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卵の良し悪しを見分ける方法など。古文書『廣益秘事大全』解読㉕

嘉永四年(1851)の古文書『廣益秘事大全』から、奇巧妙術類「生活の豆知識編」解読の第25回目です。

今回は、前回特集の果物以外の食べ物に関するものと、思わず笑える豆知識など諸々をお届けします。

昔の日本人の、シンプルで人間にも地球にもやさしい生き方の中に、現代でも取り入れることのできるものがあればと思い、そのヒントを提供できるよう、古文書を読み解いてご紹介します。

1.茶を長く保存する方法

茶壺の底に藁灰を敷き、茶を紙に包んで
灰の上に詰め、壺の蓋をしっかり閉めて
保存しましょう。
茶の湿気が自然と灰に移り、
煎らなくても味は落ちません。
灰の代わりに炭の粉を敷くのもよいでしょう。

2.蜜漬けの菓子の味を戻す方法

蜜漬けの菓子の味が悪くなったら、
壺に入れたまま湿った砂の中に
埋めておきましょう。
奇妙なことに味わいが元に戻ります。
これは秘法です。

3.卵を割らずに良し悪しを見分ける方法

手桶に水を入れ、
その中で卵を浮べてみましょう。
中身が損じたものは浮き、
新鮮なものは沈みます。
これは即効性のある方法です。

4.汗臭さを取り去る匂い袋

丁香ちょうこう(クローブ) 一両(37.5g)
・山椒 60粒

丁香(クローブ)
山椒

以上の2品を刻んで絹の袋に入れ、
携帯しましょう。
汗臭さを取り去る技です。

5.闇夜に五町四方の人の足音を聞く方法

これは腹這いになって耳を地面につけ、
よくよく心を静めて聞きましょう。
五町四方の人足は必ず響くものなのです。
昔からの忍びの名人の秘伝です。
疑うべからず。

6.即席糊の作り方

はぜ(もみを炒ったもの)を少し炙って粉にし、
紙袋に入れておいて携帯しましょう。
必要なときに水で溶けば、すぐに糊になります。
また、生麩糊しょうふのり※を乾かして
粉としておくのも良いでしょう。

 ※生麩糊=小麦粉で麩を作るときに底に
  溜まった粉を乾かしたでんぷん。これを
  煮て糊にし、洗濯用として使う。 

7.箱などにきれいに色をつける方法

おはぐろと石灰をほどよく合わせ、
むらなく箱に塗り、よく乾かした後すり落とし、
油をつけて紙で擦れば
ツヤが出て一番きれいになります。


【たまむしのあとがき】

「闇夜に人の足音を聞く方法」笑えますね!

秘伝といっていますが、恥ずかしいから誰もやらないだけで、ごく当たり前のことじゃないのという気がします。

このネタの中に「匍匐」という漢字が出てきます。

わかりますか?これ。

私たまむし「葡萄(ぶどう)」かと思いました。

しかし、文頭から「これは匍匐はらばひて耳を地につけ」とあり、どうやら「腹這い」のことを意味するようです。

は?

コレ、「ほふく」と読むのです。

そう、匍匐前進のほふくです。

超難解なこの漢字。

匍=はう。はらばう。腹を地面につけてはって進む。

匐=はう。はらばう。腹ばいになる。

どちらも腹這い。

これらは漢字検定1級でも出ない字のようです。


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