けんちく本を読む休日 #吉田五十八
秋の休日
子ども達は、パソコンで動画観たり、お人形遊びに夢中になっている。
私は、家事も一段落したことだし、畳に寝っころがって、けんちく本を······
広げたのは、
『現代建築家全集3 吉田五十八』
1974年 三一書房
近所で設計事務所を片付けるところがあり、古い本をいろいろもらってきたのだ。その中の1冊。
昔、大阪のリーガロイヤルホテルを訪れたところ、そのロビーの意匠、豪華さ、壮大さ、引き込まれる感覚、品格、に圧倒された。聞くと、吉田五十八設計とのこと。
吉田五十八 1894年生まれ 建築家
日本建築、数寄屋建築の近代化に取り組む。
本には、政治家や画家など文化人の自邸、料亭、寺院、美術館、外務省公館、等の写真や図面が載っている。それらを眺めるだけでも美しいが、画家の東山魁夷との座談会などが掲載されており、読みものとしても面白い。
印象的だったエピソードをあげると······
江戸の数寄屋を近代化するにあたり、畳をやめたり、昔からの建具寸法を変えたりして、毎日、大工とケンカだったこと。
絵画や舞台にも共通するが、プロポーションや、間、空白部分のとり方が難しいということ。
近代建築に、日本の伝統建築を取り入れるにあたり、椅子式であった平安時代の建物を参考にしている。現存する建物はほとんどないので、絵巻物をみている。
日本中に、偽物の吉田五十八設計という住宅が売買されている。
吉田先生に設計を頼みたいという人がいると、間に入った人が、私が先生にお願いしてあげると言って、偽物の図面を施主に渡すという、詐欺が行われている。
地所を見て、どんな家を建てたらいいか、結局は勘だ。そこへ生えたような家でなければだめだ、おいたような家はだめだ。
最後には、いい家とは何か?ということが書いてあった。
一わたり家を拝見して、ウウ、なるほど、ここがばかにいいといってとりあげるほど、いいところもないかわりに、悪いところもないし······と考えながら、そこのあるじさんといろいろ話をしているうち、何かこう心がだんだんとあたたまって、······さて帰る段になると、なんとなく心がひかれて去りがたいような気がして······家へ帰ってからも、何かもう一度、あの家へ行ってみたいような······
というのが、いい家だという。
なんだか、粋な話だなー。
気持ちが豊かになった気がした、秋の読書。