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種籾の催芽 美味しいお米の育てかた#018

工程の順番が前後してしまいますが、種籾の選別と苗代づくりは並行して行なっていきます。

ここでは選別し浸水していた種籾を、種蒔きの準備段階の最初の作業である

催芽についてお伝えします。

中・大規模の生産者はブクブクと空気の循環ができる浸水用の機械を使用することが多いですが、浸水自体は毎日水を変えてあげれば機械類がなくても大丈夫です。

直射日光の当たらない温度変化の少ない場所に設置します。


自然界のバランスを忘れない

野生の稲は登熟(穂がしっかり実って熟する こと)すると自然と茎がしなり、穂先の籾が地表や溜まった水に触れ、発芽する条件がそろうとタネ籾それぞれのタイミングで発芽します。

環境条件に順応するには、本来であれば発芽はタネ籾ごとにバラバラであるほうが種の生存確率が高くなります。

しかし、ここでは栽培者の都合により発芽をそろえていきます。

自然栽培では自然界ではどうかを考えることにたくさんのヒントがあります。

今のところ催芽によって、直接的なトラブルがあったという事例はありませんが、このように自然のタイミングを操作していると心得ておくことは、以前お話ししたした「自然界のバランスへのインパクトの大小」を意識することになります。


栽培者のあらゆるアクションにおいて、もし、何かトラブルが起こった際に、こ れらを因果関係の一つとして整理しておくことは極めて有効です。

また、人為的なインパクトは小さければ小さいほど生命力は引き出される傾向があるように思います。


発芽のスイッチを入れる催芽

①浸水してあるタネ籾を取り出す

②別に用意した20度~23度程度のやや温かい水に浸す

③すぐに水温が下がるため、大きめのシンクによく水をきって投入すると温度が下がりにくい

④定期的に加水して温度を保つと芽の動き出す時間が早くなる

浸水によって発芽を抑制されたタネ籾は、温かい水中という環境の変化によって一気に抑制が解放され発芽に向かいます。これが催芽です。

芽の動き出すタイミングが一斉にそろうことで、これから田んぼで行う発芽の際の、被覆の設置・撤去。それにともなう、発芽したての苗の環境適応の工程を、「栽培する」と言う前提においてスムースかつシンプルにすることができます。

タネ籾の中央部分あたりがぷっくり膨らんできたり、少し芽のようなものが出てきたら水から引き揚げ、よく水をきり涼しい風通しのいいところで陰干しします。 この時、あまり芽を出しすぎないようにしましょう。

芽は完全に無防備な環境にさらされ るため、タネ籾の管理がよりシビアになって きます。

できれば数日以内にタネ蒔きをするほうが無難でしょう。

稲作では小さな気遣いの積み重ねが大きな成果を生むのです。

続く

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