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読書記録①『ぎょらん』

今まで読んできた本は、自分だけのノートに書き溜めているけれど、これからは、ここにも読んだ本の記録をしていこうと思います。
好きな小説家さんの話とか、こんな本が好きだとか、色々話したいことがあるのですが、まずは、つい最近読み終えた『ぎょらん』について。

『ぎょらん』の著者は町田そのこさん、余談ですが、私が読書を好きになるきっかけになったのが町田そのこさんの『52ヘルツのクジラたち』でした。この本に出会ってから、本屋さんに行くのが好きになったし、本屋さんにいくと、町田そのこさんの本が自然と目に入るようになりました。
(他にも、『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』も読みました。この2つについてはまた今度、お話したいな)

私が少し前に通っていた病院のすぐ近くに小さな本屋さんがあり、ふらっと立ち寄ったときに『ぎょらん』を見つけました。
「ぎょらん」が何なのか、魚卵?いくら?と思ったけど、表紙ではシャボン玉にも見えるし、その正体が気になりました。
そして、あらすじを読んだ時に、町田そのこさんの描く”人の死”を知りたくなりました。

『ぎょらん』の感想(ネタバレあります)

この小説は、人の死との向き合い方を教えてくれる本だと思う。
もっと話しておけばよかった。もっと会いにいけば良かった。あの時、こうしてたら…と、誰かとの永遠の別れを前にして自分が抱えた感情や自分とその人とのあれこれを思い返しては、どうにもできない事実に押しつぶされそうになることがある。
そんなどうにもできない事実から目を逸らさないためにも、自分がこれから生きていくためにも、この本に出会えて良かったって心から思った。

ぎょらんについて、物語の中では「人が死ぬ瞬間に強く願ったことが小さな珠となってこの世に残る」とされている。
しかし、ぎょらんは人によっては様々な捉え方があり、出会いがあり、呼び名がある。「死んだ人の最期の言葉を聞く方法」だという人もいれば、「置き土産の宝」だという人も。「遺された人への愛をたまごのかたちにして残す」という人もいれば、「自分の心が生み出したもの」だという人もいる。
それぞれのぎょらんがあって、どれが正解なのか分からないけれど、多分どれも正解なのだと思う。
死んだ人と遺された人を繋ぐぎょらんは、遺された人の生き方を大きく左右してしまう。だから、恐ろしくて、切なくて、あたたかい、その人によって様々な温度がある気がした。

死んだ人と遺された人の間で、もう一度会いたい、もう一度声を聞きたい、あの時なにを思っていた?楽しかった?辛かった?それぞれ聞きたことが沢山あるはず。遺された人だけじゃなくて、死んだ人も聞きたいことがいっぱいあるかもしれない。
後悔も伝えたい思いも、すべて満足だと言ってさよならを迎えられる人がどれくらいいるだろうか。
そんな私たちに、生きるために必要なのがぎょらんなのかもしれないと思う。

もし、ぎょらんがこの世界に存在するのなら、人が死ぬ瞬間の願いが一瞬でもこの世に残るなら、私の大切な人たちは何を願ったかな。知りたいけど知りたくないような、知ってはいけないような気もして、その人が届けたい人だけに届いたらいいなとも思う。
でも、一つだけ、生きててよかったかだけが聞きたい。私のエゴかもしれないけど、それだけ聞かせてほしい。
いずれかまた会えて話ができるかもしれないけれど、私がここで生きてるうちに、この世界を好きになるためにも、大切な人たちの思いが聞きたい。

私の見たぎょらん

もしかしたら、寝ている時に見る"夢"と"ぎょらん"は似ているのかなって。
時々、亡くなった人が夢に出てきたりして、その時の故人は生きているときにはなかなか見られなかったとびきりの笑顔で私に話しかけていた。
起きたときにすごく幸せな気持ちになって、嬉しくて嬉しくて、笑ってくれてた、楽しそうに生きてたって夢の中の一瞬の姿が脳裏に焼き付いて離れなかった。
あの笑顔を思い出したいときに鮮明に思い出せるようになった。夢のおかげで、きっと今も笑顔で生きているんだってそう安心できた。

今思えば、私が見た夢は私が見たかった故人の姿なのかもしれないなと。笑っていてほしいと願っていたから見た夢なのかな。それって、私にとってのぎょらんみたいなものかもしれない。

ぎょらんは消えてしまう。でも、記憶には残る。

私は私の大切な人との記憶を大切にして、色んなことを思い出したい。
いつかまた会えた時に、あの日見た夢の話をしたい。
生きてるときに聞きそびれたことを聞きたい。
そうやって未来での約束を勝手につくって、向き合っていけばいい、私の人生を生きていけばいい。

もし『ぎょらん』を読んだ人がここを通ったら、私はこう思ったよとか色々、なんでも話をしてほしいです。
待ってます。

終わり方がぎこちないですが、こんなふうに好きな本について話せる場所ができて良かった。

では、また来ます。





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