携帯しておくと空腹を
しのぐことができる。
また、生のヨモギを採ってそのまま食べても
空腹をしのぐことが出来る。
5.旅中、足にマメができない方法
火の附木※を一本携帯すれば
足にマメができない。
※附木=檜 ・松・杉などの薄い木片の先に
硫黄を塗りつけたもの。
火を他へ移すときに使う。
今でいうマッチのようなもの。
【たまむしのあとがき】
私たまむしも昔、乗り物酔いがひどい方でした。
子どものころ、たぶん本で知ったのでしょうが、スキー実習でバスに乗った時に、ヘソをずっと押さえていたのを思い出しました。
かろうじて酔わずに済んだのですが、楽に酔わなかったというのでは決してなく、必死に努力してなんとか酔わなかったといったほうが正解で、素直に酔い止め薬を飲んだ方が全然いいなと悟ったのです。
その後はヘソを押すこともなくなり、酔い止め薬のお世話になること数十年。
今ではもう歳をとって三半規管が鈍くなったのか、ほとんど酔うことはなくなりました。
こうした昔の民間療法では、ヘソを刺激するものがたまに出てきます。
ヘソが内臓の中心的位置にあるからなのかもしれませんが、身体を良好な状態にしてくれる重要なツボのようなものなのでしょうね。うまくヘソツボをコントロールして仲良くなりたいものです。
それにしても、酔わないためにあんなに真剣にヘソを押さなければ効果が出なかったのは、塩をつけなかったのが原因なのでしょうか?塩をつけるとつけないとでいったいどれほどの効果の違いがあるのでしょうかね?
まぁ、酔ってしまってから子持ちシシャモを買いに走らなくてはいけなくなるくらいなら、最初から素直にヘソ塩を実行したほうがよいのは間違いないでしょう。
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