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植田 日銀総裁会見から察する中小企業の今後


今回は思い切ってこのテーマに触れてみます。

月曜火曜と日銀金融政策決定会合があり、
金融緩和のとりあえずの維持が決定されました。

それによる金融市場への大局的な目線について
私がそれに触れるわけではなく、

火曜日の昼過ぎに行われた植田総裁の会見のコメントで気になる点があったので、そこにフォーカスしようと思います。


※短期金利(マイナス金利)など、よく扱われる話については、後藤達也さんの記事が1番理解するには早いと思います。
(後藤さん、失礼します)


金融市場の動向を気にする方はこの内容を
非常に気に掛けているのですが、

投資などに興味を持たない人は特に気にすることもないイベントになっています。
(私も過去はそうでした)


ただ、現在は会計と税務に携わる身、

特に中小企業の今後にどのような影響が出るか、
そして今後にどのような展開などが想定されるのか、
可能な範囲で考察したいと思います。


1.どこに目をつけたか


実際に会見の内容を確認しましょう。



その箇所について、
次の動画11:20辺りから出てきます。

現時点で、来年の賃上げの方針を固めきれていない企業も多くなっています。
また、価格設定においては、中小企業を中心に、人件費や間接費の販売価格への転嫁は容易ではないとの声が聞かれています。

植田 日銀総裁コメントより


この話、私が最近中小企業の方とお話するときの話とかぶってるな、と思いました。

もっと簡単に言うと、

これ以上値上げしにくい

ということになります。

前回の値上げは材料等物資の値上がりに対する値上げ、
今回は人件費をターゲットにした値上げが注目されています。


図(PL)にしてイメージを固めておきましょう。

※数字は業務上での感覚値を入れてます。

材料と人件費では場所も違う

人件費(=給与・社会保障関連)を上げたいけど、
ここで更なる値上げを提示しにくい。

なぜでしょう。


2.払う側からすると何も変わっていない


人が何かものを買うとき、食事をするとき、
そのモノを見なつつ、対価性などを考慮しながらお金を払うケースが多いと思います。

例えば、

前回は輸入牛肉などが値上がり。
外食チェーンのメニューは当然値上がりしました。

ここで、値上げを受け入れたみなさんは、

”牛肉の値段が上がっているから、牛丼の価格が上がるのも当然”

と原価との対応関係がイメージしやすかったのです。


今回は人件費に関わる値上げ、

例えば、原料の話なく人件費が上がるからと牛丼の値段を上げると
値上げのネガティブなイメージが特に伝わりやすいです。

そして、商品の提供を受ける消費者にとって一番大事だと思っているのが、

商品そのものは何も変わっていない

ということになります。

前回の原料価格UPの場合は商品改良という名目の下で値上げを行っているところも散見されました。
(喫茶店で、牛乳の改良により、、など)

今回は何も変わっていない、けども値段が上がる

ここが一番ネガティブに伝わる部分だと思います。

3.春闘が注目されるワケ


賃金UPの次の舞台として春闘が次のタイミングになっています。

なぜか。私はシンプルにこう考えています。

人件費上げますよ、というのを対外的にアピールできるため

大手は春闘の結果が対外的に提示されます。
つまり、これをきっかけにして商品の値段を更に上げることも
理由として明示しやすいです。

ただし、これは商品に強さがある場合。
しかも大手企業の話。

単にこれだけでは解決のきっかけにはならないと私は考えています。


4.中小企業はどう挑むべきか


商品に強さがある企業の場合、人件費の価格への転嫁を通して
この状況を乗り切ることができます。

ただ、そういう商品も無い場合、
果たしてどうするべきか。

この鍵を握るのは別業種を見るとほのかに見えてくる気がします。

それは サービス業 です。

それは何故か。
先程と同じようなPLの構図を出しますが、
明らかに違う部分があります。

サービス業は人件費そのものが原価

サービス業は人そのものが売上を作る業種です。

つまり、原価は人件費そのものです。

裏を返すと、
人件費を上げるためには売上を上げる、即ち値上げをしなければいけない。

ただ、先程の話、
サービスが変わらないのであれば
それに対しての値上げも当然渋られます。

なので、

サービスの質を上げることが求められる

別の言い方をすると、

この人が頑張ってくれるから上げられてもいい

という見方になるのではと思っています。

商品に顔があり、その人を選んでくれるから、
対価としても納得して値上げを受け入れてもらえる。


よって、私の結論です。

顔の見える商品・サービスを提供しよう

・商品に関しては、作り手や商品のエピソードが付加されることで、商品そのものに人格に近いものが見えてきます

・サービス業については、他と良い意味で違うサービスを提供すること、提供する金銭以外の価値が分かるようにすること

サービス業については、
前回の記事も似たような話に触れているかと思います。
(個人としての価値をどう上げるか)

人件費を上げるということは、全体的に商品やサービスに関わる人を
評価するということでもあります。

企業の経営者の方々はこの状況に悩むことも多い一方で、
給与をもらう立場としても何をすることで会社の評価を上げることになるか
よく考えるタイミングに来ているのかもしれません。

また、人々の値段に対する感覚、
単に安ければよいという単体のモノに対する評価から、
それに関わる人々へも関心が広がってくれたらと思うところです。

今回は以上となります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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