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『ちひろさん』

Netflixで配信されている映画、『ちひろさん』を観た感想を喋ります。

なんだか、長ーいドラマをみているような、映画は物語のテンポ感をついつい気にしてしまうけれど、そんなこと全く気にならなくて、ひたすら心地良い時間が流れていく感覚になった。まるで、ちひろさんの人柄を表したようなそんな映画だった。

元風俗嬢で現お弁当屋さんのちひろさん。
ふわっとしてるけど、自分の時計は誰にも握らせない芯の強さがある人。
自分に正直で、性別も年齢も、猫もおじさんも高校生も小学生も、どんな事情があるとか関係なく誰に対しても対等で、この世界に必要な優しさを持っている人。
つかみどころがなくて、不思議な人かも知れないけれど、ちひろさんの周りにいる人はみんな笑っている。
そのちひろさんの優しさに救われた人がいる。ちひろさんの存在を大切にしてる人がいる。
家族とか他人とかそんなのどうでもよくて、目の前にいる誰かと向き合って、大切にできたらそれでいい。
そんなちひろさんの生き方に私はすごくときめいた。

映画の中で女子高生が、強くいられる理由として、人にも自分にも「期待しない」と言っていたけれど、それができたらどれだけ楽なのだろう。その楽を私は知りたい。確かに、期待しなければ落ち込むこともないし、悲しむことも減ると思う。でも、どうしても私は誰かに期待するのをやめられないでいる。「もしかしたら」で頭の中が埋め尽くされて、人に対する期待をその人に対する信頼だと勘違いしてしまう。どうしたら、この期待を止められるのだろう。
やっぱり私はまだまだ強くなれないな。

ちひろさんは、誰かに期待することあるのかな。

自分のいる所を自分の居場所にできるちひろさんは強い人だと思うけれど、その強さを手に入れるまでにどんなことがあったのだろう。優しい人と関わっている時、死と向き合っている時、ちひろさんの弱い部分が少しだけ見えたような気もする。自分の弱さをちひろさんはどう受け止めるのだろう。
自分を強い人だと答えそうだし、弱い人だとも答えそうなちひろさん。
人の輪を広げて、周りにいる人を笑顔にしていくちひろさん。

ちひろさんは今もきっと孤独を抱えながら、この世界のどこかで周りの人をびっくりさせたり、惚れさせたり、楽しませたり、あたたかい気持ちにさせているんだろうなあ。

次は何屋さんになっているかな。
また、会えたらいいな。

生きていることが今よりちょっと嬉しくなる、人のことが今よりちょっと好きになる、そんな映画でした。




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