GAFAの面接術ーその5:どんな準備をすれば良いか?


はじめに

前回はGAFAの面接で聞かれる質問について説明しました。今回はどのような準備をすれば良いか書きます。

面接で準備すること

これは面接を受けた時に自分が思ったことと、メタとAmazonの採用ページで書かれていることからまとめた自分なりの答えです。2つあります。

  1. 現在の職場で真面目に仕事をして成果を出すこと

  2. 成果をSTARメソッドで説明できるように整理しておくこと

順に説明します。

現職で成果を出す

前回記事で説明した通り、GAFA企業の面接では「過去の行動を評価」します。過去にどのような行動をとって、それによってチームにどのような影響を与えたのか、なぜそのような行動をとったのか、同僚からの反応はどうだったか、どのような成果が出たのか、ということを質問します。仕事で成果を上げていれば、このようなエピソードには事欠きません。特に特別な準備をしなくても、面接で自分が何を達成してきたのか説明するだけで十分です。

逆に具体的な成果をあまり持っていないと、面接では苦しくなります。具体的な内容を聞いてくるので、あまり嘘はつけないからです。嘘をついても、細かなところをうまく説明できなかったりすると、突っ込まれて聞かれます。結局バレてしまいます。

例えば、あるプロジェクトで売り上げを100万円上げた、というような事例があったとします。自分で成果を上げたのであれば、次のような説明ができると思います。

自社でXという製品の販売を担当しています。得意先は10社あるのですが、販売先がなかなか増えないという問題を抱えていました。新規顧客の開拓ができていないのが原因と分析し、見込み客のリストを作りチームの人たちで電話営業を分担することにしました。100社に電話をし、そのうち20社が興味を持ち、個別訪問を行いました。最終的には3社との新規契約を結ぶことができ、100万円の追加の年間売り上げを達せできました。

自分が率先してアクションを取り、結果を残したという良い事例です。

ただし実は他の人が考えた施作で、自分は単に電話営業をしただけだったらどうでしょうか。次のような質問にうまく答えられないと思います。

  • 新規顧客の開拓ができていないのが原因と判断した根拠は何か?

  • 誰がどのようにリストを作ったのか?

  • なぜ100社だったのか?そのうちどのような基準で優先順位をつけたのか?

  • 3社以上に新規契約を得ようと思ったら、何をすれば良かったのか?

  • 100万円の年間売り上げというのは、会社全体の売り上げからすると大きいのか小さいのか?

本当はマネージャーがリストを作っていたら、「誰がどのようにリストを作ったのか」という質問でばれてしまいます。そこで自分が作ったと話を盛ってしまうと、どのような基準で優先順位をつけたのか、答えられないでしょう。すると面接担当者から不信感を持たれます。上記のような突っ込んだ質問に、整合性をとったまま嘘で押し通すのは、かなり困難です。

成果をSTARメソッドで整理する

STARメソッドというのは、Situation, Task, Action, Resultの頭文字で、どのような状況だったか、どのような業務・目標だったか、どのような行動をとったか、その結果はどうだったか、という4項目を説明することです。STARについて、メタとアマゾンが採用ページで説明しています。

面接について(Amazon)
Full Loop Interview Prep Guide(Meta)

Amazonでは、

Amazonはデータ駆動型(データドリブン)の企業です。質問に答える際には、聞かれている内容に合致した回答をすること、論理立てて話をすること、差支えない範囲で指標やデータを用いた例を出していただくこと、できるだけ直近の事例をお話いただくことをお勧めいたします。

とあります。そして、STARの回答案をあげています。

スターメソッドとは、行動に基づいた面接の質問に対して、話そうとする事例の状況、業務、行動、結果を明確にしながら説明していく手法です。状況、業務、行動、結果とは具体的に以下を指しています

Metaも同様に、"Use the S.T.A.R. method to mentally organize your thoughts."(あなたの考えを頭の中で整理するために、STARメソッドを使う)ということを準備の1つとしてあげています。

過去の実績をSTARメソッドで整理することは、履歴書や職務経歴書を書くのにも役立ちます。一度ご自身の成果を、「どのような状況だったのか」「何が問題で何を目標としたプロジェクトだったのか」「それに対して自分がとったアクションは何か」「どのような結果を達成できたのか」という4つの視点で整理すると良いと思います。

先ほどの例文は、STARメソッドを考慮して書いています。どういうことか、再掲して説明します。

(Situation)自社でXという製品の販売を担当しています。得意先は10社あるのですが、(Task)販売先がなかなか増えないという問題を抱えていました。
(Action)新規顧客の開拓ができていないのが原因と分析し、見込み客のリストを作りチームの人たちで電話営業を分担することにしました。100社に電話をし、そのうち20社が興味を持ち、個別訪問を行いました。
(Result)最終的には3社との新規契約を結ぶことができ、100万円の追加の年間売り上げを達せできました。

私の面接での経験から感じた傾向ですが、みなさん状況の説明はかなり事細かにできます。困るのはTask(課題)がはっきりと分からない時と、具体的な結果が説明されない時です。おそらく誰かの指示で仕事をしているだけだと、どのような課題を解決しようとしていて、自分の取り組みで何がどう変わったのか、あまり意識したことがないのかも知れません。上のような例でありがちなのは、「個別訪問を行いました」で説明が終わってしまうことです。これは結果を説明しているのではなくて、自分が取った行動を説明しているだけです。コスト削減、売り上げ増、作業時間削減、品質向上など、わかりやすい指標で説明できるように、整理しておいた方が良いです。

危険な会社を見極める

GAFAでの面接対策を応用すると、この会社は入ったら苦労するかもしれない、という会社を見極めることもできます。

質問が浅い

曖昧な説明でもあまり突っ込んだ質問がされない時、最初の質問以外に詳細を聞いてくるような質問がされない時は、注意した方が良いと思います。おそらく他の候補者にも、同じように突っ込んだ質問をしていないと想定できます。ということは、実はそれほど大きな成果を上げてないとか、特に自分がアクションをとったわけではなく誰かがやったことを自分がやったかのように説明しているだけの人など、あまり仕事ができない候補者を採用している可能性があります。

過去の実績を聞いてこない

雑談だけで終わってしまうような面接です。あるいは「このような状況でどんな行動を取りますか」という仮定の質問しかされない面接です。雑談だけでは候補者のことが何も分からず、単に話し相手として馬が合うかどうか、というぐらいしかわかりません。同じく、仮定の質問しかされないと、「こういう厳しい状況では私は冷静に対処できるよ」と根拠のない話しかできないので、本当に同じような状況になった時に説明した通りの行動が取れるかは、甚だ疑問です。すると口だけ上手い人でも入社できるかも知れない、入社後そういう人と仕事をすることになって、苦労するかも知れない、という危険信号と捉えることができます。

まとめ

というわけで今回はGAFAの面接に際してどのような準備をすれば良いか説明しました。GAFA面接シリーズは、今回で終了です。

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